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第11回ラブミーチャン記念

直線一気に伸びて差し切る
  6年ぶり地元東海勢が勝利

ラブミーチャン記念は、2014年にプリンセス特別(またはサラ・プリンセス特別)から改称。過去の優勝馬には、ライデンリーダー、オグリローマンという笠松から誕生した名馬が刻まれている。ラブミーチャン自身は2歳時の09年、プリンセス特別が実施された2日後に、JRA京都競馬に遠征して逃げ切り勝ち。続く兵庫ジュニアグランプリJpnII、全日本2歳優駿JpnIの勝利につなげた。

その名馬は今年の8月31日に永眠。先週から笠松競馬場内には献花台が設けられ、レース当日にはラブミーチャンとのコンビで東京スプリントJpnIIIとクラスターカップJpnIIIを制した戸崎圭太騎手が、場内で開催されたトークイベントに登場して思い出を語った。

また、ラブミーチャンのオーナー小林祥晃氏も来場。このレースに2頭を出走させた。

5年連続で他地区からの遠征馬が勝利しており、今年は北海道から4頭、川崎から1頭が参戦してきた。単勝1番人気は小林氏が所有するコパノエミリアの1.9倍で、2番人気はプチプラージュで2.4倍。小林氏のもう1頭の所有馬ラブミールイスは、3番人気でも10.1倍という一騎打ちムードになっていた。

ただ、パドックでの姿を見ると、コパノエミリアには多少の冬毛が出ている様子。プチプラージュは発表された馬体重がマイナス8キロだった影響か、やや細く見えるように映った。

それでもゲートが開くと人気2頭は好スタートを決めた。しかし同じく好スタートだったゴーゴーバースデイが「前が残る馬場状態だから意識的に」(高木健騎手)という勢いで先手を取った。プチプラージュは直後につけ、その一団にラブミールイスとヴィルミーキスミーも加わり、コパノエミリアは5番手を追走した。

流れは見た目にも遅かったが、3コーナー手前でペースが上がるとゴーゴーバースデイは失速。代わってプチプラージュが先頭に立ち、コパノエミリアが2番手に上がったが、ラブミールイスは後退してしまった。4コーナーではオッズが示すとおりの一騎打ちの様相。しかしそこに芦毛の馬が加わってきた。

馬群の外を通ったその馬は、3コーナーでは中団にいたエバーシンス。コーナーでの距離ロスを少なくして外に出す戦法は見事にハマり、最後の直線に入ると猛烈な伸び脚。プチプラージュの渡邊竜也騎手は馬体を寄せて応戦したが、同馬に1馬身半の差をつけてエバーシンスが連勝を決めた。

その手応えは鞍上の細川智史騎手が「直線に入ったところで勝てるという感触がありました」と話したほど。2着に敗れた渡邊騎手は「展開のアヤですね。これも競馬なんで」と言葉少なく振り返った。1番人気のコパノエミリアは2着からさらに1馬身半の差で3着。ラブミールイスは7着という結果だった。

エバーシンスは前走が通算9戦目での初勝利で、しかもそこから中7日での初遠征だった。実績的にも日程的にも心配が多いなかで結果を残した細川騎手は、レース後に「デキがよかったのは厩務員さんのおかげ。本当にうまく仕上げてくれました」と、表彰台に上がった薮井一代さんに感謝していた。

取材・文浅野靖典

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

細川智史騎手

自分が調教をつけているんですが、この日程でも体重が減っていなければ大丈夫じゃないかという感触がありました。スタート後は後方になりましたが、騎手の指示どおりに動いてくれるので、自信を持って乗りました。これからも展開が向いてくれれば活躍できると思います。

角田輝也調教師

この日程でしたが、なんとかうまいこと調子を整えて、前走から1キロでもプラス体重だったのはなにより。今日はそういった良い面がいろいろと重なって、この結果になったのだと思います。このレースを目標にしていたので、この先は厩舎に戻って馬の様子を見てから考えます。