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第28回霧島賞

好位から直線突き放し完勝
  高知勢が初勝利でワンツー

霧島賞は1996年以前は夏のJRA小倉での現2勝クラスの特別戦(JRA所属馬のみ出走可)だった。97年に地方に移管、交流重賞となった後も、JRA所属馬が小倉競馬場滞在からの輸送で出走できる小倉開催期間中に合わせ、おおむね8月の開催(2007年は馬インフルエンザ流行のため、08年1月に延期)だったが、今年はJRA阪神競馬場改装工事の影響でJRAの関西開催日割が大幅に変更。夏の小倉開催は6月29日~7月21日の4週間のみとなり、これに合わせて霧島賞トライアル(えびの特別・大隅特別)が6月11日、霧島賞が7月9日に繰り上げての開催となった。

その影響もあってか、トライアル2戦からJRA出走枠が埋まらず、霧島賞でもJRA勢は例年より少ない5頭。地方勢は高知から2頭が遠征し、地元佐賀が5頭。それでも九州産三冠と言われるひまわり賞(2歳・JRA小倉)、たんぽぽ賞(3歳)、霧島賞(3歳以上)の3着以内経験馬が8頭出走と、好メンバーが揃った。なお、生産県別では熊本7頭、鹿児島5頭で、宮崎からは昨年同様に出走がなかった。

スタート直後に先頭をうかがったテイエムチュララン(鹿児島産)をオバケノキンタ(熊本産)が交わしてハナに立ち、2番手にはルピナステソーロ(熊本産)。3番手に控えたテイエムチュラランの外にアイタカ(熊本産)が付け、中団6頭も差なく追走した。

3~4コーナーでルピナステソーロがオバケノキンタを交わして先頭に立つと、直線で一気に差を広げての勝利。4コーナーで3番手まで押し上げ、直線伸びたアイアンムスメ(鹿児島産)が3馬身差で2着に入り、高知所属馬のワンツーフィニッシュとなった。

以下、3着オバケノキンタ、4着カッコヨカ(鹿児島産)、5着ゴーツウキリシマ(鹿児島産)とJRA勢が入線。トライアルの大隅特別を逃げて圧勝し、単勝1.8倍の1番人気に推されていたアイタカは逃げにもちこめず8着。佐賀勢は昨年4着のタケノサイコウ(熊本産)が最先着6着。昨年の勝ち馬で佐賀移籍3戦目のイチザウイナー(熊本産)は11着に終わった。

ルピナステソーロはJRA所属時は佐賀からの移籍2戦目で1勝クラスを勝利し、2勝クラスでも勝ち馬と1秒前後の差で走り、九州産以外の馬とのレースでも健闘を見せていた。今年高知移籍後は、牝馬限定の準重賞・スピカ特別の勝利など5戦3勝。霧島賞はJRA所属で2着だった22年以来2度目の挑戦での勝利で、高知所属馬としては霧島賞初勝利となった。

今年、佐賀競馬場では11月4日のJBCデーに『2024九州産グランプリ』が行われる。こちらは霧島賞と違い、JRA所属馬に出走資格がなく地方全国交流戦。ルピナステソーロを管理する宮川真衣調教師は「距離(1800メートル)も少し長いですし、馬をリフレッシュさせて戻ってきてから考えます」とのことだが、出走してくれば最有力候補となりそうだ。

取材・文上妻輝行

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

永森大智騎手

この中では能力が抜けていると思ったので、上手く勝ってくれてホッとしています。大外枠をもらって、いい位置で2、3番手が取れればと思ったので、その通り上手く行きました。高知よりも(佐賀の)馬場が軽いので、早めに動いても最後までしっかり脚を使ってくれました。

宮川真衣調教師

枠も良かったですし、スタートも元々上手な馬なので、好位にスッと付けられたらいいところがあるんじゃないかと思っていました。後ろを蹴らないところがある馬なので、(牧場の)坂路で後ろを蹴る調教をして馬が良くなって帰ってきました。この後は一旦休養に上げる予定です。