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フジユージーン


高橋華代子

2024.05.20 (月)

「気になるあの馬はフジユージーン」

今回は特別企画として、岩手競馬のフジユージーンの話題をお伝えします。

フジユージーン(馬主(有)富士ファーム様)はデビューから7戦7勝。5月5日に盛岡競馬場で行われた岩手競馬一冠目のダイヤモンドカップも危なげなく逃げ切り、5つ目のタイトルを獲得しました。走りが雄大で、どのレースも圧巻のパフォーマンス。管理する瀬戸幸一調教師にインタビューをさせていただきました。

Q.大きな夢を抱かせる馬が出現しましたね。デビュー前の評価はいかがでしたか?
A.デビューの頃はそこまででもなかったんですよ(苦笑)。あまりにも大きくて、本格化するのは時間がかかるだろうと。ところが、能力検査のあと、馬がガラッと変わりました。でも、新馬(水沢)は850m。テンの速い馬にはかなわないんじゃないかなと思ったら、スタートも良くてビュッと行って、あとはそのまま。最初からあのような走りを見せてくれるとは思いませんでした。

Q.6月の新馬戦の馬体重は526キロ。約11カ月が経ち、前走のダイヤモンドカップは552キロでした。
A.最初は筋肉がどこについているのかな?と、体は大きくても、まだまだでした。今は全体的に筋肉もついて、前から見ている分は十分ですが、トモに寂しいところがあるので、その辺りに筋肉がついてくれればいいなぁと思っています。最終的にはあと10キロくらいは増えるんじゃないかな。完成されるのは先だと思います。

Q.どのレースも圧巻ですが、一戦ごとに内容も成長しているのでしょうか?
A.そうですね。最初の頃はスタートが上手ではなくダッシュがつきませんでしたが、スピードはあるので前にはつけられました。今年に入ってからはスタートダッシュが利いて、無理なく前の方に行けて、競馬もしやすくなったと思います。たまたまスピードが違うから前で砂をかぶらないようなレースをしているだけで、普段の調教で砂をかぶっても頭を振るようなところもないので、その辺りは気にしないと思います。レースはどこからでもできています。

Q.どんな性格の馬ですか?
A.すごく大人しいですが、何か刺激が与えられると、動きは大きくなります。でも、普段はおっとりとしていますよ。

Q.この馬のすごさを教えてください。
A.エンジンの強さ。あと、今まで多くの馬を見せていただいていますが、その中でもフットワークがきれいで、スピード感が全くありません。それでいて、時計を測ると、ものすごく速いです。フットワークに無駄がないんです。本当にきれいで、惚れ惚れしますよ。

Q.ご自身の管理馬に惚れ惚れという表現をされるのは、とても素敵ですね。
A.はい(笑)。毎朝5時頃の調教で、馬場に出て来るのがとても楽しみなんです。でも、緊張するところもありますが。

Q.それはどういうときですか?
A.追い切りや馬場が悪いときに走り終えたあとの状態です。一番は怪我が怖いですから。体が大きいので、蹄にも負担がかかって、(蹄の)状態があまりいい馬ではないんです。特に、去年はその部分に悩んでいたので、無事に何でもなく過ごせればいいなぁということは、常に思っています。

Q.調教はどなたが乗っていますか?
A.所属騎手の菅原辰徳が一生懸命乗ってくれています。

Q.先日の報道などで、新ダート三冠の二冠目・東京ダービー(6/5、大井)を視野に入れていることが明らかになりました。詳細を教えてくだい。
A.地元の東北優駿(6/16、水沢)もありますが、今年からダート三冠が始まって、オーナーと私もチャンスがあれば行ってみたいという気持ちでした。前走の馬の回復を見ながらでしたが、思ったほどの疲労がなかったので、申し込みだけはしておこうと。今後、調教の段階で何か変化があれば、地元のレースになるかもしれませんが。なかなかこういうチャンスがあるものではないので、まずは東京ダービーを選択させてもらいました。

Q.東京ダービーの挑戦はいつ頃から考えていらっしゃったのでしょう。
A.最初は前哨戦の京浜盃からの挑戦を考えていました。南部駒賞のあとに蹄の問題もあったので、全日本2歳優駿などの出走もキャンセルして、冬場のうちに治してからと。でも、なかなか思うようにいかず、長引いてしまいました。日程的にも間に合わなかったので、地元からスタートしようということになりました。

Q.東京ダービーが行われる大井、2000m、ナイター、長距離輸送などは、どのようにお考えですか?
A.コースや距離などは全然気にしていませんが、レースを見ていると、大井の白い砂質がどうなのかなと。岩手は軽い馬場でスピード競馬なので、全く別物です。その辺の適性が不安ですね。本来の力さえ出せれば、それなりの結果は出てくるんじゃないかなと思います。楽しみにしています。

Q.鞍上は村上忍騎手ですか?
A.そうです。

Q.ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
A.いつも多くのファンの方たちが応援してくださっているので、その期待に応えられるように、悔いの残らないようなレースができればいいなぁと思っています。今後も無事なら、全国の交流重賞に挑戦していきたいです。

瀬戸調教師、お忙しい中でありがとうございました。
岩手競馬&地方競馬の夢を乗せ、フジユージーンがこのまま無事に進んでいくことを、心から願っています!

高橋華代子(たかはしかよこ)

元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関東競馬(南関魂)
・大井競馬
・WEBハロン
・サンケイスポーツ
・馬事通信
・東京馬主ニュース
・川崎競馬馬主協会ニュースなど