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第38回東京プリンセス賞

ゴール前人気馬を振り切る
  人馬とも悲願の初タイトル

南関東の牝馬二冠目に位置づけられる東京プリンセス賞。1、2着馬には、南関東牝馬三冠目の関東オークスJpnII(6月12日・川崎)への優先出走権が与えられる。

3歳牝馬重賞とあって上位人気は割れかげん。東京2歳優駿牝馬を圧勝した2歳女王ローリエフレイバーが2.4倍で1番人気に推され、ミスカッレーラ、浦和・桜花賞馬プリンセスアリー、シトラルテミニとひと桁台のオッズで続いた。

日中は暑いくらいの晴れた空。しかしながら前日の降雨の影響で馬場状態は『重』と発表されていた。

好スタートを切った内枠の2頭、ローリエフレイバーとイマヲトキメクが1~2コーナーにかけて先行争い。3番手で折り合いをつけながらミスカッレーラ、好位にはフォルトリアン、ムサシジェリーナ、フェルディナンド。プリンセスアリーは中団外に位置取った。

ペースの上がった3コーナーでは前2頭とミスカッレーラ、ムサシジェリーナが横一線に並び、隊列が動いた。

直線に入るとローリエフレイバーとミスカッレーラが抜け出して、もはや2頭の決着かと思われたなか、外から飛んできたのがフェルディナンド。最後はローリエフレイバーとの追い比べからクビ差抜け出し初タイトルを手にした。ヘニーヒューズ産駒は、羽田盃JpnIでのアマンテビアンコに続く二夜連続の重賞制覇。外から猛追したプリンセスアリーがクビ差で3着に入った。

ゴールで大きく手を上げた安藤洋一騎手は、デビューから15年で待望の重賞制覇。何度もフェルディナンドの首を撫でて勝利をねぎらった。

「デビューして10年くらいは下から数えたほうが早いくらいで、重賞に挑戦する機会もあまりなかったので夢のよう。僕を拾ってくれた先生に恩返しできて良かったです」

夢にまで見た重賞Vゴールだった。父は笠松とJRAで活躍した安藤光彰元騎手。叔父は“アンカツ”の愛称で知られる安藤勝己元騎手というサラブレッド。それだけにプレッシャーも大きかったことだろう。「解放された気分です」とポツリと漏れた言葉からもようやく掴んだタイトルの重さがよくわかる。フェルディナンドのデビュー前から日々の調教を担い、レースでも手綱を取ってきた。「フェルディナンドのことを一番わかっているのは洋一だから」と藤田輝信調教師は話した。

昨年10月の新馬戦は左後肢フレグモーネで出走取消。11月に持ち越しとなったデビュー戦では5馬身差をつけて押し切った。

「2戦目で東京2歳優駿牝馬にぶつけたのはこの馬の力を信じ、今後のために強い相手に経験を積ませたかったからです」と藤田調教師。中団から進出して3着と善戦し布石を打った。

5戦目での重賞制覇となったが、次に目指すは三冠目の関東オークスJpnII。「距離は問題ないと思うし、この馬の切れ脚をいかしたい。心配だったフケはもう落ち着いて、レースでも折り合っていたように精神面も成長してきています」(藤田調教師)と心身の成長を強調。JRAの精鋭牝馬に挑む。

2着ローリエフレイバーの野畑凌騎手は「突かれて力んでしまいました。最後もまた伸びてくれたけれど勝ち馬の切れの方が上でしたね」と悔しそうな表情。

3着プリンセスアリーは桜花賞からの二冠を狙ったが僅差の結果に、「勝ち馬がいたポジションを取りたかったですね。初物づくしでも力があるのは示してくれたと思います」と森泰斗騎手。

いずれも次走は関東オークスJpnIIを視野に入れている。

取材・文中川明美

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

安藤洋一騎手

感無量です。調教からも体調の良さはわかっていたので、自信を持って乗りました。折り合いが心配でしたが、スタート後いいポジションにつけられたので落ち着いて乗ることができました。藤田先生には恩返ししたい気持ちで一杯だったので、ここで勝つことができてすごく嬉しい。もっと上を目指したい。

藤田輝信調教師

なにより洋一で重賞を勝てたので本当に嬉しい。折り合いだけが心配だったんですけど、最初から引っかかるところもなく、4コーナーでは手ごたえ十分だったので、これは勝てるんじゃないかという気持ちで見ていました。関東オークスも視野に入れて、これからオーナーと相談して決めたい。