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第24回留守杯日高賞

3コーナー先頭から後続を完封
  デビューから3連勝で重賞制覇

留守杯日高賞はグランダム・ジャパンが始まった2010年から対象レース。過去の勝ち馬は川崎3頭をはじめ、大井、岩手、北海道が各2頭、笠松、金沢、名古屋、浦和、船橋が各1頭。交流レースにふさわしく、各地区から優勝馬がまんべんなく出ている。

ただ、一昨年から変化が起きている。北海道からの遠征馬が1頭もなく、今年も出走なし。特に今年は4月18日に新設のネクストスター北日本(北海道・岩手交流)が門別で行われ、翌週25日には大井で東京プリンセス賞が行われる。留守杯日高賞はちょうどその狭間のレースとなり、遠征馬は3頭。昨年と同様、すべて南関東所属馬だった。それが競馬の流れ。常に変化をし続け、進化もし続けている。

単勝2.0倍の1番人気に支持されたのは川崎のエレノーラだった。デビューは今年3月と遅れたが、2戦2勝。特に前走では川崎1400メートル1分32秒0をマークして6馬身差で圧勝。同日、川崎1400メートル戦は合計6レースが行われたが、抜けた走破タイム。ファンはキャリアが浅くても絶対能力を信じた。

2番人気(単勝3.0倍)は地元レッドオパール。北海道1勝から転入後、2歳重賞・寒菊賞を制し、今季初戦の準重賞・奥州弥生賞も完勝し、年をまたいで3連勝。トライアルのあやめ賞は3着に敗れたが、それ以前のパフォーマンスから巻き返しを期待された。

3番人気(単勝7.6倍)は大井のファーマティアーズ。大井1勝から佐賀・フォーマルハウト賞へ遠征し、後方待機策から豪快なまくりを決めて完勝。地元に戻ってユングフラウ賞7着、浦和・桜花賞6着。強豪牝馬と戦ってきた実績が評価された。

続いてトライアル・あやめ賞を快勝したミヤギシリウスが8.1倍で4番人気。以上4頭が単勝一桁台だった。

水沢1600メートルは4コーナーから引き込み200メートルがスタート地点。エレノーラがつまずいて一瞬ヒヤッとしたが、鞍上・野畑凌騎手がうまくリカバリーして態勢を立て直す。逃げを主張したカリフィアの2番手につけた。3番手外にセイバイラック、4番手内にレッドオパール。ファーマティアーズは先団を見ながら中団外目を追走した。

3コーナー過ぎ、カリフィアが一杯となり、替わってエレノーラが先頭。4コーナーを回っても持ったままで進み、直線を向いてさらに加速。外からファーマティアーズ、さらに大外からレッドオパールが追撃したが、エレノーラが余裕で完封。デビューからわずか1カ月強、3連勝で留守杯日高賞の冠を手にした。

平田正一調教師のコメントにも記したように、デビューを遅らせたのは体質が弱かったため。納得する状態になるまで我慢し、満を持して始動。昨年、キャッツライズでこのレース2着に敗れた雪辱を果たした。

エレノーラは今回の馬体重491キロと馬格に恵まれた牝馬。キャリア3戦からも伸びしろが十分あり、今後どこまで成長するか。遅れてきた大物になる可能性を秘めている。

取材・文松尾康司

写真佐藤到(いちかんぽ)

Comment

野畑凌騎手

今回の課題は折り合いでした。デビュー2戦とも力んで掛かっていましたが、今日はリラックスして走っていた。もちろんゴールに入るまで気は抜けませんでしたが、馬の手応えから勝てるなと思いました。新しい環境にも適応して、いい状態で臨めたことが良かった。今後、地元でも遠征でも楽しみです。

平田正一調教師

デビューが遅れましたが、体質が弱い馬でしたので丈夫になるのを待ちました。能力があるのは分かっていましたからね。今回、遠征で勝つことだけではなく、折り合いがついたのも収穫です。今後も一戦一戦を大事に、段階を踏んで使っていきたい。次走は馬の状態を見ながら、オーナーと相談して決めたい。