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第30回東海クイーンカップ

スローを味方に押し切る
  前走敗戦を糧に重賞2勝目

昨年までは名古屋競馬場でグランダム・ジャパン3歳シーズンの対象レースが2つ実施されていたが、3月の若草賞土古記念が4歳以上という条件に変更。東海クイーンカップは東海地区に所属する馬たちにとって、これまで以上にポイント獲得への重要な舞台になった。

今年は船橋から2頭、兵庫と高知から各1頭が参戦し、単勝1番人気は船橋のイマヲトキメクが2.5倍、2番人気は兵庫のプリムロゼが3.8倍の支持を受けた。しかしながら全体的には混戦模様で、単勝10倍未満が5頭で、10倍台に3頭。9番人気のオリオンハートでも23.8倍となっていた。

出走12頭のなかで、前走で逃げていたのはそのオリオンハートだけ。3コーナーの奥にあるスタート地点でゲートが開くと、3番枠のドナティアナ、4番枠のニジイロハーピー、さらに6番枠のコールミーメイビー、最内枠のオリオンハートが積極策に出た。

しかしペースは上がらず、12頭がそれほど長くない隊列で1周目のスタンド前を通過。2コーナーでは後方からプリムロゼ、ウオタカが位置取りを上げにかかったが、プリムロゼは頭を上げるシーンがあるなど、スローペースへの対応に苦戦している様子が窺えた。

その流れを味方につけたのはニジイロハーピーで、向正面でペースが上がっても2番手をキープ。逃げたドナティアナが一杯になった3コーナーあたりで先頭に立ち、そのままの勢いで押し切った。

その内容に管理する今津勝之調教師は「この走りができたら、また遠征してもいいかな」と上機嫌。姫路競馬場での兵庫クイーンセレクションで勝利した実績があるだけに、遠征してグランダム・ジャパンのタイトルを目指していくことになるのかもしれない。

1馬身半差で2着に入ったのは、5番手追走から粘り強く差を詰めた船橋のザオ。小柄な馬体でのマイナス14キロは見た目にも細く、胴回りには発汗した跡があった。吉原寛人騎手も「初めてのことで、繊細な面が出てしまった印象があります」と話したが、それでこの結果なら地力の高さを見せたといえる。船橋開催中でも臨場した米谷康秀調教師にとっては、一昨年のグラーツィアに続く吉原騎手とのコンビでの東海クイーンカップ制覇とはならなかったが、こちらも再度の遠征を敢行する可能性がありそうだ。

そしてさらに1馬身半差の3着に粘り込んだのは11番人気のコールミーメイビー。3連複の配当は10万円を超え、3連単は56万円台となった。その鞍上は、浦和から期間限定騎乗中の室陽一朗騎手。検量エリアに戻った直後は悔しそうにしていたが、人気薄での3着と知ると笑顔を見せて、最終レースの準備に向かっていった。

兵庫のプリムロゼは5着。杉浦健太騎手は「外枠からのスローペースで、外回しの競馬になってしまいました」と厳しい表情。高知のウオタカは6着で「課題のゲートが悪いほうに出てしまいました。この距離も少し長いかもしれません」と井上瑛太騎手は振り返った。それでも初めてとなる名古屋競馬場の印象を聞くと「乗りやすかったです。また来たいです」と話していた。

取材・文浅野靖典

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

大畑雅章騎手

前走がふがいない内容だったので、今回はいろいろと変えて、それが良いほうに出たと思います。多くの馬にチャンスがありそうだったので、なるべく前に行こうと考えて、そのとおりの位置を取れました。4コーナーでは押し切れるという感覚がありましたね。牝馬同士ならもう少し上に行けると思います。

今津勝之調教師

姫路で勝ったあと休養に出したら掛かるようになってしまって、前走は返し馬で集中力が切れたので、今回は大畑騎手に「馬場入り後はダクだけで」と頼みました。レース内容も含めて、前走後に修正した効果があったと思います。気難しいタイプでも輸送は大丈夫ですし、このあとの様子を見て次を考えます。