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第35回東京スプリントJpnIII

すべてが噛み合い8歳馬が復活
  西騎手と坂井厩舎は連夜の重賞制覇

昨年以降、地方のダートグレードを勝った馬が不在という混戦ムードだったが、終わってみれば8歳馬ジャスティンが快勝。西啓太騎手と坂井英光厩舎は前日のブリリアントカップに続き2日連続の重賞制覇を成し遂げ、新年度最初の大井開催は大盛況だった。

単勝2.7倍の2頭は、票数の差でアームズレインが1番人気で、テイエムトッキュウが2番人気。クロジシジョーが3番人気で5.4倍と地方初出走の馬たちが人気の中心。初の1200メートル戦に挑む船橋のギャルダルが4番人気、ジャスティンは5番人気でスタートが切られた。

キュウドウクンが好スタートを決めたが、スピードが武器のテイエムトッキュウが先手を奪った。ヘリオスが2番手につけ、直後にプライルードやギャルダル、ギシギシ、そしてジャスティンも好位からレースを進めた。

3コーナーで上手く外に出したジャスティン。4コーナーで手応え良く先団につけると、直線ではテイエムトッキュウを交わしそのまま突き抜け優勝。JRAから大井に移籍後はあと一歩のレースが続いていたが、会心の勝利に西騎手は力強いガッツポーズを披露した。

2馬身差で2着は後方から直線内を突いて鋭い脚で伸びたクロジシジョー。さらに2馬身差の3着にテイエムトッキュウが入った。

レース後「やったー!すごい!」「ありがとう!」と大興奮のジャスティン陣営。そして坂井調教師は西騎手の騎乗について「完璧!」と何度も口にした。「西騎手とはかなり深いところまで作戦を立てました。具体的には言えませんがいくつかポイントがあって、上手く力を温存できたのが大きかったです。こんなに騎手に細かく指示をしたことはありません」と坂井調教師。

その期待に応えた西騎手は「直線はがむしゃらに追うだけでした」などと、終始笑顔で嬉しそうに語っていた。坂井調教師によると、2021年の開業当初から西騎手は厩舎の支えとなり、スタッフやオーナーからの信頼も厚いそうだ。それでも「情ではなく、この馬には彼が良いと思って依頼しました」という言葉が印象的だった。

陣営の思いが通じ、8歳にして見事に復活を果たしたジャスティン。坂井調教師は「馬体の張りや活力も全然枯れていない」と話しており、まだまだスプリント戦線を盛り上げてくれそうだ。ただ1200メートルがベストな馬だけに次走については「オーナーと相談する」とのこと。1400メートルも視野に入れてローテーションを考えていくようだ。

2着クロジシジョーの戸崎圭太騎手は「スタートが悔やまれますね。前走より状態は上向いていたし、馬場も大丈夫ということが証明できたので今後が楽しみです」とコメント。

3着テイエムトッキュウの北村友一騎手は「スタートで少し滑りましたが、スピードの違いで前に行きました。ただ直線は砂が深いせいか、いつものスッと伸びる脚が使えませんでした」と振り返った。

注目の1頭だったギャルダルは5着だった。「展開が想定外で悔いが残ります。テイエムトッキュウの後ろあたりでレースをしたかったのですが、内枠が仇になりましたね。でも、スピードには対応できていたので今後も楽しみです」と矢野貴之騎手。1200メートルにも選択肢が広がるとなれば今後のローテーションを含めて目が離せない。

取材・文秋田奈津子

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

西啓太騎手

追い切りでコンタクトを取っていましたし、走りについて森(泰斗)騎手に話を聞いたり、映像を見て自分なりに考えていたのでそれが上手くいったのかなと思います。力のある馬のチャンスをいただき、結果として恩返しができて良かった。久しぶりにジャスティンの強い競馬を見せることができて嬉しいです。

坂井英光調教師

牧場からも良い状態で戻ってくれましたし、担当厩務員も完璧に仕上げてくれて全てが噛み合いましたね。JRA時代に騎乗していた(坂井)瑠星にもアドバイスをもらいました。このチャンスをくれたオーナーと矢作(芳人)調教師の期待に応えたくて1つはタイトルを獲りたいと思っていたので嬉しいです。