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第1回兵庫女王盃JpnIII

逃げた岩田騎手の好判断
  直線人気2頭を突き放す

『TCK女王盃』が名称も舞台も変えて、『第1回兵庫女王盃』として園田の地にやってきた。これまで牝馬限定のダートグレード(JBCを除く)は門別、大井、船橋、川崎と、直線の長いコースで行われてきたが、園田は1周1051メートルと日本最小規模の競馬場。直線はゴールまでわずか213メートルという舞台が、陣営にとってもファンにとっても一つのポイントとなった。

人気はサーマルソアリングとアーテルアストレア(ともにJRA)が単勝2倍台で分け合った。前者は初勝利こそ芝で挙げたものの、その後ダートに転向すると圧巻のレース内容で3連勝。5カ月ぶりとなった前走のオープン特別は2着に敗れたが、牡馬相手に3/4馬身差ということと、連勝中に見せた底知れぬ強さに魅力を感じたファンも多かっただろう。

対してアーテルアストレアはダートグレード2勝を挙げる実績馬。右回りの大井でレディスプレリュードJpnII勝ちがあるものの、7勝中6勝が左回りという点がファンの迷いとなり拮抗したオッズに表れたのかもしれない。

それぞれの不安と期待が入り混じる中、好スタートを切ったのはライオットガール(JRA)。内枠のヴィブラフォン(JRA)を制して先手を取ると、鞍上の岩田望来騎手はスローペースに落とした。この時点で、勝利へ大きく近づいたと言えるだろう。

後方から運んだアーテルアストレアは1周目スタンド前で外に出してじわっと進出を開始したが、3~4コーナーでライオットガールに並びかけるところまでが精一杯。2頭の間で踏ん張ったサーマルソアリング共々、楽なペースで運んだライオットガールに直線は離された。

結果、ライオットガールが2着アーテルアストレアに2馬身差をつけて完勝し、3馬身差の3着にサーマルソアリング、そこから4馬身差の4着キャリックアリード(大井)が地方馬最先着となった。

会心の勝利に、「逃げた方がいい」という考えは中村直也調教師も岩田騎手も同じだった。「地元のジョッキーによると、逃げて内を通るのが有利とのことでした」と、園田が第二の故郷とも言える岩田騎手が話すと、中村調教師は状態について「輸送していつも(馬体が)減るのが、前走は思ったよりも減らず、今回は太め残りにならないようしっかり仕上げました」と話した。

それに対し、一瞬勝利も意識させた2着の菱田裕二騎手は「コースを考えて早めに捕まえに行きましたが、3~4コーナーでスピードを維持する難しさが出ました。その差だけです」と、右回りのコーナリングで難しさが影響したよう。舞台が向かなかったのは3着サーマルソアリングもそうで、西村淳也騎手は「広いコースでのびのび走らせてあげたかったです」と話した。

また、地方馬最先着となった御神本訓史騎手も「3コーナーで外からプレッシャーをかけられ、進路がなくなりました。その不利が痛く、もっと走れる馬だと思います」と、力負けではなかった。

しかし、この日はライオットガールのレースセンスの良さと鞍上の判断が光った。

この後、JRA勢は5月8日のエンプレス杯JpnII(川崎2100メートル)を目指す馬が多いだろうが、7着アンティキティラ(高知)は別府真司調教師によるとグランダム・ジャパンの一戦・佐賀ヴィーナスカップ(4月21日)を予定するなど、それぞれの舞台で、頂を目指す。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

岩田望来騎手

いつもテリオスベルという強い馬がいて番手からでしたが、今日は作戦通り逃げました。3コーナーからペースを上げ、2着馬が来ましたがスムーズに移行できて、この雰囲気なら直線でも大丈夫だなと思いました。まだまだライオットガールは強くなると思います。父の地元でもある園田で勝てて嬉しいです。

中村直也調教師

スタートから出して行っても乗りやすいのが一番の強み。外を回るのは避けたくて、逃げるかその直後がいいと思っていました。折り合いがつく馬で、スタンド前もゆったり走っていたので、最後まで頑張れるだろうと思って見ていました。状態次第で順調なら、エンプレス杯が目標にしやすいかなと思います。