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第74回全日本2歳優駿JpnI

先行策から突き放し7馬身差
  無傷3連勝で来年へ夢膨らむ

昨年の覇者デルマソトガケがその後、UAEダービーGIIを制し、ブリーダーズカップクラシックGIで2着に健闘したように、世界へと続く登竜門。今年も全国から素質馬12頭が集結し、未来への扉に手をかけた。

舞台となる川崎競馬場は、11月開催の前に砂を洗浄。その効果もあって、よりタフな馬場となり、時計がかかるようになっていた。ただ、傾向は日替わりで、この12月開催は初日と2日目は差しが決まりやすく、全日本2歳優駿JpnI当日は前残り。この馬場を読み切れるかがポイントとなった。

レースはホッカイドウ競馬のオスカーブレインが逃げ、馬群を先導。JBC2歳優駿JpnIIIでは差しに構えたフォーエバーヤング(JRA)が、今回は2番手につけた。兵庫ジュニアグランプリJpnIIを制したイーグルノワール(JRA)がその後ろ。同レース2着のサトノフェニックス(JRA)は中団からレースを進めた。

動きが出始めたのは3コーナーの手前。フォーエバーヤングが早々とオスカーブレインを交わし、イーグルノワールもこれに追随する。2頭ともに手応え良く4コーナーを回り、一騎打ちになるかと思われた。

しかし、直線に向いてからの脚は違った。追い出されたフォーエバーヤングは楽々と突き放し、あっという間に差が広がった。イーグルノワールは食い下がることも許されず、残り200メートルで決着。最後は7馬身差をつけ、フォーエバーヤングが2歳ダート王に輝いた。

これでデビューから無傷の3連勝となったフォーエバーヤング。包まれにくい大外枠ということもあったが、これまでとは違う先行する競馬を見せ、安定感にあふれたレース運びを見せた。マイルの流れや、小回りに対応。時計のかかる馬場を考慮すれば、勝ちタイム1分43秒5(稍重)も非常に優秀であり、ポテンシャルの高さを示す一戦となった。

鞍上の坂井瑠星騎手は「砂をかぶらない位置で行ければ一番いいと思っていましたし、これ以上ない形だなと思って乗っていました。初めての形でも、終始手応えは良かったです」とポジションに戸惑うことなく力を発揮したパートナーをねぎらう。見守った矢作芳人調教師も「あの位置にはびっくりしましたね。中間にゲート練習を熱心にした効果も出て、完璧な位置取りでした」と人馬の走りを称えた。

今回の勝利でケンタッキーダービーGIへの出走馬選定ポイントも獲得。矢作調教師は「海外志向の強い調教師なので『絶対海外』と思われているかもしれませんが、オーナーが新しくできたダート三冠にも魅力を感じるとのこと。どちらにしても、来年が楽しみになる勝ち方、時計だったと思います」と広い視野で調整していく構え。今後はその動向に注目が集まりそうだ。

2着のイーグルノワールは勝ち馬をマークする形で進めたが、直線で力尽きた。松山弘平騎手は「キックバックをかぶってスムーズさを欠いたけど、ナイターをこなしてくれましたし、強い競馬をしてくれたと思います」と一定の評価。最内枠がアダとなったが、積極的な立ち回りで踏ん張った内容は悪くない。今後も枠順や展開次第で、ダート路線をにぎわせるに違いない。

地方勢の最上位はサントノーレ(北海道)の3着。4番手のインでレースを進め、直線でも内ラチ沿いをじわじわと伸びた。「4コーナーで押され気味になったので、それがなければもう少しやれたかも。でも、遊ぶ面を見せなかったですし、成長を感じました」と、服部茂史騎手は笑顔を交えて話した。鎌倉記念制覇に続く好走で、地方勢の意地を見せた形。今後の成長次第で、ダートグレードタイトルも視野に入ってくる。

取材・文大貫師男

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

坂井瑠星騎手

思った以上にいいポジションが取れました。並ばれたら並ばれたぶんだけ走ってくれますが、ここまで離すとは思っていなかったですね。直線は最高の気分でした。新馬の頃から素質を見せていた馬で、牧場や厩舎で丁寧に仕上げていただいた結果。今後に向けて楽しみが広がる内容だったと思います。

矢作芳人調教師

幸い外枠を引けたので、ジョッキーとは砂をかぶらない位置を取りにいこうと話をしていました。今回の競馬で、想像以上に強い馬だなと感じましたね。今後はオーナーの夢を優先して考えていきます。日本で戦うにしろ、海外に出るにしろ、みなさんの期待に応えられるよう精いっぱい仕上げます。