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レディスジョッキーズシリーズ川崎

2戦とも上位人気が逃げ切る
  同ポイントも優勝は関本騎手

昨年11月22日に実施された盛岡競馬場でのレディスジョッキーズシリーズは、神尾香澄騎手(川崎)と関本玲花騎手(岩手)が勝利。そのポイントを引き継いでの川崎競馬場となるため、盛岡を欠場した木之前葵騎手(愛知)、濱尚美騎手(高知)が3位以内を狙うには不利となる。また、兵庫の佐々木世麗騎手がケガで川崎を欠場することになったため、8名での戦いとなった。

川崎競馬場での2戦がともに牝馬限定戦というのは番組編成の粋な計らい。しかしながら第1戦がC3クラスとあっては、力量の差が感じられるのは仕方がないところで、上位4頭が単勝5倍以下で、そのほかの4頭は20倍以上となっていた。

それでもポイント争いのレースとなれば、普段のC3クラスのレースとは違う流れになるのは必然。ゲートが開くと小林捺花騎手(川崎)が先手を主張。前走で2着に逃げ粘った馬に騎乗した木之前騎手は逆に出遅れてしまった。

それでも2コーナーあたりでペースが落ちて、8頭はほとんど一団に。その展開を利用して木之前騎手が馬群の外を回って上昇していった。小林騎手の横には深澤杏花騎手(笠松)がつけていたが、最後の直線に入ったところで首位争いから脱落。そこからは小林騎手と木之前騎手の一騎打ちになった。

しかし木之前騎手の騎乗馬は、追い出しにかかると顔を外に向けっぱなし。それを右ムチで矯正しながら真っすぐに走らせた木之前騎手の技術は見事だったが、それでも追いにくい形になったのは明らか。2頭が先頭で並ぶ瞬間もあったが、最後は小林騎手が突き放して勝利をおさめ、木之前騎手は1馬身差の2着に残った。

その直後には後方から2頭が接近。残り100メートルあたりから鋭く伸びてきた神尾騎手がクビ差で3着、7番人気の宮下瞳騎手(愛知)は3着からクビ差の4着に入った。

そのレースをゴール地点の1コーナー寄りで歓声を上げながら見ていたのが小林騎手の応援団。レース終了後はその20人ほどが横に大きく広がる形で口取り写真におさまった。その一団をとりまとめていたのは小林騎手の両親で、応援団のみなさんにとっては勝つと負けるのとでは大違い。小林騎手にとっても優勝に向けて大きな1勝になった。

ひとつレースをはさんでの第2戦は1600メートルが舞台。宮下騎手が単勝1.7倍と断然の支持を受け、2番人気は神尾騎手で4.5倍、3番人気は関本騎手で5.7倍、濱騎手が7.4倍、小林騎手が9.3倍と続き、6番人気以降は37倍以上という分布になった。

しかし宮下騎手の騎乗馬はゲート入りに時間を要し、大外枠からのスタートもいまひとつ。それでもすぐに加速がついて、1周目のゴール板手前で先頭に立った。

2番手には濱騎手がつけて、3番手のインコースを神尾騎手が追走。向正面に入るとその後ろは5馬身ほどの差がついて小林騎手、また3馬身ほど離れて深澤騎手などが追走する縦長の展開になった。

全体的に速い流れに見えたが、3コーナーを過ぎても宮下騎手の手応えには余裕があったようで、濱騎手が仕掛けても位置関係は変わらず。そのまま宮下騎手が逃げ切って、濱騎手が1馬身差の2着に粘り込んだ。

その後方からインを回って上昇してきたのが関本騎手。距離ロスを最小限にする走りで、3番手で粘り込みを図る神尾騎手を残り200メートルあたりで交わして3着に浮上。この判断が神尾騎手と総合のポイントが同じになることにつながり、そして最終戦で神尾騎手より着順が上という規定による優勝にもつながった。

その結果に関本騎手は「(神尾騎手と)同じポイント数というのがちょっとなあ……」と言いつつも、副賞が入った紙袋を手にうれしそう。総合2位の神尾騎手は「(第2戦のあと)優勝おめでとうと言われたんですが」と苦笑いしていた。

総合3位は小林騎手で「今日の2戦目が3着以内だったらと思っていたのですが。でも表彰台に上がれたのでよかったです」と話した。

ただ、今年のレディスジョッキーズシリーズが盛岡と川崎だけだったことは全員が残念に思っていたようで、深澤騎手は「右回りのほうがいいなあ」と話し、小林騎手も「ヤングジョッキーズも南関東以外が盛岡だったので、西日本の競馬場で乗りたいです」とのこと。中島良美騎手(浦和)が2戦とも人気薄の馬に乗ることになった点も含めて、来年度のシリーズが充実することを期待したいものだ。

取材・文浅野靖典

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

総合優勝 関本玲花騎手(岩手)

2戦目は宮下さんの後ろにいる2人が4コーナーで外に出すかなと思ったので、内を選びました。第2戦の前に(神尾)香澄よりポイントが少ないことがわかっていたので、香澄に負けないようにと考えました。ホームの盛岡で勝たせてもらって、いい流れで臨めたことが結果につながったと思います。

総合2位 神尾香澄騎手(川崎)

第1戦の馬はもう少し距離が長いほうがいいタイプですが、最後にひと脚を使ってくれました。ただ、2着に入ったのが、自分が調教している馬だったので、それは交わしたかったですね。第2戦は着順を狙う乗り方なら3着があったかもしれませんが、でも自分がやれることはできたかなと思います。

総合3位 小林捺花騎手(川崎)

盛岡でもう少しうまく乗れていれば、という思いはありますね。こういう条件では普段の乗り方とは違うので、減量がない乗り方を勉強していきたいと思います。今日の第1戦は先手を取って、スローペースにしすぎて馬が掛かってしまいました。馬が最後まで頑張ってくれて勝てましたが、そこは反省点です。