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第73回全日本2歳優駿JpnI

一気の伸び脚で3連勝
  海外挑戦へ夢ふくらむ

“目指せケンタッキー”とサブタイトルがつけられている国際交流競走の全日本2歳優駿JpnI。日本馬を対象にしたアメリカのケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズの一戦。ケンタッキーダービーGI公式の花である赤い薔薇にちなみ、場内は赤を基調にした装飾が施され、華やかな雰囲気に包まれていた。

今年もJRA、地方他地区、迎え撃つ南関東から精鋭14頭が集結。松若風馬騎手が騎乗した3番人気デルマソトガケ(JRA)が、3連勝で重賞初制覇を飾った。

ハナを切ったのは、エーデルワイス賞JpnIIIの勝ち馬で紅一点のマルカラピッド。2番手集団に、スペシャルエックス(北海道)やコパノハンプトン、オマツリオトコ、ペリエ―ルが続き、その後ろからヒーローコール(船橋)、デルマソトガケが追走し、縦長の展開。「好位にはつけたいと思っていて、できればもう少し前につけたかったですが、前半のペースも少し流れていたので、向正面ではいい位置にいるなぁと思いました」(松若騎手)

3コーナー過ぎからペリエ―ルがスーッと押し上げ先頭に代わると、デルマソトガケもすかさず進出開始。直線半ばでは、マルカラピッドとペリエ―ルの間を割ってオマツリオトコが一度は先頭に立ったが、デルマソトガケが外から一気の伸び脚でゴール直前差し切った。勝ちタイムは1分43秒3(稍重)。アタマ差の2着がオマツリオトコで、1馬身差の3着がペリエ―ル。

「(ペリエ―ルを)目標に追い出しましたが、しっかり反応していたので、どうにか頑張ってくれと僕も必死に追いました」

デルマソトガケは10月2日に未勝利を脱出したばかりで、そこから僅か2カ月ほどで、ダート2歳チャンピオンに輝いた。ゴール後ゆっくりと引き上げてくると、馬の背で松若騎手は大きくガッツポーズをして喜びを爆発させた。

音無秀孝調教師は今後について「サウジからドバイ、レース次第でケンタッキーも」と、海外に挑戦していくことを話していた。過去の全日本2歳優駿の勝ち馬では、1997年アグネスワールド、99年アグネスデジタル、2002年ユートピアが、のちに海外重賞を制している。13年の関東オークスJpnII馬アムールポエジーを母に持つデルマソトガケには、どんな未来が待っているのだろうか。

地方馬最先着は4着のヒーローコール。主戦だった左海誠二騎手が今月から調教師になったため、今回は森泰斗騎手が騎乗予定だったが、レース前日の負傷により笹川翼騎手に変更された。道中は中団の内めを追走し、直線ではJRA勢に食い下がったが、勝ったデルマソトガケに0秒9差。

笹川騎手は「急かし過ぎるとまだ動けないですね。ただ、とてもいい馬でスケールも大きくて、順調なら、来年はこの馬の年になるんじゃないかなと思います。逆に、この川崎の小回りを現状で走れているなという感じで、大井の外回りや船橋とか、広いコースが合いそうです」と絶賛していた。

これで『2歳チャンピオンシリーズ2022』の全日程が終了。総合優勝を飾ったのは、兵庫ジュニアグランプリJpnIIと鎌倉記念で2着だったスペシャルエックス。この全日本2歳優駿JpnIは好位を追走したものの13着。「ハナの後ろで良かったかなって感じはしますけど、意外と気難しさがあるのは若さだと思います。今日は全然走っていないですし、こんなものじゃないです」と矢野貴之騎手。今後の巻き返しに期待したい。

取材・文高橋華代子

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

松若風馬騎手

いい結果が出て素直にうれしいです。(初めて関東への輸送もありましたが)馬はしっかりどっしりとしていたので、馬から勇気をもらえました。以前は口向きに難もあったりしましたが、競馬を使うにつれて解消もしてきて、馬の成長をすごく感じます。これから人馬ともに成長していきたいです。

音無秀孝調教師

そんなに時計を出す馬ではありませんでしたが、今回は追い切りでも自己最速が出たので期待をしていました。普段はうるさい馬ですが、馬群の間を割ってくるような根性もあります。前で競馬をして欲しいとは伝えましたが、出していってもあの位置が精一杯だったようで、流れも速かったので十分です。