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レディスジョッキーズシリーズ盛岡

2戦ともゴール前は大接戦に
  関本騎手は100勝のメモリアル

昨年に続き、今年もレディスジョッキーズシリーズ(LJS)盛岡の出場騎手は7名。ただしメンバーは引退した別府真衣騎手、体調不良のため欠場した濱尚美騎手(ともに高知)に代わって、昨年はケガで出られなかった中島良美騎手(浦和)と今年デビューの小林捺花騎手(川崎)が名を連ねた。

LJS2022最初の舞台は昨年と同じく、6月から続いた盛岡開催の最終日。昨年に続いての出場となる5名は口をそろえて「去年は雨で寒かった」と話したが、今年は晴・良馬場のコンディション。第8レースが終了した15時50分頃に青空の下、ウイナーズサークルで紹介式が行われた。

そのおよそ30分後、第1戦の出走馬がパドックに入ってきたときには場内はすっかり暗くなり、10度以上あった気温が7度程度にまで下がっていた。それでも7名の騎手にとってはまったく関係なかったようで、騎乗前に整列するときには笑い声が聞こえてくるほど楽しそうにしていた。

ただし、周回中の7頭は大半が興奮ぎみ。なんらかの矯正馬具を装着している馬も多く、速い流れになりそうな雰囲気があった。その単勝オッズは佐々木世麗騎手(兵庫)、小林騎手、宮下瞳騎手(愛知)が5倍未満で、あとは10倍以上。そしてゲートが開くと上位人気の3名が先頭を争った。

その前半3ハロンは35秒0で、C1クラスにしては速いもの。先行争いのあとは5馬身ほど離れて4頭が集団で追走するという展開になった。

その流れに宮下騎手の馬は苦しくなって4コーナーあたりから脱落。最後の直線に入ったところでは佐々木騎手と小林騎手の勝負と思われたが、そこに後方から猛烈に伸びてくる馬が首位争いに加わって、ゴール寸前で勝利をさらっていった。

騎乗していたのは神尾香澄騎手(川崎)。検量エリアに戻ってくると表情をゆるめて「うれしい」の声を連発していた。

クビ差2着の佐々木騎手は「(小林)捺花が遅れたから下げると思ったのに下げなくて。それでも馬の状態が良かったので最後まで頑張れたのだと思います」と話した。

その小林騎手は2馬身差がついて3着。「ペースが速いと分かっていましたが、引いても仕方がないので行きました。ただ、4コーナーで勝ちたいという気持ちが出てしまったようで、自分の追いかたができなかったなという感じがしました」と反省していた。

ハイペースの流れを味方につけた神尾騎手は、副賞が入った紙袋を手にして「最後のひと脚があると岩本怜騎手から聞いていたので、その長所をいかすことができました」と喜んでいた。ちなみにその馬(エクシードスター)は前走で関本玲花騎手(岩手)が乗っていたのだが、さすがに同じレースに乗るライバルには聞けなかったようだ。

続く第2戦はダート1600メートルが舞台。こちらもC1クラスだが、前走で好走している馬が多かった第1戦とは違い、出走全馬が前走で勝ち馬から4馬身以上の差で負けていたという組み合わせ。ゲートが開くと神尾騎手以外の6頭が横に並んでしばらく走るという形になった。

そんな先行争いとしては遅いペースに耐えきれなかったのか、中島騎手が騎乗馬の行く気を抑えきれず先頭に立った。それを合図に徐々に隊列は長くなり、3コーナーあたりでは先頭から最後方まで15馬身以上。

そして4コーナーでは中島騎手が先頭、2番手を進んだ関本騎手、3番手の宮下騎手の争いになり、さらにインコースを突いた小林騎手が加わってきた。ゴール手前では4頭が横に広がっての追い比べ。その争いは関本騎手が制し、中島騎手がアタマ差2着。宮下騎手は半馬身差3着で小林騎手が4着に入り、その後は大差がついた。

関本騎手はこの勝利が通算100勝目。「あと1勝って、朝からいろんな人にプレッシャーをかけられました」とのことで、2着惜敗の中島騎手が「レース前に約束していたので」と、100勝のプラカードを持って記念写真におさまった。すると、当日のうちに名古屋に戻る宮下騎手以外が写真撮影の場所に駆け寄ってきた。その場にいた6名はすべて今年のヤングジョッキーズシリーズに出場した若手騎手でもあった。

盛岡でのポイント争いの結果は、4着と1着を得た関本騎手が42ポイントでトップ。続いて1着と5着の神尾騎手が2ポイント差で2位となった。

次の舞台は3月2日の川崎競馬場。とはいえ、ポイント争いのシリーズはひとつ勝つと形勢が変わることが多く、この時点でもすべての騎手に優勝の可能性が残っている。今回は木之前葵騎手(愛知)も骨折のため欠場したが、川崎では濱騎手も加えた9名での戦いになることを期待したい。

取材・文浅野靖典

写真佐藤到(いちかんぽ)、NAR

Comment

第1戦1着 神尾香澄騎手(川崎)

去年はいい成績だったので、いいイメージを持って臨めました。レースでは前の3頭が速かったので、聞いていたとおりの脚を使ってくれればと思いながら乗りました。ゴールの手前で(佐々木)世麗騎手の馬が反応した感じがしたのですが、最後まで頑張って走ってくれました。運もよかったと思います。

第2戦1着 関本玲花騎手(岩手)

今年の盛岡での騎乗が最後なので、ここで100勝を決められたらとは思っていました。前半は(中島)良美と競って、最後に勢いよく来た馬もいましたが、気力で頑張ってくれました。シリーズ競走で勝ったことがなかったので、ホームで勝ててよかったです。でもゴールの瞬間は『100勝だ』と思いました(笑)。