web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第19回レディスプレリュードJpnII

直線末脚を発揮し重賞初制覇
  GDJはダノンレジーナが優勝

かしわ記念JpnIを制したショウナンナデシコが、秋初戦を迎えた。JBCを含めたビッグレースが控えているだけに、目標が先になることは十分に分かっていたが、牡馬相手のJpnIを制した実力に加え、スパーキングレディーカップJpnIII制覇時より軽い別定57キロで出走できるとなれば、否応にも期待は高まる。単勝1.4倍のオッズがそれを物語っていた。

とはいえ、JRAからはダートグレードで好走を続けているプリティーチャンスやテリオスベルなどがエントリー。地方からもグランダム・ジャパン古馬シーズンの総合優勝をほぼ手中にしている浦和のダノンレジーナなど、好メンバーが顔をそろえた。女王を巡る戦いの火ぶたが切って落とされた。

先手を奪ったのはショウナンナデシコ。この路線の先導役を務めてきた大井のサルサディオーネが不在となれば、かしわ記念JpnIと同様に逃げ切りを狙う。JRAのフラーレン、ダノンレジーナと続き、浦和のリネンファッション、プリティーチャンスという隊列で向正面へ。前半の3ハロンは38秒2と落ち着いた流れになった。

ここで後方からテリオスベルが仕掛け、向正面いっぱいを使って先頭に躍り出る。しかし、その動きも先行勢にとっては想定内だった様子。一時的にペースは上がったものの、これに追随して動く馬はおらず、レースが極端に活性化することはなかった。

先団を形成する各馬の手応えは、4コーナーでも絶好。なかでも外に持ち出したプリティーチャンスの脚いろが良く、残り100メートルで先頭に並びかけるとゴール前で抜け出し、1馬身差で重賞初制覇を果たした。

ブリーダーズゴールドカップJpnIIIでは後方から2着に追い込んだプリティーチャンスだったが、今回は先行集団の一角につけ、持ち前の末脚を発揮。岩田望来騎手は「前走は速い馬場で置いていかれていたのですが、今回はすごくいい手応えで4コーナーまで回って来られたので、これならと思いました」と振り返る。この馬の後半3ハロンは36秒9で、これまで重賞を勝ち切れなかった鬱憤を晴らす快走だった。野中賢二調教師も「ブリンカーを浅くしたり、馬具を工夫してレースに臨みました。最後は必ず脚を使ってくれるので、あの位置にいればなんとかなると思いました」と喜んだ。

2着はテリオスベル。直線でショウナンナデシコにかわされたものの、ゴール前で差し返す勝負根性を見せた。江田照男騎手も「スタートで出ていく馬ではないからね。長くいい脚を使ってくれたし、最後までよく頑張ってくれた」とねぎらった。逃げて勝った実績もあるが、本質的にはこうした競馬が合っているとのこと。仕掛けのタイミングやペース次第でタイトル獲得のチャンスがある。

一方、人気を背負ったショウナンナデシコは3着に敗れた。脚部不安で攻め切れない面があり、レース間隔があいたのが響いたかたち。吉田隼人騎手は「内でスムーズな競馬ができたし、砂をかぶってもマイペースで走ることができました。これを叩いて次は良くなると思います」と前を向いた。ここを使っての上積みは大きいはずで、次走以降の巻き返しが期待できる。

なお、グランダム・ジャパン古馬シーズンは、他地区遠征で対象レース3勝を挙げたダノンレジーナが合計47ポイントで総合優勝。1000万円のボーナス賞金を獲得した。2位はグランパラディーゾ(大井)、3位はサルサディオーネ(大井)で南関東勢が上位独占となった。

取材・文 大貫師男

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

岩田望来騎手

パドックでも雰囲気良く周回していて、返し馬の感じもすごく良かったです。しっかり脚を使ってくれると信じていましたし、必死な思いに馬も応えてくれました。コンビを組ませてもらうときには、いつも以上に自信を持って乗ることができます。いいところを出し切ることができて良かったです。

野中賢二調教師

重賞を獲らせることができてうれしく思っています。ジョッキーもうまく乗ってくれましたし、今回は絞れて落ち着きもあり、いい感じに仕上げることができました。次走は盛岡や中央のジーワンを意識していますが、左回りだと思ったほどの成績は残せていないので、オーナーと相談して決めるつもりです。