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第33回テレ玉杯オーバルスプリントJpnIII

3番手から直線突き抜ける
  DG3勝でさらなる高みへ

2018年と19年のテレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIは、地元・浦和のノブワイルドが快速ぶりを披露し連覇を飾った。しかし、昨年の船橋記念(競走中止)で左前球節完全脱臼を発症し重篤な状況に陥ったが、生命力の強さと関係者の諦めない気持ちで無事に回復。現役引退から1年ほどが経ち、今年から白馬牧場で本格的に種牡馬の仕事を開始。順調に行けば来春には産駒が誕生予定という、うれしい話を聞いた。

33回目となる今年の出走メンバーは、ダートグレードで2勝をあげ実績トップのJRAシャマルが単勝1.9倍の1番人気。2.9倍で2番人気が地方重賞5勝の地元・浦和ティーズダンク。4.0倍の3番人気が古馬のダートグレード初挑戦となるJRAの3歳馬リメイク。

そして結果もこの人気3頭が上位を独占。直線抜け出して完勝のシャマルを「本当に強い競馬だったと思います」と、コンビを組む川須栄彦騎手が称えていた。

9歳馬プレシャスエースがハナを切っていくと、2番手にオパールシャルムで、外の3番手にシャマル。それらを見る形でリメイクやティーズダンクが追走。少し離れたところから、他の地方馬たちが追いかけていく展開。

「スタートの一歩目もタイミングのいい出方をしてくれたので、あとは馬のリズムと先行馬の動きを見ながら進めていきました。すごく理想的なポジションで進めることができたんじゃないかなと思います」(川須騎手)

3コーナー付近からプレシャスエースが後続との差を広げにかかったが、2番手に上がったシャマルが、最後の直線に入ると一気に交わして先頭へ。進出したリメイクが並びかけようとしたが引き離し、1馬身半差をつける快勝。勝ちタイムは1分25秒8(重)。2着がリメイク、3馬身差の3着は直線で脚を伸ばしてきたティーズダンクだった。

シャマルは今年4月にダートグレード初挑戦で東京スプリントJpnIIIを制すと、前走のサマーチャンピオンJpnIIIに続く3つ目のタイトルを獲得。「前走はスタートで躓いてドキッとしましたが、基本的には上手なので、スーッと好位につけられてレースの組み立てがしやすいと思います」(松下武士調教師)

父はダートグレード19勝のスマートファルコン。まだ4歳のシャマルはこれからダート短距離界でどのくらいの勝ち星を積み重ねていくのだろう。

地方馬最先着の3着だったティーズダンクは、昨年のテレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIと今年のさきたま杯JpnIIでともに2着。「3コーナーで置いていかれないようについて行こうとしましたが離されてしまい、それでも最後はしっかりと伸びてくれました。力のある馬ですし中央馬に勝ちたいです」と和田譲治騎手。

一方、4着に逃げ粘ったプレシャスエースの左海誠二騎手は「直線を向く手前で夢を見ました。最後は伸びが違いましたが、このメンツの中で頑張ったと思います」とコメント。ノブワイルドを送り出した陣営が、今年はプレシャスエースで魅せてくれた。

取材・文高橋華代子

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

川須栄彦騎手

トリッキーな浦和コースも人馬ともに2回目でしたし、さきたま杯で3着に負けた反省点を踏まえてレースに臨んで、馬がしっかり応えてくれました。今日はシャマルといい競馬をすることができて人気に応えて勝つことができました。またさらに活躍が楽しみになると思います。

松下武士調教師

前回は佐賀のサマーチャンピオンに行って間隔が短かったですが、体の回復も早く、いい状態でレースに臨めました。ゲートも上手に出て、終始安心して見ていました。JBCスプリントには(賞金的に)出られないという話なので、状態を見て、南部杯に登録しようと思っています。