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ヤングジョッキーズシリーズ TR 佐賀

2戦とも1番人気での勝利
  人気薄が2着で波乱決着に

佐賀競馬場で行われるヤングジョッキーズシリーズ(YJS)のトライアルラウンドは、JRA所属騎手が5名、地方所属騎手が7名というのが当初の予定。しかし間際になって角田大和騎手(JRA)が参戦できないことになった。その代役として指名されたのは、兵庫所属で現在は佐賀で期間限定騎乗をしている青海大樹騎手。青海騎手は騎手紹介式には参加せず、使用された騎手名入りのゼッケンは角田騎手のままだったが、笑顔を見せながら第1戦のパドックに現れた。

この日は朝から晴天で、最高気温は35度を突破。さらに昼過ぎのスコールで競馬場の湿度が一気に上がった。それでも馬場状態は良のまま(天候は曇)で、スタンド前のアスファルトの色もすぐに元通りになった。

その状況は、地元の調教師や厩務員などでさえも「暑い」と繰り返すコンディション。しかし出場する12名の騎手は、そこには意識がまったく行っていないようだった。第1戦は永島まなみ騎手(JRA)が単勝1.9倍で、川端海翼騎手(JRA)が2.2倍と人気を二分。古川奈穂騎手(JRA)は締め切り10分前あたりまで10倍を切る3番人気だったが、これは前売りでの“騎手人気”。最終的には17.8倍で4番人気となった。

4コーナーの奥で1400メートル戦のゲートが開くと、先手を主張したのは永島騎手。続いて青海騎手、松本大輝騎手(JRA)も積極的に動いた。しかし多くの騎手は様子見といった雰囲気でスローペース。このあたりは「どこを通ったらいいのかよくわからなくて、馬に誘導してもらいました」という永島騎手の声に代表されるように、佐賀が初めてという騎手が多かったためだろう。

しかしスローペースでも全体の隊列は縦長。川端騎手の騎乗馬は気性的に難しい面があるタイプで、前半で行き脚がつかずに苦労していた。それとは対照的に、主導権を取った永島騎手は余裕十分で逃げ切り。満面の笑顔で検量エリアに戻ってきた。

2着は中団から追い込んだ9番人気の大山龍太郎騎手(兵庫)。「前半の反応が悪かったので細かくステッキを入れていきましたが、最後はしっかりと伸びてくれました」と、20ポイントの獲得を喜んだ。3着には7番人気の松本騎手。長い手足を使い、ここのところ先行できなかった馬を3番手に付けさせた技術が光った。

川端騎手は3コーナーあたりからようやく行き脚がついて4着に浮上。3番人気に推された塚本征吾騎手(愛知)は、門別からの転入初戦でマイナス24キロという馬の状態が響いたか、最下位という結果だった。

続く第2戦は、佐賀に移ってから2戦2勝という馬に騎乗する加茂飛翔騎手(佐賀)が1.9倍で抜けた人気。レースでは4番手から徐々に位置を上げ、3コーナー手前で先頭に立って押し切るという内容で勝利をおさめた。

しかしもっとも“魅せる”騎乗をしたのは、2着に入った山田義貴騎手(佐賀)。騎乗したのは、単勝149.8倍という離れた最低人気馬。差のある敗戦続きのその馬で後方からインコースを通って追い上げた騎乗には、佐賀競馬場の厩舎で育ったというアドバンテージを感じさせるものがあった。続く3着には第1戦と同じく松本騎手。その好結果に水を向けると「馬のおかげです」と高い身長を小さくしながら照れ笑いしていた。

第1戦で2着に入った大山騎手は、2コーナーで行きたがる馬をなだめて脚を溜めたが、最後は粘れずに4着。それでも「(昨年は出場を辞退したため)兵庫以外の競馬場で乗ったのが初めて。楽しかったですし、いい経験になりました」と、刺激を受けていたようだった。

一方、金山昇馬騎手(佐賀)は今年がYJSラストイヤー。2戦とも5着という結果に「まずまずだったとは思いますが、あー、でも第1戦は4着が狙えたかなあ。第2戦も2コーナーでもっと前に行かせていればよかったかも」と、心残りがある様子。今年が最後になる可能性が高い東川慎騎手(笠松)は「第1戦は外を回りすぎました。外に出せばいいってわけじゃないんですよね。佐賀のコースはとても難しかったです」と反省していた。

初出場の中山蓮王騎手(佐賀)は、この日の出場騎手では唯一、8月16日のトライアルラウンド金沢に向かう予定。この日は8着と10着で合計5ポイントに終わったが「次は少しでもポイントを稼ぎたいです」と巻き返しを誓った。

取材・文浅野靖典

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 永島まなみ騎手(JRA)

前走の騎手(加茂騎手)に馬の特徴を教えてもらって、調教師さんからは砂をかぶらなければと聞いていました。自分でもレース映像を見て「逃げたら強い」と思っていたので、スタート後に競られかけましたが強い気持ちで逃げました。馬も集中してくれて、いい手ごたえで最後まで走ってくれました。

第2戦1着 加茂飛翔騎手(佐賀)

佐賀では2戦とも逃げ切りでしたが、前に行く馬が多かったので好位からにしようと考えていたら、スタートがいまひとつ。結果的に考えていたとおりの形になりました。ただ、自分の手の内に入れてレースをしたかった気持ちはありますね。でも力が抜けている馬で勝てたので、正直なところ安心しました。