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第6回石川ダービー

3コーナー先頭から後続を寄せ付けず
  生え抜き牝馬が6連勝でダービー制覇

一冠目の北日本新聞杯、そして石川ダービーと、前年から1カ月ほど時期を繰り下げた日程となって迎えたダービーシリーズの最終戦。

金沢のこの世代は、門別未勝利勝ちから転入後、笠松遠征も含めて2歳時にはほぼ敵なしの活躍を見せていた牝馬のエムティアンジェが北日本新聞杯を前に脚部不安のため戦線離脱。代わって台頭してきたのが、同じく牝馬のスーパーバンタムだった。2歳時は勝ちきれないレースもあったが、年末の準重賞・あての木賞を6馬身差で圧勝。冬期休催を挟み、地元デビュー馬限定の3歳牝馬によるノトキリシマ賞、さらに北日本新聞杯まで5連勝で迎えた“ダービー”は、単勝1.3倍の圧倒的人気に支持された。

サエチが先頭に立ってエヴォラが2番手、伏兵2頭が先行し、注目のスーパーバンタムは掛かり気味に3番手から。2番人気のリュウノガルシアがこれをピタリとマークした。逃げ馬が多いメンバーでハイペースも考えられたが、スーパーバンタムが控えたためか落ち着いたペースでレースが流れた。

向正面中間でスーパーバンタムが手応え十分のままペースアップすると、対称的にリュウノガルシアは追っても反応がない感じで後退。北日本新聞杯2着だったスタイルユアセルフが中団から、さらに直線勝負のスターフジサンが後方から、スーパーバンタムを目標に位置取りを上げてきた。

しかし3コーナーで先頭に立ったスーパーバンタムの手応えは楽なまま。直線を向いて追い出されると、後続を寄せ付けないままの完勝。青柳正義騎手は左手をスタンドのほうに突き上げてのゴールとなった。

スターフジサンは馬場の外目を伸びたものの3馬身差で2着。「前残りの展開で、よく追い込んでくれた」と、中島龍也騎手は納得の様子。さらに1馬身半差で3着のスタイルユアセルフは、「ハイペースに巻き込まれたら怖いのでうしろから行ったら、思ったより流れが落ち着いた。手応え十分で、これならと思って勝ち馬と一緒に動いたら、全然勢いが違いました」と、魚住謙心騎手は悔しそう。フルゲート12頭中7頭が牝馬だったが、牝馬が掲示板を独占する結果となった。

一方、前の馬たちから大差がついて9着のリュウノガルシアは、ゴール入線後に吉原寛人騎手が下馬。厩務員に引かれて戻ってきたが、向正面での失速は脚元に違和感があったようだ。

石川ダービーは今年で6回目だが、勝ったスーパーバンタムの青柳騎手は、「石川ダービーを逃し続けてきたので、今回は強い気持ちで臨んでしっかり勝つことができたのですごく嬉しいです」と、これまでの悔しい気持ちを語った。

管理する鈴木正也調教師は、「夏に強いと思っていたので、(3月から)大事に1開催おきに使ってきました。すごく落ち着きがでてきて、連勝する中で力をつけてきました。ここだけに集中してきたので、次のことはまだ考えていません」とのこと。

ダービーシリーズの前身、ダービーウイークが始まったのは2006年。当初金沢には対象レースがなく、石川ダービーが新設されてシリーズに加わったのは17年のこと。鈴木調教師、青柳騎手の師弟コンビでは14年にケージーキンカメで東海ダービー(名古屋)を制していたが、あらためて待望の地元の“ダービー”制覇となった。

取材・文 斎藤修

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

青柳正義騎手

2歳の頃はひ弱だったんですけど、別の馬かというくらい変わってきて、成長力には驚かされるばかりです。馬が止まっていたわけじゃないんですけど、ゴールまで遠かったです。石川ダービーが始まって6年、その長さを直線に感じました。地元生え抜きで頂点に立てたことは、とてもうれしく思います。

鈴木正也調教師

思い通りの展開でした。最初少し掛かっていましたがすぐに折り合いがついたので、3コーナーあたりでいけた感じでした。馬主さんは馬を持ってこれが3頭目で、120万円(税別)で競り落としたんですけど、ラッキーですね。馬主さんに頼まれて自分で見つけた馬ですが、これほどになるとはびっくりです。