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トロヴァオ


高橋華代子

2022.06.20 (月)

「気になるあの馬はトロヴァオ」

提供:東京シティ競馬

6月8日に大井競馬場で南関東3歳馬の頂点を決める東京ダービーが行われ、本橋孝太騎手が騎乗したカイル(浦和・小久保智厩舎)が優勝しました。

この東京ダービーはトロヴァオが誘導馬デビュー。先輩誘導馬のボンネビルレコードやナイキスターゲイザ、クリールマグナムとともに、4頭で華やかに登場しました。

トロヴァオはホッカイドウ競馬デビュー。2歳秋から大井の荒山勝徳厩舎<小林>の一員になりハイセイコー記念を制すると、3歳ではダービーグランプリ、7歳でフジノウェーブ記念、結果的にラストランとなった8歳のサンタアニタトロフィーと、重賞タイトルは4勝。

JBCスプリント(浦和)では3着に入り、ダートグレード競走でも好走。右前脚支持靭帯炎により現役を引退し、大井競馬場の誘導馬として歩み始めました。

現役時代のトロヴァオは、千葉県印西市の小林牧場で過ごしていたため、引退が決まると、大井競馬場の誘導馬厩舎へお引越し。もう速く走る場所ではないんだよということを、誘導馬責任者の坂口昇さんがつきっきりで訓練を続けてきました。

トロヴァオは頑固なところがあり急に動かなくなることもあるため、時間をかけてその不安を取り除いていきながら、地道に訓練を積み重ねてきた日々。

人馬ともに、何事もイライラした気持ちの時は集中できずにうまくいかないことから、トロヴァオも常に落ち着いた気持ちで学べるようにと、乗るだけではなく日々の生活も大切にし、坂口さんをはじめ厩舎スタッフの皆さんとも信頼関係を築いてきたそうです。

東京ダービーは5000人近くのお客様が入場し、久しぶりにコロナ禍以前に戻ったかのような賑わい。そんな中、トロヴァオは坂口さんを背に堂々とエスコートし、近くにいた人が真横で物を落とすというまさかのハプニングもあったそうですが、そんな時も必死に耐えて、無事に誘導馬デビューを果たしました。

「パドックからトンネルを潜った時に、(トロヴァオは)今までにないくらい緊張していました。背中からの動きが全部固くなって、いつもと何か違うことを感じていたのでしょうね。ガチガチでしたが、すごく我慢してくれたと思います。今日の誘導は点数にすれば100点を超えていますよ!これからまた数をこなしていきながら、課題をひとつずつ取り除いていって、立派な誘導馬になって欲しいですね」とトロヴァオの頑張りを称えていた坂口さん。

誘導馬騎乗者の皆さんから「トロちゃん」という愛称で呼ばれている栗毛のかわいい男の子。大井競馬場の人気者として第二の生活を歩んでいって欲しいと思います。トロヴァオ、誘導馬デビューおめでとうございました!

坂口さんのTwitterに、訓練の様子なども紹介されています。坂口昇(@ineztwo)さん / Twitter

高橋華代子(たかはしかよこ)

元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ など