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第50回北海優駿(ダービー)

満を持して直線抜け出す
  三冠へ期待の広がる勝利

ホッカイドウ競馬の3歳三冠は、一冠目の北斗盃が内回り1600メートルで、二冠目の北海優駿は外回り2000メートル。距離の違いだけではないそれぞれの適性が求められる。そういう意味では、北斗盃の上位6頭が出走してきたが、別路線組や新興勢力の4頭にも十分に可能性がある一戦。

それでも単勝1.7倍の断然人気に支持されたシルトプレが見事二冠を達成して見せた。北斗盃2着だったエンリルが今回も逃げ、同3着だったマナホクも直線追い込み、それぞれ見せ場をつくったが、中央未勝利からこの春転入し、重賞初挑戦となったボニーマジェスティが2着に割って入った。

成績表の数字だけを見れば、シルトプレの勝ち方は、一冠目とさほど変わってない。北斗盃が2着エンリルに1馬身差、3着マナホクにさらに1馬身差。そして今回の北海優駿は、2着ボニーマジェスティに1馬身半差、3着マナホクにはさらに1馬身差。しかしレース内容はまったく違っていたという。

「前走は本来の走りではなく、やっと勝ったような内容だったんですけど、今日は本来の走りを取り戻してくれて終始余裕がありました」と石川倭騎手。たしかに北斗盃では3~4コーナーで先頭のエンリルからまだ離れた3番手で、そこからムチを入れて追って追ってようやくゴール前で差し切った。しかし今回は、4コーナー手前で先頭のエンリルを射程圏にとらえる位置で手応え十分。直線では余裕を持って抜け出した。「今回は強い内容でした」と、インタビューで石川騎手は何度も繰り返した。距離延長の外回りコースで余裕を持ってレースを運べたこともあっただろうが、精神的にも肉体的にも成長したということだろう。

一方で中央1戦未勝利から転入して今回が門別4戦目のボニーマジェスティは、7番人気ながら見せ場たっぷりの2着。道中は外目4番手を追走し、4コーナーで先頭のエンリルをとらえにかかったときなどは、そのまま突き抜けるのではないかという勢いがあった。「ダービー、勝ちたかったですね」と岩橋勇二騎手は悔しそうな表情。「前半ちょっとかかったところがありました。距離は長いと思っていたので、1800メートルになるのはいいので、次(王冠賞)は勝ちたいです」。初めて同世代のトップクラスとの対戦を経験して、残す一冠に挑むことになる。

二冠を制したシルトプレの目標は、当然のことながらホッカイドウ競馬史上7頭目の三冠がかかる王冠賞。今年は、昨年(7月22日)より1カ月近く時期が繰り下がって8月16日。「間隔が開くので、間に1戦使うかどうか。使うとすれば(古馬との)オープン格付けになってしまうので、直接でも大丈夫だと思いますが、オーナーと相談します」と米川昇調教師。

鞍上の石川騎手は、昨年のラッキードリームに続いて、北海優駿は2年連続3度目の制覇。そのラッキードリームに続いて2年連続での三冠を狙うことになるが、昨年は怪我のため一冠目の北斗盃は乗替りとなっていた。あらためて、自信の手綱で三冠を目指すことになる。

取材・文 斎藤修

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

石川倭騎手

終始手応えは良かったので、焦らず抜け出すタイミングをずっと考えながら乗っていました。先頭に立ってからずっと遊んでいたので、外から追い込まれないかそれだけ不安でしたが、ほんとに強い内容でした。シーズン前から三冠を意識していたので、次も勝てるようにしっかり調整していければと思います。

米川昇調教師

一冠目は危ない感じでしたが、今回は気合乗りもよかったので、本来の走りができたと思います。(2000メートルは)心配していたんですけど、他の馬も初めてなので、なんとなく大丈夫かなと感じていました。レースは余裕があったので、大丈夫だろうと思って見ていました。なんとか三冠を獲りたいですね。