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第58回関東オークスJpnII

2番手追走から差し切る
  二冠牝馬は惜しくも3着

今年こそ、チャームアスリープ以来16年ぶりに南関東の牝馬三冠馬が誕生するか。

それが大きなテーマのひとつになった今年の関東オークスJpnII。しかし結果は3着。それでも激しい先行争いに参加して、そして最後の直線で伸び脚を見せた内容には見どころがあった。

ここまで二冠を制したスピーディキックは、今回JRA馬が相手でも1番人気の支持を受けた。2戦2勝のドライゼが2番人気で、リッキーマジック、グランブリッジ、ラブパイローが10倍未満で続いた。

上位拮抗という様相のなか、ゲートが開いた瞬間に先手を取ったのはスピーディキック。しかし100メートルほど進んだところでラブパイローがスピードに乗って先頭に立った。1周目の3コーナー手前ではグランブリッジが2番手に上がり、スピーディキックは3番手。そのあとドライゼ、リッキーマジックと、上位人気の5頭が先行集団を形成した。

その争いが激しくなった影響で隊列は長くなったが、最初のホームストレッチでラブパイローがペースを落としたところで、トキノゴールドなどが位置を上げてきた。

しかし前に行った3頭の実力が上。ラブパイローが逃げ切りを狙うところ、2番手で脚を溜めていたグランブリッジが残り100メートルあたりで先頭に立って押し切り勝ち。スピーディキックは最後の直線で伸びてきたが、3馬身差で2着に粘ったラブパイローに半馬身、届かなかった。

勝ったグランブリッジは昨年9月の新馬戦で7着だったが、その後は3着と1着を繰り返して今回は連勝。新谷功一調教師は「成長していると感じます」と笑顔を見せた。

一方、2着に敗れたラブパイローの山崎誠士騎手は「最後は相手と脚が違いました」と、自身の力は出し切ったという表情。前走のゲート入り前に他馬を蹴っていたことから、この日のパドックでは最後尾を歩いた。山崎騎手はその点にも気を配っていたそうで、それが好走につながった要因のひとつかもしれない。

3着のスピーディキックは藤原智行調教師が「相手が強かったですね」と認めつつも「それほど差があるわけではなさそう」と前向き。「勝ったらJRAの芝へという考えもありましたが、今のところは適度に間隔を取りつつ、門別(ブリーダーズゴールドカップ)やJBC(レディスクラシック)など、騎手と相談して決めたいと思います」と話した。

2番人気のドライゼは5着。「スタートからずっとハミを噛んで、力みながら走っていた」(ダミアン・レーン騎手)そうで、持ち味を発揮できなかった様子。リッキーマジックは7着で、加藤征弘調教師は「距離が長かったかな」と話した。

グランブリッジは今後、短い休養を入れつつ続戦していく方針とのこと。となれば、スピーディキックと近いうちに再戦する可能性が高そうだ。

そのスピーディキックは今回の3着で、グランダム・ジャパン3歳シーズンのポイントを大きく加算して逆転優勝となった。その件を藤原調教師に話すと「えっ、そうなんですか。まったく意識していませんでした」と苦笑い。「牝馬三冠のほうに頭が行っていましたからね。でも本当ですか」と、思わぬボーナスにうれしそうな顔を見せていた。

取材・文 浅野靖典

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

福永祐一騎手

とてもいいコンディションだと感じました。ラブパイローが(スタートからしばらくして)来ましたが、そこで(スピーディキックに)2番手を取られないようにしたのが勝因になったと思います。小回りコースで走りにくそうにしていましたが、初のナイターでも結果を出せて、精神力がある馬だと思います。

新谷功一調教師

ここまで小沢騎手で勝ち上がってきましたが、今回は川崎競馬場の経験がある福永騎手に依頼しました。最初のころは華奢でしたが、一戦ごとに力強くなっていると感じていましたし、今日の位置取りはこれ以上ないというほど理想的。でも最後は早くゴールが来てくれという思いで見ていました。