web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第22回留守杯日高賞

圧巻の10馬身差で重賞連勝
  GDJトップに立って最終戦へ

水沢競馬場で行われる留守杯日高賞が終了すると、グランダム・ジャパン3歳シーズンは最終戦の関東オークスJpnIIを残すのみ。のじぎく賞までの時点では、獲得ポイント数のトップは南関東で牝馬二冠を制したスピーディキックとなっている。川崎所属で佐賀のル・プランタン賞を制したケウは、のじぎく賞に進んで8着。同じく遠征競馬で東海クイーンカップを勝った船橋のグラーツィアは水沢遠征を選んだ。

グラーツィアは重賞2勝の実績はあるが、南関東では未勝利。そこに活路があるという判断があったのか、浦和、大井、川崎から1頭ずつ、南関東で勝利を挙げた馬が遠征してきた。

浦和のキックフリップは地元で2勝、川崎のササノハクズはデビュー戦を圧勝し、2頭ともここまですべて5着以内。大井のササキンローズは、2歳時に盛岡のプリンセスカップに遠征して2着に入った実績がある。

ただ、2番人気に推されたのは、地元のボサノヴァ。グラーツィアの1.5倍に次ぐ、3.5倍の支持を集めた。3番人気のササノハクズは10.6倍、キックフリップは24.6倍で6番人気という単勝オッズの分布は、3紙ある専門紙が打ったシルシとは違う様相になっていた。

しかしフタを開けてみれば、グラーツィアが2着馬につけた差は10馬身。まさに“モノが違う”という印象が残る勝利だった。

水沢1600メートルは4コーナーから斜め奥に入る引き込み線からのスタートで、150メートルほどの場所にある右カーブが最初の勝負どころになる。ゲートが開くと地元所属の内枠3頭と10番枠のカクテルライトが先行策に出て、そこに大外枠のグラーツィアが内に切れ込みながら加わってきた。

ササノハクズ、ササキンローズは中団あたりを進み、しかしともに3コーナー手前で手応えが怪しくなって失速。キックフリップは後方から見せ場のないのままゴール地点を迎えてしまった。

10着に終わったササノハクズは「右回りが初めて。外に張ってみたりして、自分の走りができていない感じでしたね」と、手綱を取った村上忍騎手。キックフリップも初めての右回りが敗因になったようだった。

その反面、グラーツィアは「現状では右回りのほうが向く」(米谷康秀調教師)というタイプ。前走に続き、右回りの舞台で勝利をおさめた。

グラーツィアからは大きく離れたが、2着から6着までは岩手所属馬が独占。2着のビッグタマテルーフは「しぶとかったですね。前にいたカクテルライトがバテて、その流れをうまく立ち回ることができました」と、岩本怜騎手は笑顔。2着から1馬身半差の3着に入ったボサノヴァも「タイプ的に1400メートルよりは1600メートルのほうが向いていますね」と、山本聡哉騎手が振り返った。

グランダム・ジャパンの優勝争いは、グラーツィアが合計30ポイントを獲得してトップ。最終戦の関東オークスJpnIIに出走するであろう、2位のスピーディキックとの差は13となっている。しかし最終戦の舞台は左回りの川崎競馬場。

それでも指揮官は「さきほど馬主さんと話しましたが、関東オークスを目指したいと思っています」と、優勝を見据えた。

取材・文 浅野靖典

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

笹川翼騎手

逃げた1番の馬(ボサノヴァ)が相手かなと思っていたので、それを目標にして進みました。返し馬の雰囲気も良くて、レースには自信を持って臨みましたが、最後はかなりの差がつきましたね。(次走予定の関東オークスは)左回りで課題がありますが、次も任せていただけるなら頑張りたいです。

米谷康秀調教師

園田(のじぎく賞)も考えましたが、少しでも前走からの間隔が長いほうがいいと思ってこちらに来ました。調教の動きに力強さが出てきているので、成長期に入っているのだと思います。レースでは笹川騎手が、逃げる馬を行かせて好位につけて4コーナーで先頭という、青写真どおりの騎乗をしてくれました。