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第67回羽田盃

ゴール前内外離れての接戦
  重賞初挑戦ながら一冠奪取

今年の南関東3歳勢は、雲取賞と京浜盃を連勝したシャルフジンが一歩リード。ただ、距離に対する課題は常に陣営が口にしてきた。全日本2歳優駿JpnI・3着のプライルードも距離に不安があり、NARグランプリ2021・2歳最優秀牡馬のナッジも勝ち切れていない。別路線組もレースごとに勝ち馬が変わってきたように、まれにみる混戦模様を呈して三冠初戦を迎えた。

大方の予想通りシャルフジンが逃げ、クライオジェニックが2番手につける。前残りの馬場もあって先行勢は強気のレース運びとなり、前半の3ハロンは35秒3のハイペースで進んだ。それでもシャルフジンの御神本訓史騎手は手を緩めず、3~4コーナーではセーフティリードを築くべく他馬を突き放しにかかる。3馬身ほど抜け出して直線に向き、『勝負あったか』と思わせた。

しかし、残り200メートルでシャルフジンの脚いろが鈍る。追いかけてきた先行勢も脚が上がり気味。そこへ内ラチ沿いからミヤギザオウ、外からライアンが鋭く迫り、ゴール手前で2頭が抜け出した。クビ差の接戦はミヤギザオウに軍配が上がり、重賞初挑戦、9番人気ながら“一冠”を手にした。

大井でデビューしたミヤギザオウは、ここまで5戦2勝で、全て5着以内を確保する安定した成績。レース前に森下淳平調教師が「身体の使い方を覚えて、体幹が使えるようになりましたね。展開ひとつでしょう」と話していたが、それを具現化するような走りを見せた。内めでうまく馬群をさばき、進路が開くと伸びやかなストライドで抜け出した。

初めて手綱をとった真島大輔騎手は「内があいていたので、外に出す選択肢はなかったですね」と迷いのない騎乗で勝利に導いた。陣営としては東京ダービーの出走権獲得が最大目標ではあったが、“満点回答”で三冠初戦を終え、「迎え撃つ立場でも勝てるように、自分も努力していきたいと思います」と兜の緒を締めた。

13番人気のライアンが2着。平和賞を勝ってからは今ひとつの走りが続いたが、この舞台で地力の高さを示した。「進みが今ひとつだったね。それだから末脚が切れるのかもしれないけど。距離は長くなったほうがいい」と今野忠成騎手。勝ち馬と同様、展開が向いた面もあるが、エンジンが掛かってからの重厚な末脚は、今後も大きな武器となるはず。東京ダービーでも目が離せない存在だ。

3着にはシャルフジン。しまいにこらえきれなかった形だが、御神本騎手は「マークも厳しかったし、反応も良くなかった。それでも、上位の2頭は後ろからきた馬だし、よく粘ってくれたと思う」と評価する。ゴール手前でイルヴェント(4着)に並びかけられた際に、もう一度脚を伸ばした内容は悪くなく、ペースと折り合い次第でチャンスもありそうだ。

馬連単は48万円超、3連単は301万円を超える高配当。勝ち馬から1秒圏内に8頭がひしめいた結果からも、より混戦に拍車がかかった印象だ。迎える東京ダービーは、どんな結果が待っているのか、今から楽しみでならない。

取材・文 大貫師男

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

真島大輔騎手

東京ダービーを見据えた競馬をしてほしいと言われていましたが、ミヤギザオウがとても頑張ってくれて勝つことができました。ペースは速いと思いましたが、自分の馬のリズムを大事にして騎乗しました。すごくいいものを持っていると思って見ていた馬。それを勝利に導けたことがとてもうれしいです。

森下淳平調教師

久しぶりのレースでしたが、普段通りの歩き方でゲート裏でも落ち着いていたので、自分のリズムで走れれば、いい脚は使ってくれると思っていました。ジョッキーも上手に乗ってくれました。最後の1ハロンで勝てるかなと意識した時は、正直驚きました。東京ダービーは自信を持って臨みたいと思います。