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第54回ハイセイコー記念

一騎打ちをクビ差で制す
  同馬主が1~3着を独占

これからの地方競馬を担う若駒たちが競う“未来優駿”シリーズの対象レースであるハイセイコー記念。今年の南関東2歳重賞の4戦目(牝馬限定を除く)でもあり、そろそろ勢力図も見えてくるころ。来年を見据えるうえでも重要だ。

この世代の有力馬の筆頭といえるのが、馬名でも注目を集めるママママカロニだ。前走の鎌倉記念では初物づくしのレースで負けて強しの2着。2走前のゴールドジュニアでは破格のタイムで圧勝しているだけに、地元に戻れば最有力だ。もちろん1番人気で単勝1.6倍と圧倒的な支持を集めた。

しかし終わってみると、ママママカロニの前には同じ勝負服の3頭がゴールしていた。優勝は南関東のリーディング調教師&騎手がタッグを組んだ2番人気のノブレスノアだった。

ゲートが開くと主張する馬がいなかったからかノブレスノアがスッと先頭に立った。2番手にミゲルがつけ、直後にフォラステロやサブノリョウマが続き、スタートがあまり良くなかったママママカロニは中団後ろのインを追走した。

「あのラップで前半入れたので、道中の手応えは抜群でした」(森泰斗騎手)と、1ハロン13秒前後というノブレスノアのマイペースで前半進み、3~4コーナーでも先団の隊列は大きく変わることなく直線へ。ノブレスノアが追い出されると、直後にいたミゲルも外から伸び一騎打ちになったが、最後まで交わさせなかったノブレスノアがクビ差で勝利を手にした。2着のミゲルから2馬身半差の3着には直線でしぶとく伸びたカイルが入り、なんと島川隆哉氏が所有する馬のワンツースリーフィニッシュとなった。ママママカロニは直線で大外から伸びたが4着に敗れた。なお、ゴール直前で3番人気のジュンブルームーンが馬体故障のため競走を中止した。

見事重賞初制覇を飾ったノブレスノアはこれでデビューから6戦5勝。唯一敗れた前走の鎌倉記念は、ママママカロニに先着を許したが、厳しい展開の中逃げ粘って3着と能力の高さを窺わせた。有力馬を複数抱える浦和・小久保智厩舎の中でもデビューから強い競馬を見せてきた素質馬だけに、来年のクラシック戦線での活躍が大いに期待される。これで全日本2歳優駿JpnIの優先出走権を獲得したが、同厩舎には平和賞を勝った、同じく島川オーナーのライアンもいる。「オーナーが同じですし、全日本2歳優駿にはどちらかが行くことになると思います」と小久保調教師はコメントした。今年の2歳戦線もさすがの存在感を示している小久保厩舎。今後どのようなレース選択をしていくのか目が離せない。

ママママカロニの矢野貴之騎手は「全てはスタートですね。思っていた通り、内で我慢する展開になると少し操縦性に難があるという感じです。当初の課題、不安な点がそのまま競馬に出てしまいました。ただ、前残りでしたし内容的には一番強い競馬をしたと思います」と振り返った。これまでの走りからもポテンシャルの高さは世代トップレベルなだけに、全日本2歳優駿JpnIでの巻き返しに注目したい。

取材・文 秋田奈津子

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

森泰斗騎手

右回りは問題ないと聞いていたので心配はしていませんでした。1頭強い馬がいたので、その馬をいかに負かすかを考えて臨みました。直線ではしっかり反応したので大丈夫だと思っていましたが、外から飛んでくる馬が少し怖かったです。距離が伸びてもよさそうですし、大きな期待をかけていきたいです。

小久保智調教師

前回以上に落ち着いて仕上げられたので当日の雰囲気は良かったです。逃げる話はしていなかったのですが他に行く馬もいませんでしたからね。ハナで行くというのは追いかけられるので不安なところもあるなと見ていました。ただ直線では前半で楽をした分、まだ終わってないだろうと思っていました。