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ヤングジョッキーズシリーズ TR 金沢

第2戦は地方同期のワンツー
  1・3着の小沢騎手がJRA首位

ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)は西日本地区のトライアルラウンド(TR)が今回の金沢で折り返し。JRAでは富田暁騎手、亀田温心騎手、角田大和騎手の3名がここでTR最終騎乗となる見込みだ。一方で、魚住謙心騎手(金沢)は今回が今年のYJS初参戦。

なお、TR金沢では金山昇馬騎手(佐賀)と木本直騎手(兵庫)がそれぞれ1鞍のみの騎乗。大声で応援ができない状況ということで、金山騎手の応援団は名前を記した手作りうちわを持ってその気持ちを送っていた。

第1戦では金沢初騎乗という騎手が半数以上。好スタートを決めたのは小沢大仁騎手(JRA)だったが、内から細川智史騎手(愛知)がダッシュをつけてわずかに先手を取ると、2頭が半馬身ほどの差で馬体を併せてレースを引っ張った。3コーナーを回り小沢騎手が先頭に立ったがその直後、後ろにいた角田騎手が後退してきた馬を内でうまく捌きながら進出し、直線は外に出して迫ってきた。しかし、小沢騎手とウインドアリエルがそのまま先頭を守り抜き、半馬身差で勝利。3着には逃げ粘った細川騎手。兼子千央騎手(金沢)と松本大輝騎手(JRA)がともに差してきて4着同着だった。

勝った小沢騎手は今年3月にデビュー。前日までに20勝を挙げ、永野猛蔵騎手と並ぶ同期トップタイの勝ち星をJRAで挙げている。小学生の頃、習い事の水泳の帰り道に近所の乗馬クラブで馬と触れ合ったことがジョッキーを志すきっかけだったという一般家庭出身者。TR高知第1戦では2着にも入っており、この勝利でファイナル進出を大きく引き寄せた。

しかし、レース前は一つ不安なことがあったようで、「内を空けて走るのが初めてなので、どのくらい空ければいいか不安でした。金沢の先輩ジョッキーたちが優しく教えてくださいました」とのこと。近年の金沢は内ラチから4~5頭分の砂が深く、逃げた細川騎手も「返し馬で深さを確認し、レースではギリギリの所を通ったつもりですが、もう少し外を回っても良かったかもしれません」と、難しさを口にした。

第2戦は2頭の出走取消が発生し、騎乗予定だった塚本征吾騎手(愛知)と富田騎手には規定により6ポイントが付与された。ここではメイジンが単勝1.3倍の1番人気。2017年に金沢スプリングカップと中日杯の重賞2勝を挙げた馬で、今春まで2年近く休養していたとはいえ、4連勝中でB1級では力が一枚上とファンも判断したのだろう。騎乗する兼子騎手が「出馬表が発表された土曜日からずっと緊張していました」と硬い表情を見せるのも仕方がなかった。

注目のメイジンは五分のスタートを決め、逃げる角田騎手と併せる形の2番手。4コーナー手前で兼子騎手の手が動き始めわずかに先頭に立ったところ、外から魚住騎手が脚色よく伸びてきた。そのまま魚住騎手が突き抜けるかと思われるほどの勢いだったが、直線で兼子騎手が抜け出すと、2馬身半差で勝利。2着には直線で馬の間から伸びてきた木本騎手、3着は小沢騎手、魚住騎手は4着で、5着に最後方から濱尚美騎手(高知)が追い込んだ。

「ゴールした後、同期3人で『(兼子)千央やったなー!』って声をかけました」とは濱騎手。自身は「金沢の馬場をもっと理解して外に出していれば、もうちょっと伸びたんじゃないかと思います」と反省の言葉を口にしたが、同期の活躍は刺激にもなるよう。もう1人の同期で2着の木本騎手も同期の勝利を喜びつつ、「負かしたかったですが、馬のリズムを重視して最低限のポイントを取れてよかったです」と、ジョッキー戦ならではの感想を話した。

こうして19年4月デビュー組が生き生きと話している横を肩を落として帰っていったのは長尾翼玖騎手(兵庫)。今年デビューしたばかりとはいえ、10着、9着という結果だった。日々、馬場を走るなどトレーニングに励んでおり、努力が実を結ぶ日を本人も待ち望んでいることだろう。

TR金沢を終えて、地方西日本の暫定トップは第1戦で3着だった細川騎手。第2戦を勝った兼子騎手は2位に浮上した。しかし、追いかける立場が決して有利というわけではなく、残りの騎乗数が前者はTR名古屋2鞍を残しているのに対し、後者はTR名古屋1鞍のみ。またJRA西日本もトップに立つ小沢騎手がTR園田で2鞍のチャンスがあるのに対し、2位角田騎手はこれにてTRの騎乗は終了予定。このあと乗替わりなどがなければ、他騎手の結果待ちとなる。

ファイナルラウンドへ向けた大勢が見え始めたYJS。次回は次週22日、園田競馬場で行われる。

取材・文 大恵陽子

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 小沢大仁騎手(JRA)

過去のレースを見て、前に行けるのが持ち味の馬だと思っていて、楽な手応えで先行できました。普段乗っている競馬場より小回りで、早めから積極的に乗るように気をつけていました。返し馬からお客さんが声をかけてくれて、温かい競馬場だなと感じました。ファイナルに進出し、優勝目指して頑張ります。

第2戦1着 兼子千央騎手(金沢)

勝ててホッとしました。出遅れず、普通に乗れれば勝てる馬だと思っていました。乗っていても馬力が違い、直線に入るとまた伸びてくれました。イメージとは少し違うレースになりましたが、勝ててよかったです。TRは名古屋であと1鞍騎乗があるので、1つでも上の着順を狙いたいです。