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第49回高知優駿

直線後続を寄せ付けず完勝
  距離を克服し堂々二冠達成

ダービーシリーズの最終戦は、1着賞金がついに1000万円となった高知優駿(昨年は700万円)。その高額賞金と時期的なこともあり、他地区枠4頭に対して多数の申し込みがあった。単勝1.8倍という圧倒的な支持を受けたのが金沢のビルボードクィーン。石川ダービーでは惜しくも2着に敗れたものの優秀な走破タイムが評価された。地元二冠がかかるハルノインパクトは3.5倍で2番人気に甘んじた。佐賀8戦7勝の二冠馬トゥルスウィーが4.7倍で、この3頭に人気が集中した。

馬場は不良だが、この日の高知競馬場は好天に恵まれ賑わいを見せた。ゲートインのファンファーレでは、期せずして拍手が起こった。

これといった逃げ馬がいないメンバーで、先頭に立ったのはベアナチュラルだった。ハルノインパクトとともに好スタートを切ると、鞍上の塚本雄大騎手が二度、三度と周りを見渡し、誰も行かないならという素振りでハナをとりきった。先行勢は互いに譲り合ってという感じで、1周目の3コーナーを回るところから早くも流れが落ち着いた。ぴたりと2番手の外にトゥルスウィー、やや下げて3番手の内にハルノインパクト、外にビルボードクィーンと、人気上位馬が好位につけた。

しかし向正面に入ったあたりで早くもビルボードクィーンの手応えが怪しくなって徐々に後退。代わって兵庫のクレモナが位置取りを上げていった。さらに3コーナーではトゥルスウィーにムチが入った。

「周りの馬の手応えがなくなったので、これはいけると思った」というハルノインパクトの西川敏弘騎手が内からベアナチュラルをとらえ、4コーナー手前で単独先頭に立つと、直線では後続を振り切っての完勝。

脚が上がったベアナチュラルだが、なんとか粘って3馬身差で2着。直線でクレモナが差を詰めたが、とらえられるほどの勢いはなくクビ差3着。トゥルスウィーはそこから6馬身も離れて4着。人気のビルボードクィーンは11着だった。

遠征有力2頭の失速は、高知の深くて重い砂が影響した。

「高知の馬場は重い。馬が進んでいかなかった」とビルボードクィーンの吉原寛人騎手。今シーズンの金沢の馬場は時計が出やすい軽い馬場なのに対し、不良馬場の発表でも時計がかかる高知の馬場はあまりにも対照的だった。

トゥルスウィーの山口勲騎手も「いい位置がとれて手応えも十分で逃げ馬は楽に交わせると思ったけど、4コーナーで進まなかった。馬場が深いせいかなあ」と無念の表情。

一方、3連単28万円の波乱を演出したのは、ブービー人気ながら2着に入った地元のベアナチュラル。1月の土佐水木特別ではハルノインパクトを4着に負かしたこともあり、「もともとダービーを目指していたので、万全に仕上げて臨みました」と、目迫大輔調教師は自信を持って臨んだ一戦だった。

勝ったハルノインパクトは、もともと距離に不安があったが、早い時期から西川騎手が距離延長に対応できるような仕上げをしてきたという。その努力が実った形での二冠達成。このあとは地元の準重賞を使って、8月29日の黒潮菊花賞で三冠に挑むことになるようだ。

取材・文 斎藤修

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

西川敏弘騎手

ある程度仕掛けてないとやめてしまうので、位置をとりにいってすぐに折り合いをつけて、行く馬がいたら行かせてもと思っていました。地元代表として期待にこたえられたのがほんとうにうれしいです。素直な馬で、距離も克服して、まだ成長の余地はあると思うので、先々が楽しみです。

宮路洋一調教師

2月頃から西川君に調教を頼んで、距離に対応できるようにうまくやってくれました。いい位置がとれて、道中は折り合いもついて、自分で競馬ができるので、完璧なレースだったと思います。1週間くらい前は後ろ脚に不安があったんですが、治療したら2日前くらいから元気になって万全の状態で臨めました。