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2020ジョッキーズチャンピオンシップ

全国各地のリーディングジョッキーが熱い戦いを繰り広げて地方競馬No.1ジョッキーを目指す『地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』。

今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から複数競馬場におけるステージ制での開催を取り止め、10月19日(月)盛岡競馬場の1日2競走で覇を競います。

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  • ジョッキーズチャンピオンシップ

10.19 (月) 盛岡

昨年より4カ月遅れの開催
 地元村上騎手が総合優勝

第1戦

第2戦

リポート動画

桜の開花が待ち遠しかった頃、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、さまざまな活動がストップした。その後、多少の波はあるものの、少しずつ事態が落ち着いた10月19日、昨年より約4カ月遅れとなりながらも地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ(地方競馬JCS)を開催することができた。

全国各地のリーディングジョッキーが集結する本シリーズの優勝騎手は例年ならJRA札幌競馬場で行われる『ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)』地方競馬代表候補騎手に選定されるが、今年はWASJが中止。しかし、本シリーズ名の通り、地方ナンバーワンジョッキーを決めるべく盛岡競馬場で1日2競走による戦いとして行われた。

街路樹が色づき、日が暮れるとぐっと冷え込んだ盛岡競馬場。「せっかくいい馬が当たったので優勝目指してがんばりたいです」と熱い思いを持つ筒井勇介騎手(笠松)は、2年前に地方競馬JCSワイルドカードへの出場こそあるものの、本戦への出場は初めて。一方、2015年に逆転優勝しWASJへ出場した藤田弘治騎手(金沢)は「がんばります」と意気込んだ。

第1戦の人気は偏り、1番人気は単勝1.6倍で岡部誠騎手(愛知)。2番人気が村上忍騎手(岩手)3.4倍で、単勝10倍以下はこの2人のみだった。

好スタートを切ったのは山崎誠士騎手(川崎)。その内から押して赤岡修次騎手(高知)がハナを奪い、各馬が内を大きく空けて走った。4コーナーを回って山口勲騎手(佐賀)が逃げ馬の内をすくって先頭に躍り出ると、そのまま押し切るかに思えたが、外から一歩ずつ村上騎手とロックオンが迫り、クビ差交わして1着でゴール。

惜しくも2着に敗れた山口騎手は「手応えがあって、そのぶん早めに動かないといけなくて」と悔しさをにじませながらも、「地元のジョッキーに騎乗馬のことを聞いたら、2戦とも首を傾げられたんです」と、過度な期待を寄せていなかったところからの2着は嬉しさもあったようだ。

半馬身差の3着は直線で勝ち馬と一緒に伸びてきた森泰斗騎手(船橋)、4着に「内でしぶとく走ってくれました」と矢野貴之騎手(大井)、5着に岡部騎手だった。

第2戦は1番人気が単勝1.7倍で筒井騎手。続いて森騎手が4.4倍、吉村智洋騎手(兵庫)が6.5倍で単勝10倍以下は3頭。

本馬場入場で山口騎手のスプリングアースが放馬。幸い、山口騎手に怪我はなかったが、競走除外となり、6点が与えられた。

逃げたのは赤岡騎手。大外から好スタートを決めると、馬なりで先手を奪った。よどみない流れで直線に向くと、逃げる赤岡騎手の内から迫ってきたのは吉村騎手。2頭の叩き合いとなったが、赤岡騎手とキッズジョリーがクビ差粘り通して勝利を決めた。

僅差の2着だった吉村騎手は第1戦で「みんなが空けている割に内はそんなに深くないのでは」と感じ、引き上げてくる時に内を通って、砂の感触を掴んでいた。「これくらいならいけるぞと思って」という進路取りだったが、盛岡初勝利はお預けとなった。

2馬身半差の3着筒井騎手は「2~3番手につけた時点で『これは!』と思ったのですが…」と肩を落とした。4着は森騎手、5着村上騎手だった。

2戦の結果、総合優勝は1着、5着でまとめた村上騎手。地元の意地を見せ、「このレースは何度も出させていただいていますが、なかなかチャンスがなくて。今年はWASJへの出場権がないのがちょっと残念な部分がありますが、初優勝できて嬉しいです」と喜んだ。

2位は6着、1着でわずか2ポイント差の赤岡騎手。思わず村上騎手に「第2戦は7着くらいにしといてや~」と冗談を言ってしまうほどで、「2位じゃねぇ……あぁ」と悔しがった。

3位は3着、4着と安定した成績を残した森騎手。今年も地方全国リーディングを走るが、意外にも前身のスーパージョッキーズトライアルも含め優勝には手が届いておらず「先輩方の貫録を見せつけられました」と話した。

ベテランの活躍が目立った地方競馬JCSとなったが、今年は若手の参戦も目立った。出場騎手中最年少・19歳の福原杏騎手(浦和)は「明後日にはヤングジョッキーズシリーズにも出場しますが、レースが全然違いますね。みんなタイトに回ってきて内を狙ったり、しぶとく行くシーンがあったりしました」と貴重な経験をしたようだ。また、25歳の石川倭騎手(北海道)も初出場。こうして若いうちから大舞台を経験した彼らの今後にも期待したい。

  • 取材・文
  • 大恵陽子
  • 写真
  • 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

総合優勝/第1戦1着 村上忍騎手(岩手)

第1戦はテンに頭を上げて進んでいかなかったですが、外に出すとじわじわ伸びて何とか届いてよかったです。勝ちきれたことが総合優勝の勝因だったと思います。第2戦もコンスタントに走っている馬でチャンスはあるかなと思っていました。トップジョッキーの中で地元で勝たせていただいて励みになります。

総合2位/第2戦1着 赤岡修次騎手(高知)

第2戦の馬は名古屋で勝ったレースは逃げていたので、気分良く走らせたら昔を思い出して走るかなと思いました。ある程度、流しながら逃げたので、直線は交わされると思いました。馬が頑張ってくれました。全国の重賞で一緒に乗ったことのある騎手がほとんどだった点はアドバンテージでした。

総合3位 森泰斗騎手(船橋)

第1戦は流れを見ながら上手く乗れたと思います。2戦ともレース内容自体はやりたいことができ、満足しています。毎年出場して刺激をいただいています。今日に関しては先輩方の貫録を見せつけられ、自分はまだまだだと思いました。先輩方を見習って精進して、来年こそ逆転したいです。