JBCクラシックJpnⅠとチャンピオンズカップGⅠの谷間に行われるこの浦和記念JpnⅡだが、実績ある中央馬がより参戦してくるようになり、ダート馬の層の厚みを年々実感させられる。
今年も中央の重賞ウイナーたちに人気が集中して、日本テレビ盃JpnⅡを勝って勢いづいているロードブレスが2.6倍で単勝1番人気。4倍台のオッズに、アンタレスステークスGⅢの勝ち馬ウェスタールンド、ジャパンダートダービーJpnⅠ覇者のダノンファラオ、昨年の名古屋グランプリJpnⅡ優勝馬デルマルーヴルが並んだ。
レース自体も最後まで大混戦で、唯一の3歳馬ダノンファラオが、川田将雅騎手との初コンビで古馬たちを一蹴。ジャパンダートダービーJpnⅠに続き重賞2勝目を挙げた。
「枠も良かったですし、行く馬を行かせて自分のリズムで競馬をしようと思いました」(川田騎手)。逃げたリンノレジェンド、2番手のヒストリーメイカーを前に見る形で、ダノンファラオは3番手。さらに人気上位馬のポジションを確認すると、中団にはロードブレスやデルマルーヴル、最後方にウェスタールンドが追走。
縦長の展開になり、2周目の向正面中ほどからウェスタールンドが一気に外からポジションを上げていくと、他馬にも動きが出て馬群が固まる中、ダノンファラオは仕掛けて先頭へ。最後の直線ではロードブレスやウェスタールンドが襲いかかり、さらには中団から追走していたタービランスも内めから前に迫った。
「今日は気持ち良く先頭に立った分、馬自身が少しフワッとする所もあって全力ではなかったので、何とか鼓舞して最後までしっかり頑張ってくれました」(川田騎手)。
中央馬3頭が、タイム差なしのハナ差、アタマ差で、ほぼ並ぶ形でゴールイン。ダノンファラオの勝ちタイムは2分6秒0(稍重)。2着がロードブレス、3着にはウェスタールンド。地方馬最先着は4着のタービランスで、勝ったダノンファラオから0秒1差だった。
なお、5着のヒストリーメイカーは、2006年から10年にかけて、金沢と大井に所属して活躍した牝馬チヨノドラゴンの息子だ。前走のみやこステークスGⅢでは僅差の2着になるなど、重賞勝ちまでもう一歩のところにいる。チヨノドラゴン産駒として初の南関東での出走で、コンビを組んだ北村友一騎手は、「ストライドの大きい馬なので、(小回りの)コーナーリングはスムーズではなかったですが、いいレースはできて、よく頑張っていると思います」と労っていた。
地方競馬にゆかり深い馬の仔が大舞台で走る姿は、やはりうれしいものだ。
Comment
川田将雅 騎手
スタートもスムーズに切れて、道中もいいリズムで走れました。際どい勝負になりましたが何とか凌げて良かったです。(混戦でしたが)最後は出ていたので勝っていると思いました。まだ3歳なので、成長していくと思います。さらに上のステージでいい戦いができるような馬になって欲しいですね。
安藤貴英 調教助手
短期のリフレッシュ放牧に出しましたが、牧場さんもすごく丁寧に作ってくださり、帰厩してからもレースに向けて順調に調整できました。この馬は並んだらなかなか抜かせないまさに渋太さを発揮するタイプだと思うので、テン乗りの川田騎手がうまくこの馬のいいところを引き出してくれました。