ホッカイドウ競馬のフィナーレを飾る道営記念は、関係者たちが「獲りたい」という夢のレースだ。前哨戦の瑞穂賞で復活の勝利を遂げたファン投票1位のスーパーステションが回避したのは残念だが、今年のレースを盛り上げた3歳から8歳までの12頭が出走した。
無観客開催を続けていた門別競馬は、82日間のうち最後の3日間のみ、人数を制限した上で入場を再開。ムチの音や騎手の掛け声が普段より響く場内に、少しでも拍手が聞こえることが嬉しい。
直前の第11レースは、ホッカイドウ競馬の格付H1に昇格し、10月から日程を変更した第15回道営スプリント。古馬2路線の最終戦を見られる贅沢な日となった。
道営記念の単勝1番人気は、転入後ここを目標にしていたクインズサターンで2.3倍。余力を残しながら1800メートルの特別戦を3連勝。鞍上はデビュー3年目の落合玄太騎手で、今年はJpnⅢの北海道スプリントカップを含む重賞3勝と期待の若手だ。2番人気は9月の旭岳賞勝ち馬ルールソヴァールで3.0倍、3番人気は昨年の覇者リンノレジェンドで4.0倍。この3頭が人気を集めた。
夕方になると風がやみ、寒さも和らいだ。地元・富川高校吹奏楽部の生演奏ファンファーレでゲートが開いた。
各馬そろったスタート。コパノリッチマンとリンノレジェンドが先手を奪い、クインズサターンは後方から。3コーナーでコパノリッチマンが後退しルールソヴァールが追い上げる。4コーナーで馬群を割って位置取りを上げてきたクインズサターンが、先頭に立っていたルールソヴァールを残り100メートルあたりでとらえ、3馬身差をつけ優勝した。勝ちタイムは2分7秒2。3着は外から追い込んだヤマノファイト。
落合騎手はゴール後ガッツポーズ。開業10年目となる安田武広調教師は「玄太だけは迎えに行こうと思った」と両手を掲げ、早々と人馬を出迎えた。騎手、調教師ともに道営記念は初制覇。馬主、生産者のほか落合騎手の両親も来場し喜びを分かち合った。同馬を生産した新ひだか町の佐竹学さんは「素直な馬でした。縁ですね」。亀田オーナーや母ケイアイベローナとの縁がもたらした勝利に「感無量」と喜んだ。
同レースをもって今年度のホッカイドウ競馬の開催が終了した。馬券発売額は前年対比57.3%増の520億4480万6060円。無観客開催が続いたこともあってネット・電話投票が95.9%を占めた。そしてこれまでの最高額だった、バブル期後半1991年度の約454億を更新した。
騎手リーディングは113勝の石川倭騎手で2年連続2回目。「(2位の桑村騎手が迫り)最後まで気が抜けず苦しかった」と振り返った。
Comment
落合玄太 騎手
この馬が強いのはわかっていたので、人気に応えられてほっとしています。2000メートルでも折り合いは心配ないと思っていた。流れを見ながら動いていこうと思った。3~4コーナーで詰まったが、抜け出してからはいつもの脚を使ってくれました。今年は重賞4勝。いい馬に乗せてもらい感謝しています。
安田武広 調教師
めっちゃ嬉しいですね。出るだけでも大変なレース。調教は(落合)玄太にまかせている。「楽しんで乗っておいで」と言いました。向正面で狭くなったが、力があるので大丈夫だと信じていました。体調はよく、文句ない状態。パドック見て勝てるかなと思った。今後は浦和記念に登録しています。