ウェブハロン

ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。

  • 第21回
  • 兵庫チャンピオンシップ JpnⅡ

5.6 (振水) 園田 1,870m

末脚爆発させ人気に応える
 3歳ダート王目指しJDDへ

新型コロナウイルス流行による外出自粛要請ですっかり“我慢ウィーク”の様相となった2020年のゴールデンウィーク。その我慢ウィークの最終日、かきつばた記念JpnⅢ、かしわ記念JpnⅠに続く3日連続となるダートグレード競走の最後を飾ったのが兵庫チャンピオンシップJpnⅡだった。

出世レースとして知られるこのレース。昨年の覇者で、無敗のまま秋にはチャンピオンズカップGⅠを制したクリソベリルや、13年の勝ち馬でダート界のトップホースとして長く活躍したコパノリッキーなども送り出した。今年もJRA5頭、大井からの遠征馬が1頭、地元兵庫から6頭が参戦した。

単勝人気はJRAの5頭が上位を独占。なかでも昨年のクリソベリルに続き連覇を狙うクリストフ・ルメール騎手が騎乗し、未勝利、1勝クラスと連勝中のバーナードループが1番人気に推され、2.1倍。2番人気はアメリカ三冠馬のアメリカンファラオ産駒で母もアメリカGⅠ馬の良血ダノンファラオが2.7倍で人気を二分した。

これにダート2戦2勝のサンデーミラージュが6.6倍、前述のクリソベリルやコパノリッキーを輩出し、このレースとは好相性のゴールドアリュール産駒であるヒルノマリブが初ダートだが7.9倍で続いた。地元勢では4月16日に行われた一冠目の菊水賞を勝ったステラモナークは回避し、2着のピスハンドが大将格として参戦。地方馬としては最上位となる6番人気(74.7倍)だった。

兵庫のトップジョッキー吉村智洋騎手が騎乗するJRAのマカオンブランが逃げると、ダノンファラオはその外につけ、バーナードループは3番手の内を追走する。3コーナー手前でダノンファラオが外から先頭に立つとバーナードループも追撃を開始。4コーナーでは巧みなコーナーワークでリードを広げたダノンファラオだが、直線でバーナードループの末脚が爆発。グングンと差を詰めると、ゴールではクビ差、ダノンファラオを差し切った。3着は9馬身離れて、後方から伸びたサンデーミラージュ、4着には道中、中団にいた地元ピスハンドが入った。

フィエールマンでの天皇賞(春)GⅠに続いて、このレースも連覇を達成したルメール騎手は「3~4コーナーで前の馬がすごく反応が良かったけど、僕たちは後ろからエンジンがかかるのに時間がかかった。でも最後にはかわしたし、(ここでは)能力は一番だったと思います」と笑顔で振り返った。前日のかしわ記念JpnⅠでも1番人気のモズアスコットに騎乗しながら6着に敗れていたが、この日は気持ちを切り替えて、きっちりと期待に応えた。

バーナードループの今後について、高木登調教師は7月8日大井のジャパンダートダービーJpnⅠ(2000メートル)への挑戦を表明した。高木厩舎からは東京大賞典GⅠ、チャンピオンズカップGⅠ、JBCクラシックJpnⅠを制したサウンドトゥルーに続く大物ダート馬候補の誕生だ。昨年のクリソベリルに続いて、兵庫チャンピオンシップJpnⅡからジャパンダートダービーJpnⅠを連勝するのか、注目される。


  • 地方最先着は4着のピスハンド
  • 取材・文
  • 松浦渉
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

C.ルメール 騎手

馬の状態も良さそうで、チャンスと思った。自信を持って乗った。ただ、大きなストライドで走るのでコーナーでうまく走れるかが心配だった。だんだんパワーアップしているし、大人になっていくので、勝利を加えていくこともできる。(自分は)園田ではよく勝ってるし、連覇もうれしい。

高木登 調教師

スタートが緩いのでどうかと思ったが、うまく出してくれて、スッと好位につけられた。内3番手で窮屈なところに入って、跳びの大きな馬だから、コーナーがどうかと思ったが、長い脚を使ってくれた。コントロールしやすいので、このまま課題もなく育ってくれたらと思っています。