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  • 第44回
  • 京浜盃

3.24 (水) 大井 1700m

好位追走から差し切り重賞初制覇
 二冠馬の仔がクラシックへ名乗り

南関東クラシックに向けての重要な一戦、京浜盃。今年は10頭立ての少頭数となったが、本番を思わせるような豪華メンバーが揃った。

昨年の全日本2歳優駿JpnⅠの覇者で、デビューから5戦無敗のアランバローズは、ここが今年の始動戦。休み明けや、距離延長など課題はあるが、そのレースぶりにはもちろん期待がかかる。全日本2歳優駿JpnⅠの2着馬で、雲取賞の勝ち馬ランリョウオーは、アランバローズに2度先着されているだけに三度目の正直なるかと陣営も闘志を燃やしていることだろう。また、出世レースのニューイヤーカップを快勝したトランセンデンスや、平和賞の優勝馬マカベウスなど、鎌倉記念以外ここまでの世代限定重賞を制した牡馬が名を連ねた。また、2連勝中のチサットや、東京ダート1600メートルの新馬戦を圧勝したJRAから転入初戦のイグナイターなど、南関東重賞初挑戦の馬たちにも注目が集まった。

単勝オッズはアランバローズが1.7倍、ランリョウオーが3.3倍。10倍以下はこの2頭で人気が集中していた。

先行馬が多く注目のポジション争いは、1番枠からジョーロノがすんなり先手を取った。2番手にイグナイター、3番手にピースフラッグが続き、ランリョウオー、チサット、マカベウスなどは好位集団でレースを進めていた。先行が予想されたアランバローズだったがスタートで出遅れて後方からとなった。

3~4コーナーでジョーロノが後退しイグナイターが先頭に立つと、ランリョウオーやマカベウス、チサットが外から上がっていき直線へ。そして、粘るイグナイターを目がけて、ぐんぐん迫ったのはチサットだった。ゴール前できっちり交わし1馬身1/4差で優勝。2着イグナイターから1馬身半差の3着にはマカベウスが入った。ランリョウオーは5着。また、注目のアランバローズはまさかの9着で初めての敗戦。「スタートで後手を踏んで、砂を被って嫌気をさしました。これも勉強ですね。仕切り直して羽田盃で巻き返したいです」と左海誠二騎手。

重賞初制覇を飾ったチサットは、北海道デビュー馬で、大井に移籍してこれで3連勝。特に前走は好タイムで圧勝し、素質の高さと成長力を見せていた。またこれまで先行策が多かったが、「今日のような競馬をしたいと思っていて、それに馬が応えてくれました」と笹川翼騎手。差す競馬で結果が出たことは次に大きく繋がるだろう。チサットの母は、2009年の浦和・桜花賞、東京プリンセス賞を勝ち南関東牝馬二冠を達成した名牝ネフェルメモリーだ。南関東ゆかりの良血馬が、一躍クラシック候補に名乗りを上げた。

チサット、イグナイターという新興勢力が台頭し、クラシック戦線は一気に混戦ムード。4月29日に行われる、一冠目・羽田盃はどんな結末になるのだろうか。

なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため無観客競馬が続いていた大井競馬だが、4月から人数を制限しての入場再開が決定した。状況次第ではあるが、競馬界が一番盛り上がるクラシックシーズンは、できることならファンの皆さんの前で行われてほしいと願うばかりだ。

  • 取材・文
  • 秋田奈津子
  • 写真
  • 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

笹川翼 騎手

強いメンバーが揃っていたのでチャレンジャーの身でしたが、この馬も力をつけているのでこういう勝ち方ができて嬉しい。返し馬から状態は良いと思っていました。強い馬が前に行くと思っていたのでその後ろで競馬を進めたいと考えていました。結果も内容も良くて今日に関しては言うことはありません。

佐宗応和 調教師

正直ここまで頑張ってくれるとは。良い状態に仕上がっていたので、それなりの競馬はできると信じていました。4コーナー手前から外に出してスーっと上がっていったので直線はしっかり来ると思っていました。思い通りのレースができましたね。今後は羽田盃を目標にローテーションを組んでいきます。