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  • 第66回
  • ダイオライト記念 JpnⅡ

3.17 (水) 船橋 2400m

好位から抜け出し復調示す
 川田騎手は今年DG7勝目

伝統の長距離重賞も、今年は10頭立てと寂しい頭数になった。地元の南関東勢が3頭だけというのがその要因だが、最近は浦和2000メートルの出走可能頭数が増加、船橋で2200メートル戦が行われるようになったことで、条件戦でも長丁場のレースが増え始めている。かつて船橋で1000メートル戦が拡充されたことを皮切りに、全国の地方競馬でスプリント路線が充実。その結果、JRA勢と互角に渡り合うスプリンターが多く出てきたことを踏まえれば、長距離路線でも同様のムーブメントを期待したいところ。

JRA勢は今年も強豪ぞろい。米国のベルモントステークスGⅠで5着に食い込み、昨夏からダートグレード3連勝中のマスターフェンサーを筆頭に、それを2度負かしているエルデュクラージュ、昨夏のジャパンダートダービーJpnⅠを制したダノンファラオ、このレース連覇を狙うアナザートゥルースと実績馬が集い、この4頭が上位人気を形成した。

前残りの馬場を見越し、アナザートゥルースが逃げを打つ。それをぴったりとマークしたのがエルデュクラージュで、ダノンファラオ、マスターフェンサーもこの一角。地方勢では船橋のリンゾウチャネルだけがこの先行集団に加わった。

淡々とした流れで進んだが、2周目の向正面でマスターフェンサーの手応えが怪しくなり、ダノンファラオとリンゾウチャネルも勝負どころで押っつけ気味。先行した2頭が馬体を併せたまま最後の直線に向き、エルデュクラージュが抜け出したところで勝負あったかと思われた。しかし、そこで外を鋭く伸びたのがダノンファラオ。JpnⅠを制した底力を見せつけ、1馬身半差で勝利した。

ダノンファラオはこれが重賞3勝目。東京大賞典GⅠでは12着と大敗を喫したものの、続く川崎記念JpnⅠで3着と軌道を修正し、今回の勝利で復調を示した。「少しずつ差が開きましたが、砂をかぶって嫌がるそぶりもあったので、直線に向くまで少し待ちながら、気持ちを切らさないように、という思いで騎乗していました」と、ダノンファラオ鞍上の川田将雅騎手。冷静な手綱さばきはさすがの一語に尽きるだろう。今回を含め、今年の地方ダートグレードは6度騎乗して5勝。JRAのダート重賞でも東海ステークスGⅡ、根岸ステークスGⅢを勝つなど、抜群の成績を残している。勢いのある明け4歳馬とのコンビに、今後も注目が集まる。

エルデュクラージュは最後に交わされたものの、逃げたアナザートゥルースにプレッシャーをかけ続けながら2着に踏ん張った。戸崎圭太騎手は「長丁場は走ってくれますね。早めにリードを広げるというイメージ通りの競馬ができました」と納得したような表情。7歳とはいえ、「これから走ってくると思う」と鞍上が話したことからも、もう一段階の飛躍が期待できそうだ。

1番人気のマスターフェンサーは4着で、「勝ち馬を見ながら進められたが、早めに苦しくなってしまった」と松山弘平騎手。馬体重は減っていたものの、昨春はこれくらいの馬体で好走しているだけに、ナイターの影響が少なからずあったか。この一戦だけで評価を落とすのは早計だろう。

地方勢ではリンゾウチャネルの5着が最先着。最後のひと伸びは見られなかったが、このメンバーで果敢に先行した内容は悪くない。この経験は今後に生きてきそうだ。


  • 地方最先着は5着のリンゾウチャネル(船橋)
  • 取材・文
  • 大貫師男
  • 写真
  • 国分智(いちかんぽ)

Comment

川田将雅 騎手

いいスタートを切ることができませんでしたが、外枠だったのでスムーズに運ぶことができ、道中もいい走りができたのではないかなと思います。無事にここを突破できましたし、大きいところにチャレンジしていける馬だと思うので、いろいろなことをケアしながらそこに向かっていきたいと思います。