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  • 第38回
  • フェブラリーステークス GⅠ

2.21 (日) JRA東京 1600m

唯一の4歳馬が人気に応え快勝
 船橋のミューチャリーは7着

2020年のフェブラリーステークスGⅠは50,985名の観客でにぎわったが、その翌週から無観客開催となった。その後は入場者数に上限を設けた時期もあったが、2021年最初のJRAGⅠは無観客で行われることになった。

その舞台に挑むのは16頭。昨年に続き、船橋のミューチャリーも姿を見せた。

ミューチャリーは昨年のJBCクラシックJpnⅠで4着。そのレースはクリソベリルが勝ち、2着のオメガパフュームはその後に東京大賞典GⅠを制覇。さらに3着のチュウワウィザードはチャンピオンズカップGⅠを制した。

しかしその3頭はここには出走せず。JRAのダートGⅠを制した実績があるのはインティだけというメンバー構成のなか、キャリア6戦のカフェファラオが単勝1番人気に支持された。続く2番人気は昨年のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠを制したアルクトスで、3番人気は1600メートルが初めてというレッドルゼル。一昨年の南部杯馬サンライズノヴァが4番人気に推された。

ちなみに、フェブラリーステークスには、川崎記念JpnⅠや東京大賞典GⅠから臨んだ馬が好走することが多い。昨年は前走が川崎記念JpnⅠだったケイティブレイブが最低人気で2着に入り、一昨年は前走が東京大賞典GⅠだったゴールドドリームが2着。しかし今年はそれに該当するのがミューチャリーだけ。例年とは違い、スピード寄りのメンバー構成だといえた。

それを裏付ける形になったのが、1分34秒4という勝ち時計。良馬場に限るとこれまででもっとも速いタイムが記録された。

カフェファラオは東京ダート1600mでここまで2戦2勝。昨年のフェブラリーステークスGⅠと同じ日に行われたヒヤシンスステークスを快勝していた。それでも気性面には課題が残っているようで、今回はクロス鼻革にチークピーシズという、前走とは違う装備で登場。この時期らしからぬおよそ20度という気温に対応するために、胴体部分には毛を刈った跡が見られた。

その成果があったのか、カフェファラオは好スタートから3番手のインコースを確保して、最後は少し外に出して逃げ馬を交わして快勝。2着はインコースから直線の半ばで外に切り替えたエアスピネルで、3着も内ラチ沿いを進んだワンダーリーデル。一方、2番人気のアルクトスは直線を向いて勝ち馬の直後に迫ったが伸びが見られず9着、サンライズノヴァは最後方から末脚に賭けたが11着に終わった。

そのサンライズノヴァと道中で同じような位置にいたのがミューチャリー。4コーナーではやはり最後方だったが、そこから伸び脚を見せて7着に入った。

昨年は勝ち馬から1秒9差の11着だったが、今年は0秒9差。矢野義幸調教師にその健闘を讃えると、数秒の沈黙のあと絞り出すように「外枠が響いたな……」と答えた。「これくらいはやれる馬」とも話したが、その声には無念という気持ちがにじみ出ているようだった。同じく外枠だった昨年よりは前進しているのだが、指揮官にはもっと大きな期待があったのだろう。

矢野調教師によると、御神本訓史騎手は「これだけ走れたなら、南関東では負けられないですね」と話していたとのこと。ミューチャリーはまだ5歳。今後も南関東の看板馬として活躍が期待できることだろう。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • JRA