1. Presented by National Association of Racing
  2. 地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロン
  3. ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
  • 第65回
  • 東京大賞典 GⅠ

12.29 (日) 大井 2,000m

得意の大井で連覇達成
 地方馬も2・3着に健闘

例年と同じ12月29日でも今年は日曜日だったためか、大井競馬場の入場者数は昨年より8千人以上も多い4万7614人。東京大賞典GⅠの売得金額も56億627万5800円と、昨年より10億円近く増えた。いずれも前年比でおよそ120%という大盛況。この数字は地方競馬における1レースあたりの売得金額レコードで、1日あたりでも過去最高を大きく上回る92億5853万8550円を記録した。

その要因のひとつには、JRA所属の3頭に人気が集中したことが挙げられるだろう。ゴールドドリームが2.3倍、オメガパフュームが2.8倍、ケイティブレイブが3.4倍で、4番人気は大井のモジアナフレイバーで16.4倍。専門紙の印も上位3頭に集中していた。

スタート直後に先手を取りに行ったのはJRA所属の5頭。しかし先行争いをしながらも、どの騎手も積極的に逃げたくはないという雰囲気に見えた。前半の1000mは61秒6(稍重)で、良馬場だった昨年の61秒2よりも遅い。

そのなかで先手を取ったのはアポロテネシーで、ケイティブレイブが差なく2番手。ゴールドドリームは外から馬体を併せる形で3番手を追走し、その直後にはロンドンタウンとロードゴラッソ。そこから少し離れた位置でノンコノユメとオメガパフュームが並び、モジアナフレイバーはその両馬を前に見ながらレースを進めた。

3コーナー過ぎでロンドンタウンが脱落し、その後ろから前記の3頭が上昇してきた。そして4コーナーでは横に大きく広がっての追い比べ。ノンコノユメはインコースを狙い、モジアナフレイバーは大外から最後の伸び脚に賭けた。

逆にアポロテネシーとケイティブレイブは失速。押し出されるようにゴールドドリームが先頭に立ったが、その外からオメガパフュームが進出し、残り150mあたりで交わし切った。ノンコノユメはオメガパフュームに迫る場面もあったが、最後は1馬身差で2着。猛然と差を詰めてきたモジアナフレイバーは3着で、ゴールドドリームは4着だった。

これでオメガパフュームは東京大賞典GⅠを連覇。さらに今年は帝王賞JpnⅠも勝利している。その成績に安田翔伍調教師は「馬自身が大井の厩舎を含めて理解しているようです」とコメント。それでも「前走のチャンピオンズカップでのいい状態を、どう維持していくか」と考えていたそうだ。その過程で選んだのが1週前のポリトラックコースでのスピード調教。そしてレース4日前に坂路で追い切ってこの日に備えた。さらに前走で装着したチークピーシーズを外して出走。その勝利に安田調教師は安堵しているようだった。

ノンコノユメは惜しいと思わせる内容での2着。真島大輔騎手は「最後まで伸びていましたし、悔しいですが、勝った馬を讃えたいです」と話した。

中央との交流になった1995年以降、初めての地元大井所属馬による優勝を狙ったモジアナフレイバーも惜敗。繁田健一騎手は「まだ成長していますし、これからだと思います」と振り返った。

3番人気のケイティブレイブは8着。「浦和記念の反動でしょうか。展開には恵まれたと思うのですが」と御神本訓史騎手。それでも引き続き、この馬たちが2020年のダートグレード戦線を牽引していくことになるのだろう。


  • 地方馬最先着は2着のノンコノユメ
    (大井・荒山勝徳厩舎)

  • 大井生え抜きのモジアナフレイバーは3着(右)、
    1番人気のゴールドドリームは4着(左)

  • 地方競馬全国協会理事長賞の
    副賞として畜産品が贈呈された
  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • いちかんぽ(早川範雄・築田純)

Comment

ミルコ・デムーロ 騎手

上位人気でプレッシャーがありましたが、勝ててよかったです。いつもよりいいスタートが切れて、道中での手応えもずっと良かったです。最後もノンコノユメに並ばれそうになったところでもう1回伸びてくれました。ここのところ(自分の成績が)うまくいっていませんでしたが、最後に勝ててうれしいです。

安田翔伍 調教師

パドックでの雰囲気はいつも通り。ポジションは普段より前のほうでしたが、スローペースなのだろうなと思いながら見ていました。最後は(2着馬に)迫られましたが、しのいでくれましたね。やはり距離は2000mくらいあるほうがいいと思います。今後は馬の様子を見てからオーナーと相談します。