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  • 第19回
  • 兵庫ゴールドトロフィー JpnⅢ

12.27 (金) 園田 1,400m

タフな馬場を逃げ切る
 地方馬が2、3着に健闘

園田競馬場で実施されている3つのダートグレードレースのうち、地方馬が勝利を挙げたことがないのが兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢ。今年はこのレースがハンデ戦になった2007年以降、初めて58キロ以上で出走する馬がいないというメンバー構成になった。その点からも地方馬にはチャンスがあるといえたのだが、優勝したのはJRAのデュープロセス。最後の直線で兵庫のイルティモーネが猛然と差を詰めてきたが、3/4馬身届かなかった。

この週の開催がはじまる前の12月23日に、4コーナーからゴールまでのインコースに砂が補充された。専門紙の記者によると「今週は逃げ先行タイプがまったく残れないですね」とのこと。実際に、最後の直線で外ラチに近いところを通った馬が差し切ったレースもあった。

そういう馬場状態でも、デュープロセスは主導権を取って押し切った。

ゲートが開くと「今年いちばんのスタート」と笹田知宏騎手が振り返ったナチュラリーが先手を主張。しかしデュープロセスとランスオブプラーナ、ハヤブサマカオーが追いかけて、1コーナーの手前でデュープロセスが先頭に替わった。先行勢の後ろからはテーオーエナジー、サクラレグナム、ラブバレットなどが追走。ノボバカラはゲート入りに時間を要したが、道中は中団で折り合ってレースを進めた。

3コーナーでもデュープロセスは後続に3馬身ほどの差をつけて単騎逃げ。テーオーエナジーは早めに仕掛けて2番手に上がったが、直線に入ると失速してしまった。代わって上昇してきたのはサクラレグナム。さらにその外から4コーナーでも後方にいたイルティモーネが突っ込んできた。その姿に場内の歓声は大きくなったが、先頭でゴールを駆け抜けたのはデュープロセス。地方馬の優勝は、またしても持ち越しになった。

「いやあ、負けたかと思いましたよ」とは、デュープロセスを管理する安田隆行調教師。単勝8番人気のイルティモーネは大金星を逃したが、小牧毅調教師は「ゴール前は力が入りましたよ。でも上等上等」と、笑顔を見せた。

対照的にくやしさを前面に出していたのが3着だったサクラレグナムの赤岡修次騎手。「3コーナーでは勝ったかと思いましたよ。いい位置を取れましたし、逃げ馬の脚は鈍るはずだと思いましたし」と大きな声で話して苦笑い。田中守調教師は「昨年より(ハンデが)1キロ重かった分もあるかな」と残念そうだった。それでも「元気いっぱいですし、体には悪いところがないですから」と、11歳の来年も黒船賞JpnⅢのトライアルレース(選考競走)から始動する予定だそうだ。

2番人気のノボバカラは4着。吉村智洋騎手は「3コーナーで上がろうとしたときに動いていけませんでした」とのこと。今年は川崎所属で参戦したラブバレットは11着で最下位。山本聡哉騎手は「道中でぶつけられたので」と、不完全燃焼という様子だった。

勝ったデュープロセスはダイワメジャー産駒でも英国産で、ゴドルフィンがオーナー。それだけに海外遠征の期待がかかりそうなものだが、安田調教師は「いやいや、もっと鍛えていかないと」と笑った。


  • 2着には8番人気のイルティモーネ(兵庫)
  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • いちかんぽ(桂伸也)

Comment

北村友一 騎手

どういうレースになるか想像がつかなかったのですが、スタートがよかったので先手を取りに行きました。レースを途中でやめることがあると聞いていたのですが、今回は集中して走れていましたね。最後は後ろから脚音が聞こえてきましたが、自分としては差し切られそうな感じはしなかったです。

安田隆行 調教師

ほかに逃げ馬もいるし、好位につけていこうとジョッキーと打ち合わせたのですが、まさか逃げるとは(笑)。それでも3コーナーではいい感じだと思ったのですが、最後は脚が上がっていましたね。前走は途中で走るのを嫌がったので、今回はブリンカーをつけました。その効果もあったと思います。