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  • 第65回
  • クイーン賞 JpnⅢ

12.11 (水) 船橋 1,800m

内枠から理想的な逃げで中央勢を一蹴
 グランダム女王がグレードタイトル奪取

今年で65回目を迎えた伝統の一戦クイーン賞JpnⅢには、中央から豪華メンバーが集結した。ブリーダーズゴールドカップJpnⅢとレディスプレリュードJpnⅡの覇者アンデスクイーン、関東オークスJpnⅡの勝ち馬ラインカリーナ、一昨年のこのレースで重賞初制覇を果たし、レディスプレリュードJpnⅡやエンプレス杯JpnⅡも勝っているプリンシアコメータ。そして、現在は中央に所属している南関東二冠馬トーセンガーネット。

そのメンバーを打破したのが、今年のグランダム・ジャパン古馬シーズンの優勝馬クレイジーアクセル。吉原寛人騎手を背に、逃げたら渋太いこの馬の良さが発揮され、8年ぶりに地方所属馬がクイーン賞JpnⅢのタイトルを奪還した。

船橋競馬場は、メインレースの3時間ほど前から予期せぬ雨に見舞われる時間もあった。「枠順(1番)もよかったですし、雨が降って内が軽いような馬場になったので、行くしかないと思いました。あまりためても良さが生きないですし、斤量も52キロで、そんなにひきつけないで競馬をしてくれという指示通りに乗れたかなと思います」(吉原騎手)。

スタートは比較的ゆっくりだったが、その後の二の脚が速いのは、この馬のスタイル。華やかな栗毛のタテガミをなびかせながら、果敢に先頭へ立っていった。2番手にラインカリーナ、3番手にプリンシアコメータ、4番手にはミッシングリンク。先頭から後方まで大きく縦長の展開となって、結果的に先行したこの4頭が上位を独占することになる。

「久しぶりの左回りでちょっと物見をして外に張っていたところもありましたが、そこはクリアしてくれて、あとは相手の出方を見ながら、ちょっと離し気味にいこうと思いました。2コーナーでももたれ気味に行くところがあってスピードも落ちましたが、逆に相手が迫ってきた時にペースを上げて緩まないようにして、クレイジーの得意なパターンに持ち込みました」(吉原騎手)。

クレイジーアクセルはそのまま後続を引き連れる形で直線を向き、最後まで力強く駆け抜けた。余裕すら感じさせるような内容で、2着のプリンシアコメータに2馬身半差をつける快勝。勝ちタイムは1分53秒6(稍重)。3着にはラインカリーナが入った。

クレイジーアクセルは南関東生え抜き馬で、大井・渡邉和雄厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを積んできた。3歳時は東京湾カップで牡馬たちを一蹴、4歳の今年は前述のとおりグランダム・ジャパン古馬シーズンの女王となり、さらにはダートグレードのタイトルまで手にした。

次走は未定だが、年末の東京シンデレラマイルには向かわず来年に備えるそうだ。

若い頃は心身ともにひ弱な印象もあったが、最近では一戦ごとに成長している姿が感じられ、逃げたら非常に渋太い自身のスタイルにも磨きがかかっている。来年2020年は地方競馬の牝馬戦線の主役として、どんな強さを見せてくれるか楽しみだ。

  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

吉原寛人 騎手

状態は本当にいいと聞いていたので、またがってみても変わりなく順調でした。直線は長く感じましたが、最後までしっかり走ってくれました。僕の話ですが、3月に結婚をして内助の功をもらい、精神的にも安定して結果を出せるようになったので、これからも頑張りたいと思います。

渡邉和雄 調教師

同型のラインカリーナより内枠が欲しいと思っていて1枠1番を引けて、レース前には恵みのような雨も降ってくれました。精神的にも肉体的にも手に取るように成長がわかって、調子の変動が少なく走ってくれる素晴らしい仔です。今日も普段通りの走りはしてくれると思っていました。すごくうれしいです。