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  • 第21回
  • 兵庫ジュニアグランプリ JpnⅡ

11.27 (水) 園田 1,400m

チークピーシズ効果で走り一変
 3連勝で目標のタイトル奪取

2歳ダート重賞がない中央勢にとって、兵庫ジュニアグランプリJpnⅡの存在感は、大きい。過去20回中、16勝が中央馬というのもそれを物語っている。今年もダートの有力馬が参戦し、上位人気を独占した。

1番人気は2戦2勝のファシネートゼットで2.4倍。パドック周回中は2番人気だったが徐々にオッズが下がり、締め切り少し前に1番人気に浮上した。2番人気はこれも2戦2勝で武豊騎手に乗替ったメイショウテンスイで2.5倍。3番人気は4戦2勝で、M.デムーロ騎手のテイエムサウスダンが3.7倍。上位人気はこの3頭で、園田5戦5勝の地元の大将格エキサイターは16.3倍で離れた4番人気だった。

レースは北海道のスティールペガサスが1番枠から主導権を奪う。2番手の外にテイエムサウスダン。その後ろの外にファシネートゼット、内にメイショウテンスイが追走した。向正面で中団のエキサイターが前へ進出しようとムチが入るが、差は詰まらない。

4コーナー手前でテイエムサウスダンがスティールペガサスをとらえ先頭へ。直線で抜け出したテイエムサウスダンが、外に持ち出して伸びたメイショウテンスイを1馬身半差で抑えゴールイン。3着にはファシネートゼットが入り、上位3頭は人気馬による決着。4着には逃げ粘ったスティールペガサスで、地元期待のエキサイターは9着に終わった。

2着メイショウテンスイの武騎手は「跳びが大きいのでコーナーを曲がるたびに遅れたが、ゴール前は伸びていたし、距離が延びても大丈夫」と。3着だったファシネートゼットの松若風馬騎手は「エンジンの掛かりが遅くて、勝負どころで置かれた。バテてはいませんが」と肩を落とした。逃げて4着の桑村真明騎手は「強い相手によく頑張った」と善戦したスティールペガサスを称えた。

地元初黒星となったエキサイターの吉村騎手は「相手も強いが、スピード負けした。やっぱり距離も短い」と無念の表情。長南和宏調教師は「自分の時計では走ってるし(今回の走破タイムは兵庫若駒賞の勝ちタイムと同じ1分30秒3)、速い時計がないので、この相手では厳しい。追い切りもズブくなっているし、次は距離延長で期待」と大晦日の園田ジュニアカップ(1700メートル)での巻き返しを表明した。

勝ったテイエムサウスダンのM.デムーロ騎手は意外にも園田の重賞は初勝利。「前走は強かったので自信はあった」と表彰台で胸を張った。新馬戦は4着、続く未勝利戦は7着だったが、チークピーシズを着けた3走前から一変し、3連勝で重賞制覇まで一気に駆け上がった。

飯田雄三調教師にとっても、15年のマイネルクロップによる佐賀記念JpnⅢ、マーチステークスGⅢ、アイアンテーラーの18年クイーン賞JpnⅢに続く4つ目のグレード重賞制覇(ほかに11年荒尾・たんぽぽ賞をクラウンリバーで勝利)となった。次走は12月18日・川崎の全日本2歳優駿JpnⅠを予定。「1600メートルまでなら大丈夫ということで」と飯田調教師。3連勝の勢いで砂の2歳チャンピオンの座を獲りに行く。


  • 地方競馬全国協会理事長賞の
    副賞として畜産品が贈呈された
  • 取材・文
  • 松浦渉
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

M.デムーロ 騎手

いい状態を保っていたし、スタートも良かったのでいけるかなと思っていた。2番手も思った通りだったし、瞬発力はないけど、しぶとく直線も伸びていた。距離は1400から1600メートルくらいがちょうどいいかな。まだ子供で幼いが、まだ良くなってくると思う。

飯田雄三 調教師

ダートで2つ勝って、ここが目標。阪神の4コーナーで外へ外へ逃げるところがあったので、小回りだし心配していた。4コーナーでも手応えが怪しかったが、直線を向いて勝てると思った。中間は順調にきていたし、イレ込む馬ではないので落ち着いていた。久しぶりに走る2歳馬なので大事に育てたい。