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  • 第52回
  • ハイセイコー記念

11.13 (水) 大井 1,600m

思い描いたレースぶりで完勝
 クラシックを見据えての期待

南関東の2歳から3歳にかけての重賞戦線では、常にホッカイドウ競馬所属もしくは出身馬の強さが意識されるが、今年の2歳世代は、ここまでのところ南関東生え抜きが強い。鎌倉記念をデビューから4連勝で制したインペリシャブル、平和賞を制したヴァケーションは、ともに川崎・高月賢一厩舎の生え抜き。そして今回のハイセイコー記念では、もはや名門と言っていい船橋・佐藤賢二厩舎のゴールドビルダーが、来年の南関東クラシック戦線に名乗りを上げることとなった。

奇しくも佐藤賢二厩舎といえば、昨年のNARグランプリ年度代表馬キタサンミカヅキの引退と種牡馬入りが先週発表されたばかりだった。

外枠から勢いよく飛び出したフォルワールドがレースを引っ張り、ゴールドビルダーは4番手を追走。2番手につけていた人気の一角、ストーミーデイが4コーナー手前で先頭をうかがうと、ゴールドビルダーは抜群の手応えで直後につけた。

そして直線、一旦はストーミーデイが単独で抜け出したが、残り200メートルを切ってゴールドビルダーがこれをとらえると、突き放すのは一瞬。さすがに父パイロという切れを見せ、ストーミーデイにつけた2馬身差は完勝といえる内容。さらに2馬身差の3着に、ゴールドビルダーのうしろ6番手あたりを追走していたチョウライリンが入った。

レース後のインタビューでは、佐藤調教師、森騎手とも、来年の東京ダービーもしくはクラシックを目標に、ということを自信と期待を込めて話していた。ハイセイコー記念から東京ダービーということでは2年前、同じ佐藤厩舎でパイロ産駒のハセノパイロがそのタイトルを手にしている。

そしてゴールドビルダーの強さについて森騎手は“厩舎力”ということを強調していた。2年前のハセノパイロは、ハイセイコー記念を勝って以降、勝ちきれないレースが続いたが、3歳になっての初勝利が東京ダービーだった。目標と定めたレースに目一杯の仕上げで臨む、それが佐藤厩舎の厩舎力ということなのだろう。

とはいえ来年へ向けての期待馬は、勝ったゴールドビルダーばかりではない。積極的に勝ちに行って2着だったストーミーデイの笹川翼騎手は「前回より距離に対応できた。競馬の内容はよくなっている」。デビューから3連勝のあと一度落ち込んだチョウライリンだが、鎌倉記念(5着)、平和賞(3着)そして今回(3着)と間隔を詰めて使われながら確実にレースぶりがよくなっている。1番人気ながら4着だったブリッグオドーンの御神本訓史騎手は「まだまだこれから。距離は長いほうがいいかも」と。また北海道からの転入馬で期待されたファンシーアップはスタートで出遅れ最後方からとなり、それでも向正面から位置取りを上げての5着は能力の高さを見せた。掲示板の5頭は、いずれも今後さらなる成長の可能性を感じさせる走りを見せた。

  • 取材・文
  • 斎藤修
  • 写真
  • 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

森泰斗 騎手

指示通りのポジションで、折り合いもついて、追ってからもしっかり反応してくれました。これから距離が延びるにあたって、いかに道中リラックスして走れるかを重視して、来年につながるような競馬ができたと思います。2歳にしては堂々としていて、精神面がぶれないところがいいと思います。

佐藤賢二 調教師

4、5番手くらいでじっくり溜めて行ってくれという指示通り、終いは必ず切れると思ったので、4コーナーでだいたい勝てるんじゃないかと思って見ていました。体調を見ながらですが、南関東代表として全日本2歳優駿を使ってみようと思います。先々は東京ダービーを目標に仕上げていこうと思います。