ホッカイドウ競馬の締めくくりとなる道営記念。初雪の便りも各地から届き、冷たい風が吹くこの日も「寒いね」が挨拶代わり。昼過ぎからの雨は上がり、星空の下でレースが行われた。
今年度の古馬重賞をほぼ総なめしていたスーパーステションが脚部不安のため回避したが、今年の競馬を盛り上げた面々が出走した。1番人気はデビューの地・門別に戻った実力馬ヒガシウィルウィンで単勝2.3倍。東京ダービー馬バルダッサーレ、大井の黒潮盃、盛岡のダービーグランプリと重賞連勝中の3歳馬リンノレジェンド、復調し堅実な走りを見せるオヤコダカの4頭が人気を集めた。
地元・日高町の富川高校吹奏楽部のファンファーレでスタート。押し出される格好でリンノレジェンドが先手を取り、バルダッサーレとエスシーレオーネ、ドラゴンエアルが続く。縦長の展開となった向正面ではオヤコダカが追い上げ2番手に。4コーナー手前でモズオトコマエが外から上がっていき先頭に並びかけた。
しかしリンノレジェンドは岡部誠騎手の檄に応え、後続を引き離していく。インで控えていた一昨年の優勝馬ステージインパクトが馬群を縫って2番手に追い上げたが、差は縮まらない。2馬身差をつけリンノレジェンドが逃げ切った。勝ちタイムは2分7秒2。3歳馬の勝利は2013年レオニダス以来。3着はモズオトコマエ、道営記念で好走を続けるドラゴンエアルが4着。1番人気のヒガシウィルウィンは6着だった。
勝ったリンノレジェンドの秋からの成長について林和弘調教師は「黒潮盃から自分でハミをとるようになったのが大きい。体も良くなってきた」。パドックでは引き締まった筋肉で馬体を輝かせていたのが印象的だった。
林調教師は道営記念5勝目。「みんながこのレースを勝ちたいと思ってやっている。思い入れがある」。馬主は、父で元調教師の林正夫さん。騎手で3勝、調教師で2勝、馬主でもショウリダバンザイに次ぐ2勝目の快挙となった。
生産者の上山牧場(浦河町)・上山真喜江さんも競馬場に駆けつけ「おとなしい子だった。大井の黒潮盃から力をつけてきたが勝つとはびっくりです」と笑顔を見せた。
同世代には北海道三冠馬のリンゾウチャネルがおり、来週行われる園田の楠賞に出走予定。閉幕後もホッカイドウ競馬所属馬の各地での活躍が楽しみだ。
レース後には恒例となった『ジョッキー交流会』をスタンド内で実施。120勝で初の北海道リーディングとなった石川倭騎手、1日5勝(8月21日)や重賞勝ち(リリーカップ)を含む46勝を挙げた新人の小野楓馬騎手などがファンとの写真撮影や握手に応じた。
道営記念の売上は昨年より8500万円ほど多い約2億8000万円で、この日1日の売上は8億円を超えた。今年は濃霧による取り止めは1レースのみで、発売額は計画額の263億円を大きく上回る330億円超となり、門別単独開催後最高額となった。85.6%がネット・電話投票によるもので、魅力ある人馬の走りが全国から注目を集めていることが、数字にも現れた。
Comment
岡部誠 騎手
状態も良く、力を出せれば勝てると思っていた。先行馬が少なく、楽に行けるならハナでも大丈夫かなと考えていた。動くというより、バテてないという感じ。パワフルで、持久力がある。夢が広がるレースだったと思います。道営の重賞初制覇が道営記念で光栄です。
林和弘 調教師
(前2走は)予想以上に強い勝ち方で、古馬とはどうかなと思ったが、力強い走りをしてくれて嬉しい。切れる脚はないので先行押し切りが合っていると思う。距離もこのくらいがいいのでは。今後は馬の状態を見て決めます。