1. Presented by National Association of Racing
  2. 地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロン
  3. ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
  • 第31回
  • ばんえいグランプリ

8.11 (祝日) 帯広

障害ひと腰から逃げ切り勝ち
 衰えをカバーする調整が結実

ファン投票選抜レースである夏の大一番・ばんえいグランプリ。今年は25連勝中のホクショウマサル(ファン投票5位)やぶち毛のブチオ(同6位)などの条件馬も票を集め、幅広いファンが増えたことを感じさせた。しかし負担重量増と重賞独特のゆったりしたペースは未経験馬には不安も多く、回避馬も出て8頭立てとなった。

ファン投票1位は3年連続でオレノココロ。昨年の優勝馬で単勝も2.5倍の1番人気だが暑さに弱く、当日は体重23キロ減。内陸部にある帯広は、夏は暑く冬は寒いといわれ、今年は7月末から最高気温が30度を超す日が続いていた。

3日ほど前から一気に気温が下がり、前日まで雨も降って馬場水分は1.8%。センゴクエースとコウシュハウンカイが単勝2.8倍で続き、3頭が支持を集めた。

メジロゴーリキが先行し、センゴクエースとコウシュハウンカイが続いた。オレノココロは行き脚がつかず後方から。道中はコウシュハウンカイがレースを引っ張り、メジロゴーリキがそれを見ながら進む。

最初に障害へ仕掛けたのはコウシュハウンカイ。ゆっくりと天板を越えひと腰で降りた。間を置いてメジロゴーリキとミノルシャープの5歳馬2頭。そのままコウシュハウンカイが5馬身ほどリードを保ちながら逃げ切った。勝ちタイムは2分10秒7で、2着メジロゴーリキには5秒9差。ゴール手前で失速したミノルシャープを、後方からレースを進めた7番人気のシンザンボーイが差し切って3着となり、ファン投票3位の意地を見せた。

センゴクエースとオレノココロは第2障害でもたつき7、8着。なかなか越えられない障害ではファンからどよめきが起きた。

コウシュハウンカイは昨年の北見記念以来の重賞勝ち。特別戦でも掲示板を外さない堅実な馬が最近は大敗もあり、松井浩文調教師も年齢による衰えを感じていたという。しかし今回の勝利で「(まだやれる)自信になった」とほっとした表情を見せた。「覚悟の上」と暑い日は調教を休ませながら馬の健康を維持。調教も一番涼しい午前3時頃を選んだが「この時間でも涼しくならなかったな」。メインに続き最終レースもワンツーフィニッシュとなりこの日の松井厩舎は5勝。混沌とする調教師リーディング争いも一歩前へ出た。

藤本匠騎手は同馬を「とにかく真面目。競走馬の鑑」という。ゴール前は大声で「頑張れ!頑張れ!」と馬を鼓舞し続けた。目に見えない敵に打ち勝った人馬の勝利となった。

  • 取材・文
  • 小久保友香
  • 写真
  • 中地広大(いちかんぽ)

Comment

藤本匠 騎手

勝つ時のイメージ通り、先行する自分のパターンに持ち込めた。ゴール前は祈りながら歩いていた。第1障害を越えたあとの、ギュン、という力が弱くなるなど衰えは感じるが、今日はうまく第1障害を越えてくれた。

松井浩文 調教師

雨が降って軽馬場になるなどすべてがこの馬に向いた。有力馬が暑さで調子を崩す中、調教をやりすぎないようにしてぎりぎり乗り切った。(メジロゴーリキが2着だったが)まだ上位人気3頭の力は抜けている。