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  • 第23回
  • 北海道スプリントカップ JpnⅢ

6.6 (木) 門別 1,200m

3度目の正直で掴んだ厩舎初タイトル
 2年目落合騎手は地元馬で殊勲の2着

実績に優る中央4頭が単勝一桁台の人気を集め、勝ったのは1番人気に支持された牝馬ヤマニンアンプリメ。しかしコース経験を生かした地方馬も意地を見せた。

互角のスタートから二の脚の速さで先頭に立ってレースを引っ張ったのはシュウジ。大井のショコラブラン、ヤマニンアンプリメと差なく続き、ノボバカラ、タテヤマら人気上位馬が先団の一角を占めた。

単勝2.2倍のヤマニンアンプリメに対して、2.6倍と差のない2番人気に支持されたシュウジ。デビュー以来芝のマイル以下を使われ、阪神カップGⅡ勝ちの実績があるが、今年からダート短距離路線に参戦して結果を残してきた。ただ地方には今回初参戦。4コーナーでショコラブランに並びかけられると直線では抵抗できず。抜群の手応えだったショコラブランが抜け出すかに思えたが、これらを並ぶ間もなく交わし、突き抜けたのがヤマニンアンプリメだった。

そしてラチ沿いをうまく立ち回ったノボバカラが2着争いから抜け出そうかというところ、大外を一気に伸びてきた馬がいた。16番枠から外々を回ってきた地元のメイショウアイアンだ。今季初戦の特別戦で3着だった9歳馬、単勝万馬券という評価ながら、勝ったヤマニンアンプリメから3馬身差で2着に入った。

結果的に“人”がクローズアップされる一戦でもあった。

勝ったヤマニンアンプリメの長谷川浩大調教師は、今年3月の厩舎開業。ヤマニンアンプリメは2月で定年引退となった中村均調教師から引き継いだ。転厩初戦となった高知・黒船賞JpnⅢがアタマ差2着、名古屋・かきつばた記念JpnⅢでは1番人気に支持されるも2着と惜しい競馬が続いていた。今回は早めに函館競馬場に入っての調整。再度の1番人気にこたえる形で厩舎に初タイトルをもたらした。「ここ2戦、2着に負けていたので、まずホッとしました。年明け、中村先生のときから、今年は浦和のJBCを目標にやってきたので、なんとか出走していい競馬ができるように目指していきたいと思います」とのこと。

そして地元勢として唯一見せ場をつくったメイショウアイアンの鞍上は、昨年デビューしたばかりの落合玄太騎手。「中央馬が相手でペースがいつもと違うと思って、出していったら少しハミを噛んでいました。それがなければいい勝負になったかもしれません」。大外枠ゆえ3~4コーナーでも大外を回らざるをえなかったこともあり、喜びよりも悔しさのほうが大きい2着だったようだ。昨年まで4年連続北海道リーディングの田中淳司厩舎所属ということもあり、ここまで地元重賞を7回経験しているが、いずれも着外。ダートグレード初騎乗での2着は、今後の自信につながる一戦となっただろう。

3着ノボバカラの鞍上は地元の阿部龍騎手。3年前のこのレースでは桑村真明騎手が鞍上で、断然人気のダノンレジェンド相手にハナ差2着があった。今回は内枠を生かしラチ沿いぴったりを回って位置取りを上げる好騎乗で、中央勢ではもっとも人気薄の4番人気ながら好走を見せた。


  • 2着にはデビュー2年目の落合玄太騎手と
    メイショウアイアン(北海道・田中淳司厩舎)
  • 取材・文
  • 斎藤修
  • 写真
  • 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

岩田康誠 騎手

前回乗ったとき(1月5日・門松ステークス1着)よりだいぶ調子がよくなっていました。3番手からいい形で進められて、直線はまたぐいっと伸びてくれました。こうしたチャンスをいただけて、(長谷川調教師に)重賞初勝利をプレゼントできてよかったです。厩舎の方々が頑張っている成果だと思います。

長谷川浩大 調教師

ここ2戦は1400メートル戦を使って、久々(3戦ぶり)の1200のスプリント戦で、あの位置(3番手)から競馬をするとは思ってなかったので心配しましたが、想像以上にすばらしいパフォーマンスでした。馬主さんとの相談になりますが、浦和のJBCに向けてオーバルスプリントを使うことになると思います。