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  • 第20回
  • 兵庫チャンピオンシップ JpnⅡ

5.2 (休水) 園田 1,870m

レースレコード・タイで圧勝
 無敗で狙う3歳ダート王の座

競馬は血のドラマと、改めて感じさせられるレースだった。兵庫チャンピオンシップJpnⅡはこれまでコパノリッキーやケイティブレイブなど後のGⅠ/JpnⅠホースを輩出している出世レースだが、今年も平成の世で繁栄した砂の一族の血を受け継ぐ期待の3歳馬が、新時代の令和でも活躍を約束する走りを披露した。

単勝1.1倍。断然の1番人気がJRAのクリソベリルだった。全兄が2013年ジャパンダートダービーJpnⅠなど重賞6勝、今年種牡馬として韓国に渡ったクリソライト(父ゴールドアリュール)、半兄が2015年兵庫チャンピオンシップJpnⅡで2着のリアファル(父ゼンノロブロイ)という3歳の春から活躍するダート血統。自身も新馬戦、500万下と連勝し、どちらも2着に7馬身差。鞍上は2戦で騎乗した川田将雅騎手が騎乗停止で乗替りとなったが、桜花賞、皐月賞、天皇賞・春とGⅠ・3連勝中と絶好調のクリストフ・ルメール騎手を確保。必勝態勢で臨んでいた。

これにヴァイトブリックが単勝4.3倍で続き、3番人気は大きく離れてゴールドラグーンの14.2倍。馬連複でクリソベリルとヴァイトブリックの組み合わせが1.3倍と、人気はこの2頭に集中。地元兵庫勢ではJRAで1勝後に移籍し、菊水賞3着のエナキョウがJRA5頭に次ぐ6番人気だった。

ゲートが開くと、逃げが予想されたゴールドラグーンに、好発を決めたクリソベリルとダイシンインディーが競りかけJRA3頭がハナを争う勢い。対する2番人気ヴァイトブリックは出遅れて離れた4番手を追走。1周目の3コーナーでゴールドラグーンが主導権を奪い、2番手ダイシンインディー、3番手クリソベリルで隊列が固まった。

勝負どころの2周目3コーナー。クリソベリルが楽な手応えで外から前の2頭をとらえると、あとは後続を離す一方。4番手追走のヴァイトブリックが追いすがるが、2番手まで。クリソベリルが上り3ハロン36秒6という驚異的な末脚で、2004年にメイショウムネノリがマークした1分57秒3のレースレコード・タイの勝ち時計でゴールした。

2着は5馬身差でヴァイトブリック。鞍上の戸崎圭太騎手は「出遅れがすべて」と唇をかんだ。3着には地元兵庫の7番人気バンローズキングス。1周目の直線では8番手だったが、少しずつ位置取りを上げ、3コーナーでは4番手まで進出していた。吉村智洋騎手は「距離も合ったし、チークピーシズの効果が大きかった。次につながる競馬ができた」と大健闘に声を弾ませた。

無傷の3連勝での重賞初制覇へとクリソベリルを導いたルメール騎手は「いいスタートを切って、いいポジションが取れてリラックスしていた」と振り返った。

注目の次走について、兄クリソライト、リアファルも管理した音無秀孝調教師は、クリソライトが勝ったジャパンダートダービーJpnⅠを挙げた。「リアファルは芝も走ったし、ベリルもこなせそうな走り。でも、リアファルがかわいそうな結果だったので、ベリルはダート路線で。ここで賞金加算して日本ダービーに出走した例もあったけど、うちはそれはしない」と芝への挑戦は否定した。

4年前2着だった半兄リアファルの雪辱を果たしたクリソベリルは、全兄クリソライトが就いた3歳ダート王の座に向けて、大きな一歩を踏み出した。

  • 取材・文
  • 松浦渉
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

C.ルメール 騎手

今日はすごくいいスタートが切れた。いいペースを維持して長くいい脚が使える、能力の高い馬。道中でコントロールもしやすい。体が大きくてフットワークも大きいのは兄のリアファルに似ている。強い馬なので、これからもっとダートで大きいレースを勝てる手応えはあります。

音無秀孝 調教師

大型馬(今回の馬体重は544キロ)で跳びが大きいので小回りコースがどうかなと思ったが、問題なかった。レースもあの位置取りなら大丈夫と思って見ていました。まだ3戦だし、これからもっと強くなるので、大きいところも勝てるように、じっくり育てていきたい。