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  • 第37回
  • フェブラリーステークス GⅠ

2.23 (祝日) JRA東京 1,600m

直線鮮やかに抜け出しダートでもGⅠ制覇
 期待の地方馬はモジアナフレイバー6着

メイセイオペラがフェブラリーステークスGⅠを制したのはもう21年も前のこと。地方馬ではその後も、2002年にトーシンブリザードが2着、11年にはフリオーソが2着と好走した。しかし中央ダート路線のトップクラスが格段にレベルアップした近年では、秋のチャンピオンズカップGⅠも含め地方からの参戦自体が少なくなっていた。

ところが今年は南関東から3頭が出走。2年前の中央在籍時にこのレースを制しているノンコノユメはもちろんのこと、モジアナフレイバーは昨年末の東京大賞典GⅠで3着、ミューチャリーはジャパンダートダービーGⅠでクリソベリルの3着と、いずれもダートGⅠ/JpnⅠで実績のある馬たち。しかもクリソベリル、ゴールドドリームというチャンピオン級の2頭が、翌週土曜日にサウジアラビアで新設された高額賞金レースに遠征のため不在となったこともあり期待が高まった。

しかし勝ったのは1番人気に支持されていたモズアスコット。ダート初挑戦だった前走根岸ステークスGⅢではスタートで出遅れたものの、直線で先頭に立っていたコパノキッキングを難なく差し切っていた。今回は好スタートから控えて中団を追走。直線半ばで外に持ち出し進路が開けると、あっという間に他馬を置き去りにした。

驚かされたのが2馬身半差で2着に入ったケイティブレイブ。ダートJpnⅠ・3勝という実績だが、昨年の浦和記念JpnⅡで復活の勝利を挙げたものの、その後の東京大賞典GⅠ、川崎記念JpnⅠではともに掲示板外。東京のマイル戦も不向きと思われ16頭立ての16番人気。それでも中団うしろの位置取りから直線鋭い伸びを見せた。鞍上は、2年ほど前からケイティブレイブの調教パートナーをつとめ、今回がGⅠ初騎乗という長岡禎仁騎手だった。

3着には、昨年のマイルチャンピオンシップ南部杯で鞍上の吉原寛人騎手とともにJpnⅠ初制覇を果たしていたサンライズノヴァ。4コーナー13番手という位置取りから、メンバー中最速の上り3ハロン35秒3で直線大外から伸びてきた。今回の鞍上は、初騎乗の松山弘平騎手だった。

地方最先着は6着(キンズガードと同着)のモジアナフレイバーで、勝ち馬からは1秒3差。スタートこそ互角だったものの、芝の部分で最後方に置かれてしまった。「ゲートの中は我慢していましたが、スタートの芝で滑ってぜんぜん進まなかった。それであの位置取りになって、あと2列くらい前で競馬をしていたらもう少し違う結果だったかもしれません」と繁田健一騎手。「広いコースのマイル戦は乗りやすい」というだけに残念な結果だった。

管理する福永敏調教師は、「最後は差を詰めてきたので、ある程度力のあるところは見せられたと思います。次につながるレースはできたので、ドバイ(3月28日、ゴドルフィンマイルGⅡ)は前向きに考えたいと思います」とのこと。順調であれば3月18日に中央馬と一緒に出発予定とのこと。

後方集団で道中ずっと追い通しだったノンコノユメは、それでも直線でじりじりと伸び、モジアナフレイバーに半馬身差で7着。「ゲートはうまく出てくれたけど、出てからが忙しい。今のノンコノユメには1800とか2000メートルのほうがいいと思う」と真島大輔騎手。このあとは帝王賞JpnⅠが目標になるようだ。

ミューチャリーもタイミングが合わないようなスタートで後方からとなり、4コーナーでは最後方。それでも懸命に追ってバテた馬を交わして11着。御神本訓史騎手は、「軽いダートが走り慣れていないというか、戸惑っていたようです。何度か走って慣れればまた違うだろうけど、今度は地方のダートで中央勢を負かしたいですね」とのことだった。

さて、勝ったモズアスコットだが、芝・ダート双方でのGⅠ制覇は、JRAでは5頭目の快挙。「追い切りでいい時計が出たし、馬のコンディションもよくなっていたので、今日は負けられないと思った。ダートであらためて強い馬になりました」とルメール騎手。

そして管理する矢作芳人調教師は、「前回が出遅れても強い競馬で、今回は慣れている芝スタートになって、馬の状態も上がって、すべての条件が好転していたので、かなり自信はありました。今後は芝・ダートを問わず本格的に二刀流で育てていきたいと思います」という次走は、すでに発表されていたとおりオーストラリアのドンカスターマイルGⅠ(4月4日、ランドウィック競馬場・芝1600メートル)に遠征予定。なお現在、昨年12月1日付で調教師免許を取得した大井の坂井英光調教師が矢作厩舎で研修中。この日も東京競馬場にその姿があり、モズアスコットのオーストラリア遠征に帯同して調教に騎乗するとのことだった。


  • 地方最先着は6着(キングズガードと同着)の
    モジアナフレイバー(大井)

  • 直線でじりじりと伸び7着となった
    ノンコノユメ(大井)

  • ミューチャリー(船橋)は11着

  • 昨年のJBCスプリント覇者
    ブルドッグボスは13着

  • モズアスコットは
    芝・ダート双方でのGI制覇となった
  • 取材・文
  • 斎藤修
  • 写真
  • いちかんぽ(早川範雄・国分智)