1. Presented by National Association of Racing
  2. 地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロン
  3. ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
  • 第69回
  • 川崎記念 JpnⅠ

1.29 (水) 川崎 2,100m

6馬身差圧勝でJpnⅠ・2勝目
 南関東の4歳馬2頭も大健闘

フランスの女性騎手ミカエル・ミシェル騎手が地方競馬の短期免許を取得し、1月27日から川崎所属として騎乗を開始。初日から見せ場を作りミカエル旋風が吹き荒れていた。そして29日、川崎記念JpnⅠ当日の第5レース、多くのファンの前で地方初勝利をあげミカエル・スマイルが炸裂した。そんな大盛況の川崎競馬場で今年最初のGⅠ/JpnⅠを迎えた。

豪華メンバーが集結した今年の川崎記念JpnⅠ。このレースの過去3年の勝ち馬、オールブラッシュ、ケイティブレイブ、ミツバが顔を揃え、前走の名古屋グランプリJpnⅡを制し勢いある4歳馬デルマルーヴルも参戦。また南関東からは、昨年の東京ダービー馬ヒカリオーソや、羽田盃馬ミューチャリーと成長著しい実力馬も出走と、2020年のダート戦線を占う大注目の一戦となった。その中で、圧倒的な強さを見せたのは、単勝1.6倍と断然の支持を集めた2019年JBCクラシックJpnⅠの覇者チュウワウィザードだった。

ゲートが開くとなかなか隊列が決まらなかったが、最内枠のケイティブレイブが最初の3コーナー手前で先手を取った。2番手にミューチャリー、その直後の内にミツバ、外にチュウワウィザード、そのさらに外でデルマルーヴルがぴったりとマークしていた。この1周目スタンド前からの攻防をチュウワウィザードの川田将雅騎手は「終始デルマルーヴルが追いかけてくるかたちだったので、この辺りからはオイシン・マーフィー騎手とのやり取りだった」と振り返った。

逃げていたケイティブレイブが3コーナーで下がると押し出されるようにミューチャリーが先頭。その外から抜群の手応えで上がってきたのがチュウワウィザードだ。デルマルーヴルをはじめ、ライバルたちが必死に追い出しているのを尻目に4コーナーで前を交わすと、直線では後続をぐんぐん突き放し、6馬身差の圧勝劇を披露した。

2着には外から追い込んだヒカリオーソ、その1馬身差の3着にデルマルーヴルが入った。

川田騎手のコメントにもあったマーフィー騎手との攻防についてだが、マーフィー騎手は「今日は強い馬を見ながらのレース、勝つためにはあの競馬しかなかった」と語った。一筋縄ではいかない川崎の2100メートルだが、トップジョッキー同士の駆け引きも感じ取れた見応え十分のレースであった。

今年初戦を見事勝利し、2つめのJpnⅠタイトルを手に入れたチュウワウィザード。デビューからここまで、馬券圏内を外したのは前走のチャンピオンズカップGⅠ・4着のみと底知れない5歳馬だ。これからのダート界をリードしていく存在であることは間違いないだろうが、それでも陣営は楽観していない。「前走で負けた馬たちが今日はいないので、ここでは勝たないとと思っていました。ただ、オメガパフュームやクリソベリルは強いですからね。この馬が一番強いとは言えないと思います」と大久保龍志調教師は謙虚な答えだった。今後については、ドバイワールドカップGⅠに選出されれば直行になる予定。選出されなければダイオライト記念JpnⅡを視野に入れるとのことだ。

また、今年の川崎記念JpnⅠは、南関東の4歳馬たちの走りも光った。これまで先行力が強みだったヒカリオーソが、中団から直線で末脚を伸ばし2着。山崎誠士騎手は「すごいね!びっくりした!出遅れてしまったのでいつもより後ろからのレースになりました。初めての馬込みで少しムキになるところはあったけど、最後まで脚が上がらず頑張ってくれました」と驚きの表情を見せた。一方、キレ味が魅力のミューチャリーは、先行のかたちから直線では粘って4着。「スタートも良かったので出たなりでしたが、もう少し後ろで競馬したかったです。ジャパンダートダービーの結果を考えればこれくらいは走れていい。ただ、ヒカリオーソに先着されたのは悔しいですね」と御神本訓史騎手はコメントした。この大舞台でこれまでとは違う一面を見せたヒカリオーソとミューチャリー。これからどんな進化を見せてくれるのか楽しみでならない。そしてこの2頭の今後のライバル対決も見守っていきたい。


  • ヒカリオーソ(川崎)は
    中団から直線で末脚を伸ばし2着

  • ミューチャリー(船橋)は直線粘って4着

  • 地方競馬全国協会理事長賞の
    副賞として畜産品が贈呈された
  • 取材・文
  • 秋田奈津子
  • 写真
  • 築田純(いちかんぽ)

Comment

川田将雅 騎手

前半の並びがあまり良くなかったので少し促して周りに動きを作りました。それからは良いかたちでレースを進めることができました。4コーナーで1頭になった時とまどっていて気を抜く感じになっていたので、それをケアしながらゴールまで運びました。もう少しだけ大人になってくれればいいなと思います。

大久保龍志 調教師

人気に応えられてホッとしています。前走後に疲れがあったので東京大賞典ではなくこちらを選択しJBCと同じくらいの状態で臨めました。競馬の前は大人しいのですが返し馬に入るといつもの姿。オンとオフがしっかりしています。去年よりも成長していますし、どこまで強くなるのかまだ見えませんね。