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  • 第18回
  • 佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ

1.28 (火) 川崎

岩手の山本騎手が4度目の出場で優勝
 第2戦を制した石川騎手が僅差で2位

マイスターチャレンジ

ヴィクトリーチャレンジ

騎手時代に通算7153勝(うち中央2勝)を挙げ、“鉄人”とも呼ばれた佐々木竹見さん。そんな川崎競馬が生んだ至宝を称えるべく誕生した佐々木竹見カップジョッキーズグランプリも18回目を迎えた。

川崎競馬場には全国から14名の名手たちが集結し、マイスターチャレンジ(1500メートル)とヴィクトリーチャレンジ(1600メートル)の2レースのポイント制によって争われた。今年は石川倭騎手(北海道)、福原杏騎手(浦和)、筒井勇介騎手(笠松)、田邊裕信騎手(JRA)の4名が初出場。

前夜から雨が降り出し、当日も降り続く予報が出ていたため、恒例の騎手紹介式は前日のうちに中止が発表された。冷たい雨が降り続き、馬場は水が浮く不良の悪コンディション。しかし、名手たちの共演は、どんな状況においても研ぎ澄まされた空気感を作り出す。

第9レースに組まれたマイスターチャレンジは、吉村智洋騎手(兵庫)が手綱を取った4番人気シゲルルビーが勝利した。

出ムチを入れながら森泰斗騎手(船橋)のビービーソウルが逃げ、2番手には山口勲騎手(佐賀)のミッキースプリングが続き、吉村騎手のシゲルルビーは外の3番手。3コーナー手前から吉村騎手がポジションを上げていくと、最後は鮮やかな差し切りを決めた。

2着は中団から脚を伸ばしてきた山本聡哉騎手(岩手)のギャップオブリアル、3着は逃げ粘った森騎手だった。

第11レースのヴィクトリーチャレンジは、石川騎手の12番人気ビマジョが制した。

吉原寛人騎手(金沢)のカネトシテッキンに、すかさずクリストフ・ルメール騎手(JRA)のトピアリストが並びかけ先行していき、石川騎手のビマジョは中団を追走。最後の直線では横一線の大混戦となり、好位から岡部誠騎手(愛知)のシントーゴールドが一旦は抜け出したが、石川騎手がこれを抜き去って勝利。さらに後方2番手から進出し大外から豪快に脚を伸ばした福原騎手のアルマライルが2着。3着が岡部騎手だった。

この結果、2着、4着で計65ポイントを獲得した山本騎手が初の総合優勝を飾った。

2位は7着、1着で63ポイントの石川騎手で、差はわずか2ポイント。3位は1着、13着で53ポイントの吉村騎手だった。

岩手代表としてこの舞台に立った山本騎手は、4回目の出場で初優勝。合計ポイント集計中に、山本騎手と石川騎手の上位2位は確定という情報が入ってきた際に、2人は満面の笑みを浮かべ抱き合って喜びを分かち合っていた。

「今日は2着と4着で勝っていなかったので、竹見カップは勝ちポイントが大きいので勝った人たちが優勝するんじゃないかなと思っていました。こういう招待レースで優勝できたことがあまりなかったですし、名誉のある招待レースで優勝できたことはとてもうれしいです」と山本騎手。

山本騎手は今年2月10日から南関東(船橋所属)での期間限定騎乗を開始する。岩手のトップジョッキーとしても、船橋の山本聡紀騎手の兄としても、南関東ではお馴染みだが、この竹見カップの優勝で弾みをつけたいところだ。

なお、今回出場メンバーの中で最年少が、3日前に19歳になったばかりの福原騎手。昨年4月30日、平成最後の日にデビューし、まだデビューして1年にも満たない経験での出場だったことも話題を集めたが、錚々たるメンバーの中で総合4位に入った。

「重賞も何回か乗せていただいていますが、その時よりも緊張しました。1戦目(11着)はうまく流れについていけず実力差を感じました。2戦目(2着)は出遅れてしまったのであの位置になりましたが、逆に腹をくくって後ろからいって、最後はいい脚を使ってくれてよかったです。緊張はしましたがすごく楽しかったですし、これからもまた出場できるように頑張ります」(福原騎手)。

福原騎手は昨年62勝。1973年以降に南関東でデビューし、その年の12月までの勝利数の記録を更新した(これまでの記録は笹川翼騎手の43勝)。昨年の浦和競馬場のリーディングは、1位が森騎手、2位が左海誠二騎手で、福原騎手は浦和所属騎手では最上位の3位で今回の出場となった。

福原騎手は、北関東のトップジョッキーだった水野貴史調教師の初の弟子。この佐々木竹見カップ出場をきっかけに、どのように成長していくのか楽しみだ。

  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

総合優勝 山本聡哉騎手(岩手)

どちらもチャンスのある馬で堅実に走ってくれるというか、そういう馬たちだったのが一番ですね。1戦目で勝てればもっとよかったですが、2戦目は内ラチ2、3頭目のところを走りたいなと思っていて、あまり外々を回らないように乗りました。優勝賞金の使い道は奥さんと相談して決めます(笑)。

総合2位 石川倭騎手(北海道)

初めてでしたがリラックスして乗ることができました。2戦目は返し馬はしていないので感触はなかったですが、こういう馬場は合うだろうなぁとは思いました。馬が硬めなので、あまり溜めてもいけないようだったので行きました。リーディングを取ったことで、こういうレースに出られたのはうれしいです。

総合3位 吉村智洋騎手(兵庫)

みんなうまい人ばかりなのでどう乗って来るか、いつもとは違う乗り方かもしれないし、出てから考えようと思いました。1戦目は(山口)勲さんの馬が2番手まで上がってくれたので、外からついていく形で3番手、途中から2番手につけられたので、めちゃめちゃ楽でした。勝つことができてよかったです。