抜群の手応えで直線突き抜ける
来年のダート女王争いに名乗り
JBCレディスクラシックJpnⅠが終わり、牝馬ダート戦線の新たな1年がクイーン賞JpnⅢから始まった。2014年の牝馬交流重賞で3勝を挙げたワイルドフラッパーや、JBCレディスクラシックJpnⅠの覇者サンビスタが不在の中、単勝オッズ1.7倍という断然の人気を集めたのが4歳馬のトロワボヌール。その期待にしっかりと応える圧倒的なパフォーマンスで、来年の女王争いに名乗りをあげた。予想通りブルーチッパーがすんなり先手を取ると、カチューシャや、エミーズパラダイスがそれに続き、昨年の勝ち馬アクティビューティが外目好位につけた。トロワボヌールは、中央勢の中では一番後ろの位置取り、6、7番手で先団をマークする態勢。縦長の隊列でレースは進み、3~4コーナーでは中央馬4頭の争いに絞られた。
前の3頭が追い出しはじめても、その直後でひときわ手応えが良さそうなトロワボヌール。直線ラスト200メートルを切ったところで、ライバル達に並ぶ間もなくあっさり抜け出すと、そのまま馬場の真ん中を突き抜けて見せた。
1馬身半差で2着はアクティビューティ。「斤量差云々ではない。相手が強すぎた」と内田博幸騎手。2連覇には手が届かなかったが、これで牝馬ダート交流重賞で2着6回目。この馬の堅実さには頭が下がる。3着のブルーチッパーは、自分の形に持ち込むことはできたが上位2頭とは差が開いてしまった。
横綱相撲といえる内容で重賞初制覇を飾ったトロワボヌール。前走のJBCレディスクラシックJpnⅠは、ゴール前でワイルドフラッパーを捉え、勝ったサンビスタに1馬身1/4差に迫る2着だった。「前回は位置取りが後方になって2着が精いっぱいでしたが、今日は、船橋を熟知している戸崎騎手もうまく乗ってくれました。終いの脚がしっかりしている馬で、ダートでは後ろから抜かれたことは一度もないと思います」と畠山吉宏調教師。今年、ダートに転向してからオール連対と底を見せておらず、「まだまだ伸び代はあります」と陣営も大きな期待を寄せている。次走はTCK女王盃JpnⅢ(1月21日・大井)に出走予定とのことだ。2015年の牝馬ダート戦線は、トロワボヌールも加わって3強の争いになるのだろうか。女王の座をめぐってどんな戦いが繰り広げられるのか今から楽しみだ。
さて、今回は1着から3着までを中央勢が独占したが、健闘したといえるのが笠松・笹野博司厩舎の2頭だ。メンバー中上がり最速の脚で3着に半馬身差まで迫ったタッチデュールが4着。5着には直線大外から一気に末脚を伸ばしたトウホクビジンが入った。ともに斤量51キロの恩恵があったにせよ、実績馬が揃った南関東勢などをねじ伏せた結果は立派のひと言。全国行脚で培った経験と地力はダテではない。なお、このレースで通算161戦目となったトウホクビジンは、来年1月中旬までに引退し繁殖入りすることが決まったという。残り数戦出走する予定とのことだが、無事に競走馬人生を終えてほしいと全国のファンが願っていることだろう。
戸崎圭太騎手
前日に攻め馬に乗りましたが、すごくおとなしくて何も言う事がないという感じで今日は自信を持って来ました。行く馬もわかっていましたし、それを見ながらレースをしようと考えていました。センスがいい馬で、追い出したら反応良くサッと動いてくれて、強いパフォーマンスが見せられたかなと思います。
畠山吉宏調教師
盛岡(JBC)が終わった後はいい状態をキープできていました。以前は気性の激しさが悩みでしたが、今年ちょうどダートに転向する時期に落ち着きもでてきて、精神面と体力面が同時に強くなってきました。牝馬の交流重賞はいいローテーションですし、これから挑戦者の気持ちでがんばっていこうと思います。
ツイート |