充実の4歳馬が7馬身差圧勝
出走権を得て目標のJBCへ
9月7日、船橋競馬の川島正行調教師が66歳の若さで逝去された。これまでGⅠ/JpnⅠ・13勝を含む重賞139勝をあげ、NARグランプリ最優秀調教師賞に9度輝くなど、多くの名馬を手がけ、数々の記録を打ち立ててきた名将。川島調教師が競馬界に残した功績は多大であり、また、誰よりもファンを大切にしてきた姿が印象的だった。船橋競馬場のウィナーズサークルの近くには献花台と記帳台が設置され、連日多くのファンが訪れている。川島正行調教師の競馬への想いが、競馬関係者やファンの方々によって後世に引き継がれてほしいと切に願う。その川島調教師が育てた名馬フリオーソが2010年に優勝した船橋競馬の伝統の一戦、日本テレビ盃JpnⅡが、秋晴れのもと行われた。今年の主役は、なんといっても4歳馬のクリソライトだ。単勝1.4倍の圧倒的な人気に応え、近走の不振続きに終止符。2013年のジャパンダートダービーJpnⅠ以来の勝利を手にした。
ゲートが開くと、グラッツィアが積極策で先手を主張した。クリソライトはスムーズに2番手をキープし、その外側にダノンカモン。4番手の内にトーセンアレスが位置取り、並ぶようにグレープブランデーがつけ、上位人気5頭が後続馬たちを離し一団でレースが進んだ。3コーナーあたりで、クリソライトが手応えよくグラッツィアに並びかけた。そして直線入口で先頭に立つと、その後は独壇場。ぐんぐんと後続を突き放し7馬身差の完勝となった。
2着には、直線で脚を伸ばしたダノンカモンで、逃げ粘ったグラッツィアが3着に入った。
「復活と言っていいでしょう」と力強い言葉を放ったのはクリソライトを管理する音無秀孝調教師だ。昨年のジャパンダートダービーで7馬身差の圧勝劇を披露したことは記憶に新しいところだが、その後、不振が続いた。ジャパンダートダービー後に4カ月ほど休養を挟んだのだが、その間で何かしら馬の体調に変化が生じてしまったことが要因だったようだ。しかしようやく状態が良くなり、前走のマーキュリーカップJpnⅢで2着と結果に表れ、今回のレースで約1年2カ月ぶりに勝つことができた。「前走から調教の動きも良くなっているし、状態が元にもどるのに1年かかった。この馬は使い続ける方がいいということなんでしょうね」と音無調教師は語った。
今回初コンビとなった戸崎圭太騎手は「フットワークが良くて力強い走りをしますね。ジャパンダートダービーで自分も一緒にレースに乗っていましたが(ベストウォーリア・5着)その時に強いなぁと思った馬です。力を出せればいいところまでいけると思いますよ」と評価した。
次走はもちろん、11月3日盛岡競馬場で行われるJBCクラシックJpnⅠだ。「馬は4歳が一番強いと言われています。今日のようなレースができれば、一流馬に混じってもいけると思います」と音無調教師の声は明るかった。完全復活を遂げたクリソライトが、この若さと勢いで他の有力馬たちを脅かす存在になることは間違いないだろう。
地方馬最先着は4着だった浦和のトーセンアレス。3着馬にはクビ差届かなかったが見せ場は十分だった。「今回は前走の疲れも感じられたけど、いつかチャンスはある」と張田京騎手。小久保智調教師も以前から「交流重賞を勝ちたい」という期待馬だけに、今後の走りに注目したい。
戸崎圭太騎手
返し馬の時から雰囲気が良く調子の良さを感じていました。終始手応えも良くて、馬も気持ち良く走ってくれたなと。スタートも良くてこの馬のリズムで走れていたので、これならいけるなと思っていました。7馬身差という強い勝ち方をしてくれたので、これを機にまたいいレースをしてくれると思います。
音無秀孝調教師
意外と無理をせずに2番手につけられましたね。ずっと手応えも良かったので3コーナー過ぎからは前の馬を交わせば勝てるなと思って見ていました。前走からずっと状態は良かったです。この馬がいい時は調教が動く時なんですよ。JBCが目標でしたし、このレースを勝って行きたいと思っていました。
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