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2014年8月19日(火) 佐賀競馬場 1400m

重賞初挑戦の8歳馬が圧勝
地方の期待馬も健闘見せる

 今年の夏は九州地方で長雨が続いていることはニュースなどでも伝えられているとおり。佐賀県地方は前日から雨が降り続き、特にこの日の朝方はかなり強い降りになったとのこと。地元佐賀のある調教師は、「梅雨が明けたら、もっとすごい梅雨に入ったよう」と苦笑いしていた。サマーチャンピオンの1つ前のレースのあたりでは、雷をともなう強い雨で、コースのほぼ全体に水が浮く状態に。それでも佐賀コースは水はけがいいようで、またハローがけした効果もあったのだろう、その後雨が弱まるると、全面に水が浮いているというほどではなくなった。
 しかし相当に水を含んだ状態であることに変わりはない。そんな馬場をスピードに任せて他馬を寄せつけず逃げ切ったのが、地方初参戦のエーシンビートロンだった。そして地方馬も2、3着に入る健闘を見せた。
 先行争いからハナに立ったのは僅差2番人気のエーシンビートロンで、名古屋のサイモンロード、1番人気ガンジスがぴたりと追走。兵庫のタガノジンガロ、名古屋のピッチシフターは中団、タイセンファントムはさらにうしろからの追走となった。
 直線を向いてもエーシンビートロンが先頭で、ガンジスが食い下がっていたものの、残り100メートルほどでエーシンビートロンが突き放して圧勝。ガンジスがそのまま2着に粘るかに見えたが、ピッチシフター、タガノジンガロが一気に迫り、勝ち馬から5馬身差がついて3頭横一線の2着争いは、写真判定の結果、真ん中のピッチシフターがわずかに先着。ハナ差で3着にタガノジンガロで、昨年2着の雪辱が期待されたガンジスはアタマ差で4着だった。
 エーシンビートロンは、前走オープン特別勝ちからの連勝で、今回が8歳にしての重賞初挑戦。地方のダートグレードでは、重賞実績のない中央馬はなかなか出走枠に入ることができないが、このサマーチャンピオンには登録段階から中央馬には重賞勝ち馬がいないという幸運もあった。日程が近い盛岡・クラスターカップJpnⅢは中央枠5頭のうち4頭に重賞勝ちがあるメンバーだったというのは、今年はその舞台でJBCが行われるということがあったかもしれない。
 エーシンビートロンの西園正都調教師は、「怖いのはガンジスだけで、それより枠順が内だったので、ハナに行ったときに勝ったなと見ていました」とのことで、かなり自信を持っての参戦だったようだ。8歳でこのチャンスをモノにできたという意味は大きい。賞金を加算したことで、地方のダートグレードに出走しやすくなるからだ。このあとは、JBCスプリントやフェブラリーステークスなどのタイトルを目指していくという。
 そしてハナ差で2、3着を争った地方の2頭だが、直線を向いて終始リードしていたのはタガノジンガロだったものの、ゴール寸前でピッチシフターがわずかに出た。4キロというハンデ差もあっただろうし、4コーナーでタガノジンガロが外を回ったということもあっただろう。ただ少なくともこの2頭が、あらためてダートグレードでも通用する力があることは示した。
 ピッチシフターの次走は、グランダム・ジャパン古馬シーズンの第7戦、地元の秋桜賞(9月15日・名古屋)とのこと。つい4日前の園田・摂津盃で牡馬相手にトップハンデで圧勝したエーシンサルサとの再戦が注目となりそうだ。

武幸四郎騎手
無理して逃げようとは思ってなかったですが、自然に行ければとは思っていました。ペースが速いのはわかっていたので、自分がバテるか、ついてきた馬がバテるかと思っていたんですが、よくがんばってくれました。怪我で休養が多い馬で、馬がよくなったいいタイミングで乗せてもらっています。
西園正都調教師
道悪でも勝っているので、馬場も味方につけての完勝でした。去年ぐらいまでは頭打ちかなと思うところもあったんですが、放牧から帰っていきなり1600万下を勝って、幸四郎と手が合ったのか、それから壁がなくなりました。8歳とはいえ長い休養もあって体は若いので、まだ4、5歳のつもりで接しています。




2着と意地を見せたピッチシフター

取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)