dirt
2014年6月12日(木) 門別競馬場 1200m

積極果敢に地方勢が先行も
控えた中央馬が直線で逆転

 前日の関東オークスJpnⅡも相当な不良馬場だったが、この日の門別競馬場も雨で水の浮く不良馬場となった。
 断然人気はスノードラゴン。重賞タイトルはないものの、ダートでは昨年12月にカペラステークスGⅢで2着があり、芝にも可能性を求め、オーシャンステークスGⅢ、そしてGⅠの高松宮記念でも2着。その高松宮記念がやはり不良馬場でダート並みに時計がかかる決着。今回はダートに戻ったとはいえ、同じように不良馬場になったことで、さらに人気を押し上げたかもしれない。
 しかし勝ったのは、3番人気のアドマイヤサガスで、これが重賞初制覇となった。
 ダッシュよく先頭に立ったのは、下級条件から3連勝で前走エトワール賞を制したグランヴァン。名古屋のサイモンロード、地元期待のアウヤンテプイと続き、アドマイヤサガス、セイクリムズン、セレスハントら中央勢はそのうしろ。スノードラゴンはここ何戦かと同じように馬群の後方からレースを進めた。
 4コーナーでグランヴァンの手ごたえが一杯になったが、代わってサイモンロードが手ごたえ十分のまま先頭に立ち、さらに直線を向いてアウヤンテプイが並びかけてきたあたりでは、地方勢同士の決着かにも思えた。
 しかし外から水しぶきを舞い上げながら襲いかかってきたのが、アドマイヤサガスとスノードラゴン。3~4コーナーを一気にまくってきたスノードラゴンにも勢いがあったが、盛り返したアドマイヤサガスが、残り200メートルあたりで先頭に立っていたアウヤンテプイを一気に抜き去っての勝利。スノードラゴンは1馬身差の2着。このレース3連覇がかかっていた9歳馬セレスハントも内でしぶとく伸びてクビ差の3着。昨年以上に見せ場をつくったアウヤンテプイは、昨年と同じ4着だった。
 前半の3ハロンが33秒8というペースはいかにも速く、中央の有力馬が控えたのも当然のこと。最後は中央勢に力で捻じ伏せられる結果となった。地方勢ではもっとも人気を集めた(4番人気)大井の期待馬アルゴリズムは中団のまま、持ち味である末脚不発で8着だった。
 レース後、「重賞を勝ったことで、これからは地方の交流重賞にも出やすくなる」と喜びを語ったのは、アドマイヤサガスの橋田満調教師。6歳にしての重賞初制覇には、「ダートなら高齢まで活躍できますから、6歳はまだ高齢の部類に入りません。まだまだやれると思います」と期待を寄せた。次の目標は、盛岡・クラスターカップJpnⅢ(8月13日)となるようだ。

川田将雅騎手
もう少し前の位置をとろうと思ったんですけど、内側の馬たちが行きたがっていたので、一段下げて、少し楽をさせました。思ったよりスノードラゴンが早く来て、一瞬むこうが出たんですが、徐々に盛り返してくれたので、これはいけるなと思いました。この馬は良馬場のほうが持ち味が生きると思います。
橋田満調教師
体調はよかったですが、以前に負かされている馬が相手だけに、心配はありました。それでもスタートのいい馬ですし、位置取りや仕掛けどころのむずかしさは川田君がよく知ってくれていますから。1600メートルだとちょっと長いので、1400メートル以下でこれからも活躍してくれると思います。



取材・文:斎藤修
写真:中地広大(いちかんぽ)