出遅れも早めに前をとらえる
ムチ2発で突き放しGⅠ/JpnⅠ連勝
大型連休をあと1日残し、子供の日の開催となったJpnⅠのかしわ記念。入場人員17,391人は昨年よりわずかに減少したとはいえ、それでも、今や国民的なアイドルとなったふなっしーの来場などもあり、家族連れの姿も目立つなどにぎわった。
しかし、かしわ記念の出走馬は、1996年にJRAとの交流重賞となって以降最少頭数の8頭。JRA勢は5頭ともがダートグレードの勝ち馬。なかでもGⅠ/JpnⅠを制している2頭、ワンダーアキュートとコパノリッキーの馬連複が1.7倍と人気が集中。地方馬は、地元船橋2頭に笠松からの遠征が1頭。いかにも実力的に開きがあり、レースの序盤からJRA勢5頭の争いとなった。
スタートでコパノリッキーが後手を踏んだ。ゲートの中でソワソワして、後ろの扉を蹴っていたという。スタート後の直線では、セイクリムズン、ゴールスキー、ワンダーアキュートと前に3頭、アドマイヤロイヤル、コパノリッキーがそのうしろを追走した。
1~2コーナーを回るところのコーナーワークで、内枠のセイクリムズンが先頭に立った。セイクリムズンが逃げたのは久々のこと。コパノリッキーが出遅れたことでハナを主張する馬がなく、それゆえゆったりとした流れとなった。
砂をかぶると嫌がるというコパノリッキーはすぐに外に持ち出し、3コーナーから前をとらえにかかった。アドマイヤロイヤルがJRA勢同士の争いから脱落し、4コーナーを回るところで4頭が横一線に。
直線での追い比べは、見るからにコパノリッキーの手応えに余裕があった。ムチを2発入れただけ。残り100メートルで突き放し、接戦の2着争いに2馬身差をつけての完勝となった。
2着は、セイクリムズンが外のワンダーアキュートにハナ差で先着。今回は岩田康誠騎手が騎乗停止中で、コースを熟知している戸崎圭太騎手の無理のない逃げで、ラチ沿いぴったりを回ってきたというコース取りのアドバンテージもあったかもしれない。
勝ったコパノリッキーは、フェブラリーステークスGⅠの勝利が最低人気で、しかも勝ちタイムが例年と比べるとやや遅かったことなどから、フロック視する向きもあった。しかし今回は外々を回ってきての危なげない勝ち方。ダートでの能力の高さをあらためて示したといっていいだろう。
今回出走したJRA勢は他4頭が7歳か8歳で、コパノリッキーだけが4歳と若い。向こう何年かのダートGⅠ/JpnⅠ戦線で中心的存在となることは間違いないだろう。次走は、状態や相手関係を見ながら、さきたま杯JpnⅡか帝王賞JpnⅠとなるようだ。
田邊裕信騎手
今回は人気になっていたので、勝ててホッとしています。ペースはあまり速くないと思ったので、外を回すロスも考えたんですが、早めに負かしに行きました。今日はコパさん(馬主の小林氏)の誕生日だと言われていたので、それが一番のプレッシャーでした(笑)。続けてジーワンを勝たせていただいてうれしいです。
村山明調教師
出遅れましたけど田邊騎手が冷静にうまく乗ってくれました。なるべく砂をかぶらないような位置でという指示で、意識して外に出したところはあった思います。今回は少し調教が軽かったかなとは思いましたが、このメンバーでこういう競馬ができて、あらためて力があることがわかりました。
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