ハイペースを逃げ切り重賞連勝
賞金加算で今後の視界も良好
名古屋大賞典JpnⅢが行われたこの日は、春の陽ざしが降り注ぐ競馬日和。この開催が始まる直前に、3コーナー以外のインコースに砂が補充された影響か、出走各馬が蹴り上げた砂がもうもうと立ち昇る風景は、パワーが必要な馬場状態になっているように見受けられた。そのことも踏まえると、逃げて実績を残しているJRAのエーシンモアオバー、メイショウコロンボに加え、地元のサイモンロードがいるというメンバー構成は、差し馬が有利という考えにつながるところ。各種オッズでもJRAのアジアエクスプレスが断然人気で、フィールザスマートが2番人気と、好位差しタイプが中心になっていた。
パドックでの注目の的も、一昨年のJRA賞・最優秀2歳牡馬に輝いたアジアエクスプレス。しかし同馬は7カ月の休み明け。その心配もあるなかで迎えたファンファーレだったが、エーシンモアオバーを含めたダートグレードのタイトルホルダー3頭は、次元の違う走りを披露することになった。
スタートしてすぐさま先手を取ったのは、メイショウコロンボ。エーシンモアオバーは競りかけずに2番手を選択し、アジアエクスプレスがそこに加わる形となったが、1周目の3コーナーで、その3頭の後ろが6馬身ほども離れる展開。オーバーペースではないかと思わせるほどの勢いで進む3頭と、出走取消となったタッチデュールを除いた残り8頭とは、違うレースをしているかのごとき状況となった。
2周目の向正面でアジアエクスプレスが先頭を狙うべく動いていくと、メイショウコロンボはそこでまた加速。その流れにエーシンモアオバーは耐えられずに後退し、代わってフィールザスマートが上昇を開始したが、前の2頭には届きそうにない雰囲気だった。
そして最終コーナー以降は、まさに2頭のマッチレース。一瞬、アジアエクスプレスが先頭に立つシーンもあったかに見えたが、メイショウコロンボは闘志を燃やして再び加速。最後は体半分の差をつけ、兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢからダートグレード連勝を飾った。
メイショウコロンボ鞍上の武幸四郎騎手は、検量室に戻ってくるなり「疲れたー!」と一言。すぐ後ろからプレッシャーをかけられながらも先頭を守り続けたレース展開は、馬にも騎手にも厳しかったようだ。
2着に敗れたアジアエクスプレスは、手塚貴久調教師が、「相手がしぶとかったですね。でも、こちらは小回りが得意というタイプではないですし、内容的には悪くなかったと思います」とコメントを残した。
そこから3着のフィールザスマートまでは9馬身差。鞍上の田中勝春騎手は、「前の3頭と一緒に走りたかったですが、そこまでは行けませんでしたね」と苦笑い。地元期待のサイモンロード(5着)に騎乗した丸野勝虎騎手も、「ちょっとスピードが違いましたよ」と、あきらめ顔だった。
逆に言うと、メイショウコロンボにはそれだけの能力が備わっているのだといえそう。「小回り向きですし、今後もダートグレードレースを中心に」と角田晃一調教師は考えているとのことで、そのスピードは今後も注目の的になることだろう。
武幸四郎騎手
スムーズに先手が取れて、1周目は楽に行けたのですが、2周目はずっと後ろから来られたので、馬もキツそうでしたが、僕もしんどかったです。並ばれてもしぶといタイプで、小回りコースならこれぐらいの距離までは大丈夫だと思います。今日は馬の調子もよかったので、最後まで頑張ってくれました。
角田晃一調教師
距離と展開面での心配がありましたが、馬が充実しているところを見せてくれましたね。フレッシュな状態で臨めたのもよかったと思います。本来は黒船賞の予定だったのが除外されて、でも(登録のあった)シビルウォーが引退して、滑り込みで出られた運もありました。次はかきつばた記念の予定です。
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