ここを勝ってダービーへ、地方競馬らしい血統が活躍

 2年目となった「未来優駿」は、2レースが増え7地区での開催となった。これで地方競馬に在籍しているすべての馬が、いずれかの未来優駿に出走できることになった。

 時期的には、ここを勝って11月下旬の兵庫ジュニアグランプリJpnIIか、12月中旬の全日本2歳優駿JpnIへとなれば、ダービーウイークのように盛り上がるのだろうが、さすがに経験の浅い若駒だけに、遠征のリスクも考えると、いきなり中央の強豪と対戦ということにはならないのが現実のようだ。

 むしろ昨年の未来優駿全5戦の勝ち馬のうち、名古屋のダイナマイトボディ、佐賀のギオンゴールドが今年のダービーウイークの勝ち馬となっていて、すでに未来優駿→ダービーウイークという流れが確実にできていることが興味深い。

   
 今年、新たに未来優駿に加わったひとつが、ホッカイドウ競馬のサッポロクラシックカップ。全7戦のうち唯一重賞ではないレースだが、ホッカイドウ競馬は11月中旬にシーズンが終了するため、やや微妙な位置づけであるように感じた。同じ週に牝馬のエーデルワイス賞JpnIIIがあり、2週後に北海道2歳優駿JpnIIIが行われるため、ここに出てくる馬は必ずしも2歳を代表する馬ではないということ。仮にここを勝っても、すでに北海道2歳優駿の登録は締め切られている。

   
 もうひとつ新たに加わったのは、福山2歳優駿。05年にサラブレッドが導入された福山では、今年でアラブ単独での格付けがなくなり、いよいよ本格的にサラブレッドの競馬へと移行した。現3歳世代では、昨年のこのレースを制したアグリヤングという絶対的な存在があり、今年このレースを勝ったムツミマーベラスもここまで6戦全勝という圧倒的な成績。こうした馬の中から将来的に全国区で活躍する馬が出てくることを期待したい。





 福山2歳優駿で注目すべきは、高知との交流ということ。近年、高知には2歳馬の入厩がきわめて少なく、2歳戦がほとんど行われていない。そこでこの1着賞金250万円を目標に、高知にも2歳馬が早めに入厩してくるようにならないものだろうか。そうすれば金の鞍賞の復活もあるかもしれない。

   
 血統的な面では、昨年の2歳戦線ではホッカイドウ競馬でのゴールドヘイロー産駒の活躍が全国にも波及したが、今年はマーベラスサンデー産駒が、この未来優駿で2勝を挙げた。岩手のロックハンドスターは、ここまで6戦4勝だが、ダートでは圧倒的な強さを見せている。先に挙げた福山のムツミマーベラスも6戦6勝という快進撃だ。ちなみにマーベラスサンデー産駒の中央での重賞勝ち馬は、日経賞とアメリカジョッキークラブカップを勝ったネヴァブション、同じくアメリカジョッキークラブカップを勝ったシルクフェイマスがいる程度。地方では、初年度産駒の船橋・ラヴァリーフリッグがマリーンカップGIIIを制するなど、やはり地方のダートを舞台にした活躍馬が目立っている。

   
 大井のハイセイコー記念を勝ったショウリュウは、凱旋門賞馬バゴの初年度産駒。JBBAに繋養され種付料も手ごろなだけに、今後も地方から活躍馬が出てくるだろう。





   
 九州ジュニアグランプリを圧勝したフレーザーハクユウの父は、第1回JBCクラシックを制したレギュラーメンバー。昨年ゴールドウィング賞を制し、東海ダービー馬にもなったダイナマイトボディも同馬の産駒で、2年連続で未来優駿の勝ち馬を出したことになる。そのほか、イーストミー(07年ゴールドウィング賞)、ブラックポイント(09年ゴールドジュニア)など東海地区での活躍が目立ち、地方競馬ではおなじみの種牡馬になりつつある。

   
 また、各レースの本文でも触れているが、母系では、サッポロクラシックカップを勝ったモエレデフィニットの母が第1回園田ダービーを制したアヤノミドリ。ハイセイコー記念を勝ったショウリュウの母マジックリボンは、笠松・全日本サラブレッドカップGIIIなどを制した活躍馬。ゴールドウィング賞で惜しくもアタマ差2着のタンブリングダンスの母は、やはり東海地区で重賞を制したミスダイアン。

 未来優駿は、地方競馬で活躍する血統の品評会と言ってもいいかもしれない。

文:斎藤修
写真:いちかんぽ